中国ドラマ『三国志 司馬懿 軍師連盟』(原題・大军师司马懿之军师联盟/虎啸龙吟)其の3ファイナル完結編《曹叡&曹芳ターム》ドラマレビュー:壮大な叙情詩の幕が厳かに降りる!北方三国志とどう違う?【張天陽/张天阳チャン・ティエンヤン】【杜奕衡ドゥ・イーフン】【劉岳リゥ・ユェ】【白海涛バイ・ハイタォ】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年6月15日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『三国志 司馬懿 軍師連盟』(原題・大军师司马懿之军师联盟/虎啸龙吟)其の3ファイナル完結編《曹叡&曹芳ターム》ドラマレビュー:壮大な叙情詩の幕が厳かに降りる!北方三国志とどう違う?
を紹介するよ。
 
来ました、完結編です。
其の1《曹操ターム》

其の2《曹丕ターム》

貼り付けておいたので読むがいい。
 
《曹操ターム》では大いに曹操愛を語った。
《曹丕ターム》では大いに荒ぶった。
 
で、完結編《曹叡&曹芳ターム》ということなのだが。
この2人の名前だが、
曹叡はぎりわかったとしても、うっすらと記憶がある程度であるし。
曹芳とか言われても、おそらくダレソレな感じではないだろうか。
 
三国志演義も”曹操で始まり、孔明で終わる”なのである。
なので、この2人(曹叡&曹芳)の後継者について皆様の記憶が薄いのは当然である。
 
しかし、このドラマは”司馬懿”の生涯なので、当の本人が死ぬまで物語は続く。
司馬懿は曹家4代に渡り仕えたという史実があるのでそれに添って物語を紡いでいる。
今回レビューする中華本土での第2部は、言わば今までの”三国志”では語られなかった”孔明死す後の魏”を描いている訳だ。
 
そしてこの第2部の重要な命題は”子育て失敗”であるということに気づくのである。
名だたる英雄達。
数々の伝説を生みだし、人々を熱狂させる胸熱な男達。
そんな英雄も、ほぼみんな子育て失敗なのである。
 
曹操も、曹丕も、司馬懿も、そして劉備までもが軒並み失敗であり。
だからこそ、くやしいし、むなしいし、かなしい、のであるが。
 
あらすじなんかは、よそ様で立派な紹介記事なんかが読めるので。
てこブログでは”子育て失敗”にフォーカスしてゆきたいと思う。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

大軍師司馬懿《曹叡&曹芳ターム》ってどんなドラマなん?

”三国志”と邦題に付くものの、ほぼ”蜀”や”呉”の面々は出てこない。
あの関羽でさえ、生首のみの登場だし。
張飛さんに至っては登場回数0回じゃないかと思う(たぶん)
劉備も1回のみである。(もしかしてこん時、張飛さんもいたかもなぁ)
 
それは”魏”事情を背景に、あくまでも”司馬家”がどのように立ち振舞っているのかを描いているからだ。
しかしながら、流石に”孔明VS司馬懿”を語らぬわけにはいかないし。
なんてったって”孔明をギャフンと言わせた”ってのが司馬懿の唯一の美点であるわけだから。
 
で、唐突に孔明との対決にできるわけもなく。
蜀の事情も導入されたわけである。

《曹叡ターム》

劉備の罪

劉備亡き後の蜀である。
↑蜀の帝@劉禅/刘禅である。(中の人、姜寒)
例によって、私腹を肥やそうとする腹黒い宦官がついていて、いいように操られてる。
コレが、劉備の息子である。
 
義兄弟を亡くし、宿願も果たせずに失意のうちに死んだ劉備。
彼が自分の意思を託したのは、息子ではなく孔明であった。
しかし、孔明も彼を正しい道に導くことはできない。
孔明自ら出陣した”中原奪回”の戦も、ずる賢い宦官陰謀で兵糧届かず。
撤退を余儀なくされる。
 
ここに劉備の罪がある。
あんなにも情熱を傾け邁進してきた。
義兄弟とは言わずもがな、
劉備の元には武人・文人問わず、多くの者が集まり堅い絆で結ばれていた。
しかし、こんな不甲斐ない息子を置いて先に死ぬとは。
こんな置き土産はいらん。
無責任だぞ、元徳?
 
