韓国ドラマ『その年、私たちは』(原題・그 해 우리는)ドラマレビュー:彼らの時間がまた動き出す時【チェ・ウシク】【キム・ソンチョル】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2022年7月28日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、韓国ドラマ『その年、私たちは』(原題・그 해 우리는)ドラマレビュー:彼らの時間がまた動き出す時、
を紹介するよ。
 
最近は泣く作品によく出会ってる気がする。
このドラマも泣いた。
どこで泣けるか。
それは間違ってもラヴではない。
いや愛に違いないがそれは男女間のそれではなく、1人の生き物としての愛のことだ。
 
このドラマは、いわゆロマンスというカテゴリーに属するが。
実のところは哲学的な文芸作品であると言える。
哲学とは本質を洞察する事で、その問題を解き明かすための考え方を見出す営みだ。
要するに、愛とは、愛するとは、愛されるとは、は何か、を考え続けているドラマということだ。
 
などと書くと小難しい感じがするが、表向きは明るい恋愛ドラマだ。
奥底には深い主題があるがそれを感じさせない仕様になっているのが本当に素晴らしい。(語彙力)
なので安心して観るがいい。
 
本国での公開は2021/12〜SBSで放送、全16話。
原作はないようだ。
脚本はイ・ナウン。
出演:チェ・ウシク、キム・ダミ、キム・ソンチョル
 
Netflixで配信。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

その年、私たちは、ってどんなドラマなん?

ドキュメンタリー
誰でも主人公になることができる・・・
ってコンセプトの元に。
学年1位とビリの2人が強制的に青春ドキュメンタリーの主人公となり。
青春時代の1ページを全国民に晒す事となる。
 
その後、彼らは5年間交際し破局。
さらに5年後仕事を通して再会する。
同じ頃、もう一度あの2人の”今”を撮ろうという計画も持ち上がる。
っていう初期設定だ。
 
今現在の撮影を通し、過去の映像を見ながら回顧して行く流れがとてもスムーズだ。
それぞれに事情があり、それぞれの気持ちも視聴者はわかっているが。
当事者が相手の事情を知る術は、本人からの告白しかない。
しかし、それぞれの性格やそれぞれの事情がそれを許さない切ない現実を、視聴者は観る事となる。
結果、非常に切ない。
 
まずはヒロイン@ヨンス(キム・ダミ)
出典:SBS
学年1位の孤高の秀才。
成功だけを見つめて突っ走ってきた29歳。
しかし背景はそう単純ではなく。
まず両親がいなく、祖母に育てられ2人で暮らしているという事と。
彼女の性格が問題である。
誰にも頼れず1人で抱え込み弱音も吐けない非常にプライドを大切にしている人間だ。
 
なぜ別れる事になったのかは、ずっと疑問だったのだが。
過去編のエピを見ていると、うっすらとその理由がわかってきて。
終盤にそれが明らかになった時に、彼女の”哀しき性”に同情を禁じ得ない。
 
相手役の@ウン(チェ・ウシク)
出典:SBS
学年ビリだけど読書量は全校1位。
脳天気なコミ障気味のお絵描きオタ。
勉強は嫌いだけどヨンスと居たいが為に大学入試にチャレンジし見事合格。
 
現在は「コオ」という名で活躍する建物専門イラストレイター。
 
現在は成功していても、初恋が破れたことが未だにトラウマで新しい一歩を踏み出せない。
過去編を見ても、現在を見ても何不自由ない暮らしぶり。
なぜそんなにも忘れられないのか、と実はいささか不自然さを感じていたのだが。
これも終盤には納得できる理由が用意されていた。
ウンにはある秘密があって、それを誰にも告白することができないでいたのである。
そして、彼の琴線に触れる事柄とは
”捨てられる事”だったのである。
 
ウンは自身の個展で厳しい評価を受ける。
中身がからっぽ、大人になれない子供のようだと。
空っぽではない。
それぞれのピースが繋がれてなくて隙間があるから、ちょっとした事で一箇所に固まったりして空間が大きくなるだけだ。
だけどウンはそれに気付くことができない。
怖がりで自分に向き合えないからだ。
愛して欲しいんだ・・・”という心の悲鳴に同情を禁じ得ない。
 
そして、2人の同級生の@ジウン(キム・ソンチョル)だ。
出典:SBS
@ウンの親友で実家は隣だ。
19歳の時のドンキュメンタリーで興味を持ち、制作会社に入社。
ドキュメンタリー監督となり、今の彼らを撮っている。
 
彼はぱぱは居らず、ままと二人暮らしだが、ままはお仕事でいつも帰宅は深夜。
ウンの両親をあぼじ・おもに、と呼ぶ。
ジウンは2人を見守っていたが、彼もまたヨンスが初恋の人だ。
だけどたった1人の親友を裏切るなんてことは考えたこともない。
自分の人生なんて取るに足りないちっぽけなものだから、その上”彼女”なんて欲しいと思ったことはない。
しかも親友が愛しても愛したりないと思ってるだろう女だ。
自分はこの想いを誰にも悟られてはいけない。
 
