中国ドラマ『三体』ドラマレビュー:大ヒットSF小説《三体》中国ドラマ版〜三体って何?を解明したい【張魯一/张鲁一チャン・ルーイー】【于和偉/于和伟ユー・ハーウェイ】【王傳君/王传君 ワン・チュアンジュン】【張峻寧/张峻宁チャン・ジュンニン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年5月21日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『三体』ドラマレビュー:大ヒットSF小説《三体》中国ドラマ版〜三体って何?を解明したい、
を紹介するよ。
 
【基本情報】
 
監督:楊磊(総導演)
脚本:田良良(総編劇)、陳晨
P:黄星、汪悍賢、蔡佳、鄧力維、董嘉琦、白一骢、李爾雲
原著:劉慈欣著《三体》
主演:張魯一、于和偉、陳瑾、王子文、林永健、李小冉
プラットフォーム:騰訊視頻、咪咕視頻、2023年1月15日〜
45分✖️30集
 
原著者の劉慈欣さんは、映画『流転地球(流転の地球〜さまよえる地球)』(2018)の原著で一躍時の人となった方だ。
今回ドラマ化された『三体』は、劉さんが時の人になる前に書かれた『地球往事』というシリーズ三部作の一作目にあたる作品だ。
2作目は『黒暗森林』、3作目は『死神永生』と続く。
小説《三体》が中国で出版されたのは2008年、2011には三部作が出揃っている。
2014に英訳されると、なんとか賞なども受賞したりして、超人気となった。
2015には映画制作も始まったが、諸事情で未公開だ。
ねとふりさんが曾国祥デレク・ツァン監督や、”ゲームオブスローンズ”制作陣で2023にドラマ制作すると発表しているが、本作はそれとは別物だ。
 
我が日本でも2019年に日本版が登場したが、これは英訳したものをさらに日本語に訳したものである。
したがって、厳密な《三体》(直訳)ではない、という事は知っておいた方が良いだろう。
中国語版は、文革シーンから物語は始まらない。
ドラマは、中国語版小説の流れを忠実に映像化しているそうなので、日本語版との流れやディテールの若干の違いは、訳された時の配慮でできたギャップなのかもしれない。
聞けば、この劉さんへの中国での評価は”文筆差(文章力が弱い)”との声も大きいらしく。
しかし当の劉さんも”私は熱烈なSFファンであり、SFファンがSF作家になったと言える。文学への関心から作家になったのではない”などとわりと強気な発言をしており、
有り体に言えば”文章には多少難があるかもだけど、僕の思想とかチャレンジってわりと興味深いでしょ?”という事だ。
しかし、てこが小説《三体》を読んだ時は、文章力が弱いとは感じなかった。
つまり、訳された方が、日本人向けにさまざまな工夫や配慮を施してくれた、という事だ。
 
例えば、原文版では4集でちょっとだけ触れられる文革シーンが、なぜ日本語版では冒頭に持ってきていているのか、そんな事に思いを馳せながら観るのも、ひとつの楽しみ方だと思う。
そして、この”文革”があちらでは今も尚非常にナイーヴな事柄であり、おそらくは慎重に細心の注意を払ってドラマ化されているのだろうな、などと徒然思うのである。
 
ところで、この三部作だが。
てこは今現在(2023/5)第2弾の暗黒森林上・下、までしか読んでいない。
最後の死神永生上・下、はこれから読むのだが。
世には”三体0”と”三体X”なるものまで登場している。
これはいったい何なのだろうか。
 
注:てこブログは、大いなるネタバレを含みます。
閲覧の際は、十分にお気をつけください。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

三体ってどんなドラマなん?