ぃや、しかし、この中の人、よっく見つけてきたなぁ。
黙ってても困り顔、弱そう、ずるそう、頭悪そう・・・以下略(失礼・ぺこり)
泣き顔といい、女に溺れてごっこ遊びする様なんか、神演技。
中の人の演技が凄すぎて、余計に劉備の罪が深く感じた瞬間であった。
 
余談だが、この戦の面々にてこ推しキャラ(ランク#5)の趙雲さんがおった。
@趙雲(中の人、肖榮生/肖荣生シャオ・ロンション)
悲しい、、、
初登場ながらこんなに高齢になっておられた趙雲さん。
死ぬ思いで懐に赤子を抱きながらの長坂の戦いよ(遠い目)
こんなアホな帝になるとは露知らず。
「我が命にかえてもお守りしますっ」
って頑張ってたのに。
、、、、
ぁあ、ここにまた一つ星が堕ちる。
霹靂の星が。
孔明の乾坤一擲の北伐策にその武勇を賭けた趙雲。
遺された志に光は射すのか。
 
sayonara趙雲

諸葛亮の罪

@諸葛亮孔明(中の人、王洛勇ワン・ルォヨン)
 
孔明の罪は馬謖である。
”泣いて馬謖を斬る”という「蜀志」馬謖伝の故事にもなっている有名な逸話である。
ドラマでは養子にしたとか言ってるが、演義ではあくまで”愛弟子”であったと思う。
ついでに、劉備に「馬謖を重く用いてはならぬ」と釘を刺されてたこともあったんだよね。
馬謖は慢心が過ぎて大失敗やらかしました。
 
でもそれを補うほどの孔明の漢気(おとこぎ)ではあるが。
しかし、ドラマの戦シーンは微妙。
演義通りにしろとは言わないが、あまりにも司馬懿寄りすぎである。
意馬(亀)に救われた戦エピも、九死に一生を得たエピソードとして実にうまく帳尻を合わせた脚本となってはいるが。
演義では司馬懿失禁してますからね、実の所。
 
で、孔明は司馬懿よりさきにお亡くなりになるのだが。
ここに熱い熱い熱すぎる思いがこめられすぎて溢れているのをご存知か?
 
またですが。
てこが長年研究し考察してきた孔明の気持ちを説明したい。
ぇ、いらない?
でも、言わせてください(懇願③)
 
志を継ぐものの炎は消えず。
蜀の存亡を賭け、魏への侵攻に《漢》の旗を掲げる孔明。
 
若き日が蘇る。
乱世に埋もれ、静かに朽ち果てる人生のはずだった。
このままでいいのか。
名もなく朽ち果てるためだけに、自分は生まれてきたのか。
いつも土と語った。
これが自分に与えられた生なのか。
なんのために、万巻に及ぶ書を読んだのか、なぜいつも考えてばかりいるのか。
土は、生きる場ではなく、嘆きの捨て場だった。
そして嘆きは、尽きることがなかった。
劉備と、なぜ会うことになったのか。
なぜ、劉備の夢が自分の夢だと思えたのか。
今考えると、不思議だという気分は全くない。
出会うのは、必然以外のなにものでもなかった。
 
いまこそ、切ないほどに、自分にはよくわかる。
劉備元徳は、自分にとって救いそのものだった、、、。
 
劉備亡き後、劉備の夢を、宿願を果たすべくあらん限りの努力をしてきた。
しかし、戦は。
敗北はなく、しかし勝者も見えず。
中原奪回はならず、我の命は消えようとしている。
「殿、、、我の力及ばず、、、」
どこからか若い頃から口ずさむ梁父吟が聞こえる。
・・・
生きた証など、欲しがってはならぬ。
夢の中に、証などありはしない。
志は夢の中のものだ。
 
「梁父吟でとむらうべきは、夢。それでいいのだ、孔明」
どこからか劉備の声が聞こえる、、、
 
極北の星、ここに堕ちる。
sayonara孔明
 
てこが見る限り、諸葛亮は卓抜な戦略と戦術を持っていた。
しかし、いつも何かが足りなくなり、いまひとつのところで勝利を逃す。
足りないのは、兵糧であり、兵数であり、優れた部下であり、そして運だ。
 