彼の切ない横恋慕に切なくなるのではなく。
彼自身に切なくなるこの気持ちわかるだろうか?
このドラマにおけるてこの涙涙ポインツは、まぎれもなくこのジウンの存在だ。
物語の大筋にはなんら影響を及ぼさない脇役の人生背景にこの上なく切なさを覚えるのである。
 
2人が再び付き合い始めた時、
「失恋?ぁあ、そんなことすっかり忘れてたよ」
というあのシュチュエーションが気の毒すぎて胸が痛くなる。
”ぁあ、誰か・・・
誰でもいいから彼に救いの手を差し伸べてあげて欲しい・・・”
そう心から願った視聴者がここに居る。
そんな神脚本だった。
 
俺を必要として欲しい”という切なる願いが尊すぎて同情を禁じ得ない。
 
おわかりか?
この愚かな3人の切ない✖️切ない✖️切ない=もっすごく切ないという痛みを。
ぜひ皆さんも感じて欲しい。
 
クライマックスは、
この愚か者3人組が、ようやく己と向き合い。
見えなかったものがうっすらと見えてくる。
霧が晴れるようにすっきりとシンプルに自分の望みが理解できる。
そんな3人が下した決断とは・・・?
というところである。

その年、私たちは、てこ監修”イケメン備忘録”

愚か者part1な男子@チェ・ウン【チェ・ウシク】

母性本能をくすぐる子犬感をあざとく出してくるこのタイプ。
世話焼き系女子には1000%受け入れられるタイプだ。
ついでに年上にも間違いなくモテるはずだ。
 
「屋根裏のプリンス」の内官がこんな出世を。
「パラサイト半地下の家族」がターニングポインツか、いずれにせよ運も持ってる。
 
今回の役どころは、天真爛漫にみえて実はとんでもないトラウマをもってるというヒロイン設定の男子である。
あどけない顔で微笑んだり、目に涙を浮かべて懇願したり。
かと思えば、95時間もラインドローイングできる集中力。
そして狂おしいほどの欲望がだだ漏れてる熱い瞳。
もう良いとこしか思い出せない、そんな感じ。
特に推してるわけではないが、出演作はこれからも見てみたいと素直に感じた。
1990年3月26日生まれの32歳、181㎝、65kg。
本名:エドワード・チェで韓国系カナダ人。
生まれは韓国だが、11歳の時にカナダに移住しカナダ籍を取得。
俳優になるために2010年に韓国に帰国し、現在に至る。
 
「チャクペ〜相棒〜」「屋根裏のプリンス」
映画
「パラサイト半地下の家族」「THE WITCH 魔女」

愚か者part2な男子@キム・ジウン【キム・ソンチョル】

ここにもおった愚か者が、って感じの困った男である。
なぜこんなにも頑なで、こんなにも辛い生き方をしてしまうのか。
ぁあ・・・本当に切なすぎる男である。
 
正直な話、てこの好みのルックではない。(失礼・ぺこり)
なのに、それなのにかっこよく見えてくる不思議。
愚か者3人衆のうち、彼が一番わかりやすい拗らせ方である。
他の2人は根が深い。
あいつら2人はわかりにくい、実に。
それに比べるとわかりやすい、実に。
だからこそ共感が大きい。
この辺の塩梅(あんばい)もほんとに微妙な脚本だと思う。
 
愛する女の視線の先に俺は居ない。
それはいい。
我慢できる。
でも、愛してくれるはずの母親の視線の先にさえ俺は居ない。
そうなんだ、誰の視線の先にも俺は居ないんだ・・・
 
てこは教えてあげたい。
「そんなことないぜ。
誰かが見てるよ、ジウンの事を。
ほら、そこにも居るよ?ひとり」
って教えてあげたいんだ。
1991年12月31日生まれの30歳、178㎝。
韓国芸術総合学校、演劇院演技科卒業。
 
「刑務所のルールブック」「アスダル年代記」
あと「賢い医師生活1」と「ヴィンチェンツォ」でちょこっと出てた気がする(たぶん)

その年、私たちは、てこが見た感想

見終わった時に、上質な文芸作品を読み終わった時と同じ感情が湧き上がる。
 
10年に渡るそれぞれの歩みの帰結が、すなわち”始まり”であるという事。
未来が明るく希望に満ちている事。
今までの全てが、たとえ苦しかろうと全てが糧になってると確信できる事。
彼らにとってはその10年は必要であったという事。
そして、これからの”始まり”には愛おしいパートナーがいるという事。
それが”その年、私たちに”あった出来事だ。
ほんとに優しい気持ちで一杯になる。
これからも毎年毎年”その年”を積み重ねて欲しい、そう切に願える、そんな作品であった。
 
最後に建物と風景しか描けなかったウンは10年前の初めて出会った時のヨンスを描く。
そんなサプライズもうれしい。
一つの綻びもない完璧な脚本だった。
加えてヒロインの嫌味のないキャラクターもてこ好みであり。
ストレスフリー仕様だ。
皆もぜひ見て欲しい。