”三体”と聞いて、この単語にピンとくる方は居るだろうか。
あまり居ないだろうと思う。
でもてこはちょっと連想することがあったのだ。
それは”三体問題”というやつだ。
 
数年前に”ポアンカレ予想”という読み物を読み、そこに出てきたのがこの”三体問題”だった。
カオス的性質があるとかないとか、そんな話だった記憶がある。
 
空間において重力相互作用する3個の物体の動きを予測することはできるか?というのが三体問題だ。
 
解はない、今のところ。
数世紀も未解決だった”フェルマーの最終定理”のようなロマンが詰まった問題なのだ。
 
このドラマは、高確率で日本上陸するだろうし、ネタバラシしたらおもろないんでね。
どこまで書くべきかとても悩む。
タイトルの『三体』からして、・・・実は仕込みだ。
てこブログの↑冒頭の未解決問題の話(三体問題)さえネタバラシの一つになるのだが・・・そこは許してほしい。
 
重大なネタバラシは避けつつ、大まかな流れを出演者を紹介しながら説明しよう。
 
序盤は、応用物理を専門としている科学者@汪淼が中心となって物語は進んでいく。
@汪淼【張魯一/张鲁一チャン・ルーイー】
彼は、ナノテクを研究し、ナノ素材の開発に従事している研究者だ。
そのナノ素材によるワイヤーはその名も”飛刃”、太さは髪の毛の10分の1、強度は・・・ちょっと忘れたけど、要はイケてるワイヤーだ。
 
まずはこのナノテク男子が怪奇現象に悩まされる事から物語は始まる。
ある日突如ナノテク男子の視界に、カウントダウン数字が現れた。
何かを見る時はもちろん、瞑っていても現れるその数字に気が狂いそうになるナノテク男子。
 
別件で知り合った@申玉菲というりけ女(理系女子)が、
 
「ナノマテ(ナノ素材)の研究やめたら数字消えるよ」
 
意味わかんねぇ、とスルーしてたナノテク男子だったが、いろいろあって訳がわからなくなり
 
「なんなんだよーーーーおまいら」
 
「3日後、3日後よ。
あなたに宇宙背景放射の明滅を見せてあげる」
 
ふぉ!?
・・・
もしかして、ここで言ってる宇宙背景放射とは”CMB”(宇宙マイクロ波背景放射)の事だろうか。
なんともスケールのでかい話に・・・いきなりだな、ぉい、という感じで狼狽えたてこだ。
 
明滅?
ふつーに考えてムリだけど、”SF”だからここは明滅するんだろうーな・・・
やっぱしたよ(明滅)・・・
まじで怪奇現象。
 
物語はこんな話から始まり、主に
 
・ナノテク男子とバディだーし(大史)@史強との2007現在の話
・1969から始まる葉文潔の話
 
が交互に語られる仕様で進んでいく。
 
ここでナノテク男子のバディのだーしを紹介しとこう。
@史強【于和偉/于和伟ユー・ハーウェイ】
この物語の登場人物の中で、唯一人間的に魅力のあるキャラクターだ。
一見、脳筋属性に見えるが、バカそうに見えて本当は聡明なだーしだ。
ナノテク男子は、だーしの事をもっすごく馬鹿にしてて、上から目線だし毛嫌いしてたのだが。
だーしの為人を知るうちに、彼の聡明さや懐の深さ、人間的な魅力にどんすか惹かれていき。
最後は熱く抱擁するほどに愛してしまう(←ヤメレ)ので、皆もそこんとこに注目していただきたい。
 
で、だーしはデカ(刑事)なのだが、なんでデカが居るかと言うと。
近頃、世界的に著名な科学者の自殺が増えており、その捜査の為だと言う。
自殺者と関連がある”科学フロンティア”に潜入してくれないか、という依頼だった。
 
ナノテク男子はそっこー断る気だったが、気になる女子が自殺してるのが気がかりだったのと、だーしの挑発にのって潜入する事となる。
 
ナノテク男子の気になる女子。
ナノテク男子には嫁もちーこ娘もおるのだが、一目惚れしちまった女子がおるのよね。
ったくけしからん話ではある、嫁がおるのに・・・ぶつぶつ・・・
その気になる女子は、たいして大物というかキーマンではなく、実はそのまま(母)がキーマンである@葉文潔である。
@葉文潔(中の人は、陳瑾さん)
彼女が、文革で世界に絶望し、
その後、外界から隔絶された山頂にある”紅岸基地”で何が起きたのかが少しずつ語られて行く。
 