ゆえに思う。
足りないものの中のひとつが足りていたら。
諸葛亮は勝っていた。
byてこ心の声

曹操の罪

曹丕(子桓)子育て厳しすぎで性格破綻者に成長。
曹彰(子文)バランス悪く武道一辺倒の脳筋属性に成長。
曹植(子建)文武両道でしかも善良だが酒癖悪い(でも一番まとも)
 
曹操にとって痛恨のエラー案件であろう子育て問題。
おそらくは、早いうちに皇太子を決めていれば、ちがう結末も期待できたであろう。
曹丕がここまでソシオ・サイコパスにならずに済んだであろうし。
ナチュラルに、弟達が兄を助け支える構図ができたのではないだろうか。
 
失敗したな、曹操よ

曹丕の罪

問題は、この嫁だった。
ぃや、嫁に罪はない、念の為。
ただただ曹丕のジェラシーのせいで、子がすねくれちまった。
 
@曹叡(中の人、劉歡/刘欢リゥ・ファン)
なんせ自分の子じゃなくて、嫁と曹植の子だと疑ってるもんで。
これっぽちも可愛がらずに、嫌なものをみる目つきでこの子に接してきた曹丕。
死んだままんも、よもやこんなソシオ・サイコパスな狂気人間になるとは思わなかったろう。
残念ながら彼も短命、病を得て病没する。
健康は健全な魂に宿るのだ、残念だったな。
 
ちなみに演義では、曹叡はこんなキャラではない。
贅沢の限りを尽くして遊んではいるが、戦は上手であったし、国内の役人を使うスキルや治世はかなり上等であった。
気分屋のようにも思えるが、「こうゆう態度なら、また帝のわがままか」で済ませられる、とか実はかなりの策略家であった。
ぱぱんのサイコ曹丕は戦は全敗で、それがコンプレックスでもあったが、曹叡は大敗したことはない。
 
ここでてこの本作イチ推しキャラを紹介しよう。
それは、↑の@曹叡を陰日向に支え、悪いことをコレでもかと吹き込む宦官。
@辟邪である。
見てくれ、この太々しくもいやらしい笑みを。
この意味ありげなニヤニヤが、見てる者の心をざわつかせる。
何か企みがあるのかと思いきや、実は心底@曹叡の気持ちだけを尊重してきたという。
そこはかとないCP感が非常に良き。
中の人の、張天陽チャン・ティエンヤンはこーゆー役が非常にハマる。
たまには真面目な男も演じるが、てこが見た彼の出演作は、ヒールが多めである。
えもいわれぬ粘着さ、いやらしさ、小狡さ、まさにパーフェクトなキモメンをかっこよく演じれる逸材である。
ドラマ前半は、同じ匂いのする@楊修(翟天臨ジャイ・ティェンリン)に癒してもらい。
後半は@辟邪(張天陽チャン・ティエンヤン)がてこの萌えポジとなった。
 
1987年11月2日生まれの33歳、184㎝。
中央戏剧学院表演系卒業。
 
過去も数多くの作品に出演しているが、直近では金庸作品に2本。
「鹿鼎记2020版」「天龙八部」
現在播出待ちの「雪中悍刀行」にも出演しているらしい。

司馬懿の罪①

コレです、コレ↑
次男@司馬昭/司马昭(子上)中の人、檀健次タン・ジェンツー(曹丕ターム参照
こんな天使みたいな顔して。
小悪魔みたいな笑顔で。
その、いかにも清流に住んでそうな清らかなるビジュアルの下に隠された顔。
それは、父司馬懿をも超える粘着な権謀術数、そして冷酷無比なる心である。
ご丁寧にぱぱんの”鷹眼狼顧”をもしっかり継承。
義理姉をこっそり好きで、じっとりと影から見つめてきた。
健次のビジュアルじゃなきゃ、「キモっ」ってなる案件である。
そしてうっかり義理姉を、、、
ほんとヤバいやつに成長してもうた。
 