5集くらいまでは難解だし平坦でこれといったトピックはないので、リタイアしないように頑張ってほしい。
その後は、だーしの存在感がマシマシで、ナノテク男子との絡みもありつつ〜
8集くらいで、怪奇現象に悩まされながらVRゲームをやり始める。
これは、本のあらすじ紹介みたいなのにも書かれてるくらいだから、書いても構わないだろう。
 
そのVRゲームのタイトルが〈三体〉だ。
誰が何のために運営しているのか、この段階では全くわからないが。
設定も画期的で、感覚もリアルらしい。
ゲーム三体の世界は、地球とは違っていた。
太陽の動きに一定の法則性はなく、何日も何年も太陽が昇らず氷河期のような寒さが続いたり、太陽が近すぎて溶けるような暑さだったりするらしい。
生き物が生きていける環境ではないために、生き物は”脱水”機能を持っているらしく。
巨大な太陽が近づいてきたら
 
「脱水だーーーーーー、脱水せよーーーーー」
 
という叫びでゲームオーヴァーだ。
脱水とはすなわち文明の終わりを意味するのだ。
 
しかし、これはあくまでゲームなので。
再びログインすれば、新たな文明が始まっている。
そこ(ゲーム三体)でプレイヤーが、この世界の太陽の動きを予想できる規則性を発見し、文明を存続させるのがクリア条件のようだ。
しかし、
 
No.〇〇の時代は氷河期により崩壊しました。
この時代は〇〇まで進化しました。
またのログインをお待ちしております。
 
みたいな感じでゲームオーヴァーだ。
ぃやぁ、気付くよね。
気づかない方がおかしい。
三体なんだからさ・・・なぁ・・・
でも、気づかないんだな、ようよう気付くけど随分と後のほうなんだな、これが。
 
でもまぁ、これはあくまでゲームの話であり、現実の地球はいつもと変わらず1日は24時間だし、1年は365日だし、夏は暑く冬は寒い、正常な太陽の動きが続いている。
 
一体何なのだろう、このゲームは。
 
・太陽の規則性を導き出すことが目的
・地球がゲーム三体の世界と同じようになる可能性
 
この二つくらいしかゲームの必要性が考えつかない。
 
2007の現実世界では、科学フロンティアという学術団体が怪しいことは間違いなく。
しかし、ナノテク男子に接触してきたりけ女(理系女子)と敵対してる男子もおるようなので、
この学術団体も一枚岩ではなく、内部は複雑に派閥形成されているようだ。
おそらくは、穏便派と過激派みたいな感じだろう。
過激派男子が、なんと秋山くんだった。
@潘寒【張峻寧/张峻宁チャン・ジュンニン】
 
2007年の現実世界では、この過激派のせいなのかは確かではないが、わりときな臭い話が進み。
科学者が拉致されたり、数学者が銃で脅されたりしているが。
視聴者の興味を惹くのは、俄然”紅岸基地”でのお話だ。
 
OPとかED映像にもあった気がするが、要所要所で映し出される映像。
それは
 
葉文潔、何かは知らないが、何かの赤いボタンを押す、だ。
 
何かをしでかしてるんだ、葉文潔。
躊躇してるし汗かいてるし、きっと想像を絶する何かをするために、こっそり押したはず。
その赤いボタンって何のボタンなの?
というたった一つの好奇心がこの作品を見る原動力だ。
 
このね、若き頃の葉文潔役がまた上手いんですわ、何かと。
中の人、王子文さん。
全てはこの若き日の葉文潔の人差し指1本から始まったのだ。
 
ちなみに、彼女は紅岸基地で結婚していて、そのお相手がぱぱだ。(注「以家人之名(家族の名において)」参照のこと)
@楊衛寧【涂松岩フー・ソンイェン】
 
今回もいい人役でしたよ。
紅岸基地の本当の存在意義とは〇〇する事だったのだが。
その秘密を知ってしまったら、もう一生ここから出れないだろうと、ぱぱは文潔ちゃんには内緒にして、当たり障りのない仕事を与えてたっぽい。
でも知っちゃった、本当の目的を。
 
まぁな、ムリそうなの、実際この設備じゃ。
赤・緑のランプはいいとしても、目盛りをチャンネル式で合わせたり、ガチャガチャと穿孔テープが吐き出されたりしてて、思わずてこが初めて使ったマッキントッシュ(ブラウン管型モニター)を思い出しちまうノスタルジィ。
どこまで飛ばすか知らんけど、ムリやろ、と思ってたのに。
太陽を電波増幅装置にすると言う、なんとなく本当っぽい話を持って来るのが、劉さん(著者)のすごいところだと思うんだ。
結果的に、この方法で4光年の距離まで電波は届いたと言うことになるのだ。
 
劉さんは、科学の持つ可能性とかロマンを知ってるんだよね。
その昔、コペルニクスさんは、地球は宇宙の中心じゃねぇ、って叫んだ方だが。
目視だけで水金地火目土天冥海の位置関係を説明したレジェンドだ。
ガリレオさんは、太陽にはシミがあるんだぜっ、と言って自宅に軟禁された方だが。
それは今では誰でも知っている”黒点”だ。
設備がどうだろうが、情熱が結果を産む事もあるのだ。
 
4光年とは一体どれほどの距離で、どれくらいの時間で行けるのか(人間が)、という事だが。
単純計算で40年らしいが、動力の説明とか、推進力が付くまでの時間とか、停止するに使う時間とかを計算して400年らしい。
この計算もなんとなく本当っぽいとこが憎いよねぇ。
実際は煙に巻かれた感は否めないが、ここで是非を問うべきではないだろう、受け入れよう。
 
で、22〜3集あたりで、ゲーム三体の本当の目的が明らかとなる。
これを言うとおもろないんで、言えないが。
彼ら(ゲーム運営側)は過激派であり、その目的は
 
・染色(科学を憎む)
・奇跡(非科学的なこと)
・絶望(諦め)
 
という、よくわからないし、辻褄の合わないところもあるが。
ここはとりま受け入れとこう。
しかし、それを聞かされても、なお残るのは
 
”・・・で?何?何なの?”
 
という疑問だ。
 
・ゲーム三体の目的も分かったし、
・科学フロンティアの穏便派(正しくは救済派)と過激派(正しくは降臨派)の意見の相違も分かったし、
・文潔ちゃんが何のボタンを押したかも分かったし、
・〇〇という存在がある事も分かった
 
だから?
 
こっからが残り10集で語られる物語なのだ。
 
「〇〇は電波以外に地球に送っているものは無いのか?」
 
という問いに、文潔ちゃんは答える。
 
「ほぼ無いです。」
 
”ほぼ”だ。
0ゼロZEROではない。
送られていたのは”陽子”が2つだと言う。
 
陽子?
ちょっと混乱する瞬間だ。
陽子”だけ”を4光年飛ばす技術?
ふぉ?
残り10集で語られる事は驚くべき展開であった。
まず学術協会科学フロンティアは”地球三体協会”という団体だった。
その内情は、先に書いたように、救済派・降臨派、ついでに共存派などもおり混乱している。
しかし、どんな思考の人間が居るかはもはや問題ではなく。
有り体に言うと、地球がやばい、って事が発覚する。
 