ぱぱんの粘着さと聡明なる頭脳、脳筋属性ままんからは行動力、を継承。
ビジュアルはぱぱんなんかよりは、もうとんでもなく上位であるから、
言わば”司馬ハイブリッド”であると言える。
 
史実から言うと魏はその後、265年に晋(司馬炎・司馬懿の孫)に乗っ取られる。
司馬懿は一貫して「魏の忠臣である」と訴えてはいたが、子育て失敗により息子司馬昭の思想は権力欲に向かって行ったと想像できる。
 
ちなみに演義ではどうかと言うと。
司馬懿は孔明との最後の戦いの時に(陳羣も死んでないし、満寵も退職してないよ、ほんとは)、
「ここを凌げばこの手に運が掴める。
司馬懿仲達が自分で運を掴む。
それは、天下への道にほかならない。」
とひとりごちている。
そう、臆病とか、亀、とか言われながらもやっぱり隠してた権力欲。
司馬懿め、けしからん。

司馬懿の罪②

鍾繇の息子だから”鍾繇の罪”にしてもいいけど、司馬懿のせいにしたい。
@鍾会(中の人、劉岳リゥ・ユェ)
 
最初は天真爛漫な幼さを全面に出してたが、後半は司馬昭と組んで邪な感じを出してくる。
なんか実のぱぱんの実直なところとか継承せずに、師匠司馬懿の狡猾さを真似しちゃった。
 
特に重要でもなく、いなくてもいい役だが、中の人がこのドラマでは貴重なヤングなので紹介しとく。
国を思っての行動といえばそうだが、あわよくば、的な企みが見え隠れし、なんかやらかす感がぱねぇ。
この中の人もそこはかとないホスト臭が漂い(失礼・ぺこり)なんか狡賢そうな二枚舌な感じの役がとってもお似合い。
 
1984年9月25日生まれの37歳、182㎝、74kg。
ぇ、ぜんっぜんヤングじゃなかった。
中華なドラマはほんとヤング少ない、、、
韓流に比べて極端にヤングが少ない、、、
アラサーでまだ在学中とか多いし、こちらには理解できない事情があるのだろうか。
中央戏剧学院卒業。(たぶん卒業)
 
出演作もサーチしてみたがあまり多くない。
だがしかし、2020には主演映画「关机」
2021にも主演映画「重生之门」
年1本の映画で食ってけるのだろうか。
がんばれ劉岳!

《曹芳ターム》

こっからはもうほんとに”三国志”じゃなくなるんですね。
てことしては”孔明死す”で終了。
曹操の子孫もどんどん劣化してるし、もう頃合い、時間の問題。
なので、この後何を見せられるん?って感じだったのだが。
制作陣も「ですよね、わかります、だからスペシャルキャラぶっこみましたよ」って感じでしょうか。

曹真の罪

曹真の息子@曹爽(中の人、杜奕衡ドゥ・イーフン)
 
この中の人、このドラマ出演者の中で一番演技がすごいかもしれない。
前半まだ曹操が生きてた頃は@曹爽は18歳くらい。
この時は、若さゆえの未熟感、親族の七光の横暴さ。
 
そして中盤では、出番は少ないが非常に興味深いシーンがあった。
それが”傅粉何郎”とのキモいごっこ遊び。
美形な男友達と2人で白粉ぬったり、頬紅つけて遊んでる。
そのお友達↓@何晏(中の人、閻汶宣イェン・ウェンシェン)
実在した人物で色白で、女と見紛うほどの美男子だったらしい。
作中では駙馬と呼ばれてたので、公主の婿だと思うが。
曹操の養子とかそんなこと言ってる気もした(違うかも)
 
確かにイケメン持ってきた、じゃなくて、中の人は女性で配音は孫博さんがやっておられる。
みてる人ほぼ全員女だと気づくが、配音が男なのでビジュアルと声とのギャップにより、摩訶不思議な中性的なキャラクターの出来上がりである。
 
で、話を@曹爽に戻すが。
実は中の人は、ぱぱん役の@曹真の中の人(章賀ジャン・フェー)より老けていて実際ひとつ年上である。
 
歳食ってるのに若く感じられる、という納得の演技スキル。
18歳の時はそれなりに父に認められようと頑張ってはみた。
25歳ころには、父親(曹真)から呆れられ、親族からも軽んじられ、落ち込んだものの。
この頃には、もう開き直って”人生を楽しもう”モードに入っている。
みたいなのを的確に表現できてる(出番少ないのに)
〜からの
曹叡崩御で、曹芳が即位で幼帝の補佐役に任命、一躍権力者へ。
最初は頼りない無能な小物感たっぷりから、驚くべき変容を遂げる。
終いにゃ、司馬懿を追い詰めるほどの成長ぶりである。
↑ほら、この変わりよう、すごない?
彼がこれでもかっ、とずるい事とか悪いこととかするもんで。
後の下剋上が楽しみで楽しみで。
彼の怪演のおかげで、何の期待もなかった曹芳タームを楽しく見ることができた。
 
中の人を少し紹介したい。
皆さんには馴染みがないかもしれないが、実は割と重要なお仕事をしてきた俳優である。
彼はshadow影武者である。
てこブログにある映画「shadow影武者」ではなく、まじもんの影武者である。
さぁ、誰だと思う?
誰に似てる?
へーぃ、どや?
劉德華アンディ・ラウである。
彼の替え玉ボディダブルだったが、晴れて表舞台へと昇格。
 
1978年9月4日生まれの43歳、178㎝、68kg。
2021年10月に、主演映画「喋血羊城」が本土で公開されたらしい。
ラウ先輩とは違い、ダークなヴィラン役が多い彼だが、今後も彼の存在感を大いに感じたい。

気になる司馬師の行く末は?

なんということか。
何があって片目のジャックになってしまったのか。
でもすてき(←コラ)
 
クリミナル・マインドを密かに持つ弟の、ポテンシャルの高さに気づいてる兄子元。
義兄と育んだ友情と、司馬家と宗家の確執に板挟みに苦しむ男。
彼が、親と弟だったり、司馬と宗家だったりの、中間にいる緩衝材だった。
彼が居なければ、もっと物事は複雑にわちゃわちゃになってたはずである。
 
唯一のあったかさは”夫婦愛”だったのである。
嫁には本音を話し、穏やかで幸せを感じていた。
しかし、大事な家族、大事な弟も自分の嫁を好きだとは、、、
そしてその愛すべき弟が愛する妻を、、、
そして義兄で親友でもあった夏侯玄が、、、
 
と、ほんとに気の毒な展開に。
しかし、終わってみて思う。
司馬師は一番度量がでかい男だった、と。
自己犠牲選手権優勝である。

大軍師司馬懿てこが見た感想

魏国の曹家4代の君主に仕えた司馬懿の生涯。
 
蜀も呉も事情はほっぽって司馬懿目線の”さいこーにかっこぇえ司馬懿物語”である。
かっこよく描いてもらってよかったね、司馬懿。
 
しかし、
司馬懿を一言で表すならそれは”こすっからい”である。
 
司馬家が魏の忠臣で魏のために振舞っているならいいのだが。
あくまでも司馬家が幸せ(平穏)であればいい、という非常にちっさい世界で現実的すぎるのが気に入らない。
一族にまで〜うんぬんの事情はわかるが。
てこはそんなものは望まない。
三国志に望むものは、私情を抜きにした熱い”義”なのであるから。
精神世界、とてつもないスケール感を求めているのだから。
 
しかし、司馬懿のこすい努力の甲斐あって、史実では司馬炎(司馬懿の孫)が謀反を起こし下剋上達成。
晴れて仕える身分から最高権力者にまで上り詰める司馬家なのである。
 
ぁあ、郭嘉の声が聞こえてきそう。
「司馬懿は殺しましょう」
言うこと聞いてればよかったのに。
 
「コレは三国志じゃないんだ」と頭ではわかっていても。
”司馬懿”と言う名は否が応でも三国志を連想させるし、あの三国志を棚にあげておくことは不可能である。
三国志を棚にあげれば、司馬懿のことも感動できるかもしれない。
ただ、この歳70にしての覚醒エピなどは鳥肌ものであった。
そして、少し見直したのは、晩年は思考もゲスになっており老害に近くなってるところである。
最後まで、善良なふりをしてるキャラのままではなくて、年齢とともに変化してくる心の疲労感が出ているところは素直に評価したい。
 