地球がやばいので、全世界が一丸となって多国籍連合軍が発足。
作戦会議になぜか呼ばれてるのが、ナノテク男子とだーしコンビ➕ひとり。
このひとりの紹介をし忘れてた。
@丁儀【王傳君/王传君 ワン・チュアンジュン】だ♡
文潔ちゃんの娘は自殺したのだが(ナノテク男子の一目惚れ相手)、その女子の婚約者という設定だ。
彼も科学者で理論物理学を専攻している。
良いですね、造形♡
傳君のようなでかい体躯の持ち主が、頭脳勝負の科学者とか、理想的なギャップ萌えである。
傳君のでかい手、長い指で、ちまちまとタバコのフィルターを分解する様が、なんともステキだ。
 
この会議には、各国の偉い人たちが集まってるのだが。
なんでそこに一介の科学者が同席できるのかは、自由につっこんで構わないが。
実はナノテク男子の開発したナノ素材ワイヤーが肝となる作戦が計画されるんで。
まぁ、いいですよね。
 
”古箏作戦”と名付けられた作戦が決行されるときに、急にトップガンみが出たのはご愛嬌というか苦笑ものではあるが。
この作戦は、わりと見応えがあったと思う。
 
その作戦で得たものは、真相がつまったスパコン(超小型)だ。
ナノブレード”飛刃”で50㎝間隔で切断されてるが、切断面が綺麗だと修復できるらしい。
まじで?
まぁ、目先の細かいことは気にしない方が楽しいし、重箱の隅をほじくるような真似はやめたい。
 
残り2〜3集で、今までに謎だったことのほとんどの真相が解明される。
〇〇から地球へ送り込まれた”陽子2個”には名前がつけられていた。
その名も”智子”だ。
智子は4個ある。
そのうちの智子1と智子2が地球に存在している。
 
クライマックスの肝は、
 
・智子のできる事って、目的って何?
 
という事だった。

三体 てこ監修”イケメン備忘録”

ナノテクな男子@汪淼【張魯一/张鲁一チャン・ルーイー】

㊗️てこブログお初、るーさんこと【張魯一/张鲁一チャン・ルーイー】だ♡
 
そう、お初だ。
意外だよね、ってかなんで未レビューなんだって話、「大秦賦」っすよね。
いつかレビュー・・・と思いつつ、最近は「始皇帝〜天下統一」とかいう邦題背負ってサブスク登場。
出遅れ感パネェっすよ。
 
危険な研究言われても、わたしは応用物理ですし。
わたしがやらなくても、いずれ誰かやるでしょうし・・・
 
と終始控えめなナノテク男子を好演したるーさんだ。
キャラ的には、なんら魅力もないし、キャラの強さで言ったらだーしの一人勝ちなのだが。
この見せ場もなく、特筆すべき事柄がないキャラクターを、るーさんがやるからこその輝き、ってわかるだろうか。
うまく言えないが、中の人が見え隠れする魅力って事だ。
 
実は、だーしは英雄的な働きをする事になるのだが。
ナノテク男子は、自分の研究開発したナノ素材によって多くの命を奪う事になる訳だ。
当然、その事に対する恐れや贖罪の気持ちが大きくなるはずだ。
しかし、それに対する掘り下げはない。
つまり、ナノテク男子への読者・視聴者の感情はあまり良いものではない。
しかし、嫌悪感をギリで回避できるのは、紛れもなく”中の人”のおかげだ。
 
望遠鏡を覗く手が、電動歯ブラシ並みに震えていたり、
最初の犠牲者が甲板で崩れる姿を目撃し、頭を抱えてしゃがみ込む姿。
これだけで、恐れや後悔や溢れ出る思いを察する事が(ちょっとだけ)できるのだ。
 
いいとこひとつもナッシングなキャラではあるが、憎みきれない男子、それが汪淼だった。
1980年6月7日生まれの42歳、182㎝、68kg。
中央戯劇学院、北京大学卒業。
 