長い長い3部にわたるてこブログを読んでくださりありがとうございました。
 
いろいろと描き綴ったが、決して批判ではないことを明記しておきたい。
司馬懿は1ミリも好きではないが、このドラマは好きだったのである。
関羽が生首だけで登場でも、
趙雲が老齢で初登場でも、
戦が”ナレ戦”でも、
演義と比べて、あーでもない、こーでもない、と言いながらも大いに楽しんだのである。
 
そして、登場人物のほぼ全員が胸熱であり。
概ね満足な作品であることに間違いない。
実に多い登場人物の中で、あなたの心に残るのは誰であろうか。
その思考を邪魔するものは何もないし、大いに想像し、妄想し、このムサ叔世界を感じてほしい。
 
U-NEXTとAmazonプライムで無料で見れるので是非みて欲しい。

おまけの意馬

最初、川で拾った時はちっさかった。
車椅子生活の時に拾った亀・意馬。
だんだんと成長。
跡目争いとか、戦とかどこ吹く風で(亀だから)悠々と成長中
そして、最終形態
ずいぶんと大きゅうなったな、意馬よ。
司馬懿が死ぬ前に川に放すのだが。
人生への別れ、はたまた執着への決別、みたいなものとの暗喩なのか。
 
まぁ、どっちでもいいが。
今まで人間に飼われてきてオール安全世界から、いきなり弱肉強食な自然界へ放り込まれた意馬の気持ちって?
「ありがとー、自然に返してくれて。とか言うと思ってんのか?
おぃ、こら。
戻せよ、あの鉢に戻せって。
おいらこんな川居たくないって。
ぉいってーーーーーー」by意馬
 
そう、最後まで自分中心目線の見方しかできない司馬懿なのであった。

おすすめしたい三国志を紹介しようか?

ここまでお読みくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
いろいろと失礼な発言もあったが、これもひとえにてこの”三国志愛”ゆえである。
 
司馬懿とは、三国志において、魏での曹操に次ぐファクターではあるが、よもや主人公になるなどとは思ってもいなかった。
これだけ多くの胸熱なヒーローが登場する物語ならば、言い換えれば司馬懿でも主人公になれるのならば、この時代を最後まで生き抜いた馬超とか満寵などでも主人公になり得ると言うことだ。
何度も言うが、司馬懿のことは好きではないが、このドラマは好きだった。
そして”三国志”に興味を持つ人が増えてほしい、ぜひとも”三国志演義”を読んでみてほしい。
 
てこがおすすめする三国志演義、日本語訳を紹介したい。
”演義”としてのてこのバイブルは『完訳 三国志(全5巻)』村上知行訳(光文社文庫)である。
村上さんは1889生まれだが、まったく古臭くないみずみずしい翻訳が非常に素敵である。
原文は講談調の息づかいなのであるが、村上さんの訳すそれは流暢な日本語訳で、訳本なのに文学的でてこはとても気に入っている。
 
で、その”演義”を元に作家が自由な想像力のもと再構築したのが、いわゆる”翻案もの”である。
”翻案もの”から2本おすすめを紹介したい。
てこブログの読者はもうおわかりかとは思いますが。
 
まずは吉川英治(きっかわえいじ)さんはド定番。
講談社から文庫で出ているが、装幀や文字組みを変えたりしてくり返し出版されている。
最新版は、またもや同じ内容が5巻に組み直されて「講談社文庫」から出ている。
『三国志 新装版(全5巻)』吉川英治(講談社文庫)
 
で、イチ推しが北方版である。
『三国志(全13巻)』北方謙三(ハルキ文庫)
ハードボイルドな三国志は涙腺が壊れること確実である。
 
で、最近新たに読んでるのが
『三国志』宮城谷昌光(文春文庫)である。
 
ちょっと王道からは外れるが、てこ推しキャラ(ランク#1)の曹操が中心の三国志もある。
『興亡三国志(全5巻)』三好徹(集英社文庫)
 
皆さんと三国志談義に酔いしれたい、と徒然思うてこである。