代表作:「紅色」「嫌疑人x的献身」「火線三兄弟」「麻雀」「愛国者」「老九門」「他来了」「請閉眼」「新世界」「大秦賦」

秋山くんな男子@潘寒【張峻寧/张峻宁チャン・ジュンニン】

てこブログ2回目ランクインの秋山くんこと【張峻寧/张峻宁チャン・ジュンニン】だ♡
 
なんで秋山くんかって、
これまた未レビューの「擇天記」の秋山くんであり、てこ推しキャラであった。
以降、【張峻寧/张峻宁チャン・ジュンニン】の呼び名は秋山くんだ。
 
秋山くんは、壊れた人を演ずるのが天才的にお上手なのだが、今回ももれなく壊れていく人キャラだ。
何が良いって。
見た目も相変わらずcoolで、バリキャリ風なのに、カバンはキャンパス地のトートバッグなのだ。
わりと薄手でよれっとしてるタイプ。
劇中で、冷酷ムーブでサイレント銃を組み立てるシーンがあるのだが。
 
ちょっと?♡
そのサイレント銃ってば。
結構な大きさだし、重さよね?
もしかしたら?
もしかするけど?
まさか、そのサイレント銃ってば、トートバッグに入れて持って来たんじゃ?・・・♡
ポッケには入りきらないもんね?
 
きゃーーーーっ♡
と、てこを興奮させてくれていた萌えポジである。
内容的には・・・
見せ場もなし、特に重要でもなく。
おそらくは、本作のオリジナルキャラである記者女子との絡み要員的な扱いだったと思う。
微博:张峻宁
 
1985年3月22日生まれの38歳、182㎝、68kg。
上海戯劇学院卒業。
 
代表作:「五星大飯店」「妳和我的傾城時光」「小飛俠」「第一大総統」「陽光天使」

あまり特徴のない科学者な男子@丁儀【王傳君/王传君 ワン・チュアンジュン】

てこ激推し俳優の【王傳君/王传君 ワン・チュアンジュン】だ♡
 
傳君のことは、いついかなる時も全力で褒めちぎる方向なので今回も褒めちぎりたい。
 
正直な話、どんなキャラクターでも構わないのだが。
今回はキャラクターもまじてこ好みであった。
彼は理論物理を生業としている研究者なのだが。
科学者というと、エキセントリックだったり紙一重的なキャラが多いのだが。
今回傳君が演じた@丁儀という男子は、まるで普通の男子で、文潔ちゃんの娘に一途に恋してて。
彼女との事が最優先で、なんなら彼女が望むなら研究もやめても構わない、って感じのふつーの男子設定であった。
 
このような一見どこにでも居そうなキャラを、唯一無二のキャラに変換できるのが王傳君という俳優なのだ。
何言ってるかさっぱりわからん、って方もいるだろうが、まぁ見てくれって。
微博:王传君
 
あれ!?
何ですか、これ。
横にいらっしゃるのはでいでいさまではないですか(【王鶴棣/王鹤棣ワン・ホーディ】)
ぉおおおーーー
 
そういや、コレ↓にも出てるんすよね映画「無名」(記事は気長に・・・)
 
1985年10月18日生まれの37歳、187㎝。
上海戯劇学院卒業。
 
代表作:「我不是薬神(神の薬じゃない)」「羅曼蒂克消亡史」「大仙衙門」「愛情公寓」「愛情是従告白開始的」「網球王子」「医館笑伝」「奇蹟·笨小孩(奇跡の眺め)

三体 てこが見た感想

文潔ちゃんが体験した世界が、あまりに無情で、心が疲弊して行く様子はとても丹念に描かれていたので、見ている者もそれなりに共感する。
 
何年(9年)も経ってからの、思いがけないレスポンス。
この辺の作りが劉さんの絶妙なところだ。
 
わたしたちが空を眺めるとき、見ている天体の姿は過去の姿なのだ、という話を聞いたことがあるだろう。
それだ。
僕らの目に届くにまでに、彼ら光は長い長い旅をしてようやくやって来るんだぜ。
太陽の光だって、実は7秒くらい前の光なんだぜ?
僕らが夜空を見上げて見える光とは、美術館や博物館で観る美術品や工芸品が作られるよりずっとむかーし、もしくは恐竜時代、もしくは地球に生き物がいない時代、もっともっと、地球誕生以前のもっすごい昔に発せられた光だったりするのだ。
しかも、今見えてる光も、本当はすでに超新星爆発とかで無くなってる可能性だってあるんだ。
でも僕らにそれが届くまで、もっすごい時間がかかるんだ。
 
今回のお話では、もっすごい遠いとこからのお返事なので9年もかかってしまって。
そのお返事は、衝撃的な内容だったが。
文潔ちゃんは、落胆し絶望していたので、思いの丈をぶつけたお返事を送ってしまうのだ。
 
しかし、その後。
電波が時とともに障害物などの干渉で薄れていくのと同じように。
文潔ちゃんも、人間の暖かさに触れたりして、この世も捨てたもんじゃないかも・・・と負の感情も薄れて来る・・・と思うでしょ。
しかし、文潔ちゃんは忘れる事ができなかった。
文潔ちゃんは、科学者の習性として、忘れることを拒否し、自分を苦しめた狂気と憎しみを、理性の目を持って眺めようとしたのだ。
そして、エヴァンズと出会ってしまうのだ。
エヴァンズこそが降臨派のドンだ。
 
文潔ちゃんやエヴァンズが大いに悩んでいて。
この作品には、地球において繰り広げられる人類の狂気や理性の欠如への問題提議としてのメッセージ性ももちろん強く感じられる。
が、それ以上にSFな展開のインパクトが強くちょっとそこいらへんが忘れがちになる。
(いいんです、だってこれはSFなのだからな)
 
例えば、ゲーム三体の中で始皇帝嬴政が人間コンピューターを作動させるシーンがあるのだが。
入力1、入力2、出力1、でまずは3人でシステムを説明。
それぞれが白赤の旗をもち(日本語版は白黒だったけど)入力1、2どちらも赤なら、出力1も赤。
それ以外は全て白。
白をあげる状況は3通り。
 
・入力1が白、入力2が赤
・入力1が赤、入力2が白
・入力1、2ともに白
 
これは理論ゲートの一種でANDゲートだ。
これを人間でやってみる発想が劉さんの凄いとこだ。
このゲートを1000万組作ってた(もっとかも)。
面白かった。
なので、上述したようなメッセージ性が薄れる、というか忘れてしまうんだな。
(いいんです、だってこれはSFなのだからな)
 
そして劉さんの紡ぐ三体世界の想像力から、刺激を受ける。
その想像力の土台となっているのが宇宙であり、そもそものスケールがでかい。
なので必然的に想像する世界のスケールもでかいのだ。
劉さんの想像の世界には終わりはなく、これがダメならソレ、いやこっちもあるよ、という、
フリーダムな思想を感じる事も出来る、そんな物語であった。
 
クライマックスの肝である”智子計画”という陽子2個の振る舞いだが。
陽子を多次元に展開し、しかも視点も多次元にした場合。
(もっすごく端的にまとめると)そこに現れるのは、理解し難い事を成し得る陽子となる、という事だった。
てこの知識や想像力を総動員しても、てこの脳みそは残念なのか???訳わかめで何一つ理解する事も想像する事も不可能だったが。
とりま”すんっげーヤバい陽子”って事で認識した。
もしも、てこのような脳みそを持って同じように動揺している人が居たならば、同じ認識でかまわないよ、と慰めたい。
劉さんの想像力とは、凡人では計り知れない大きさ深さがあるのだ。
 
エピローグには、第2部への足掛かりを少しだけ取り入れた粋なラストを用意している。
 
第2部がドラマ化されるかは知らんが、小説はまだまだ続く。
しばらくは劉ワールドで楽しめる、という事だ。
 
ネタバレは避けたい、と言いつつも。
結果、結構なネタバレになってしまったことを心からお詫びしたい。
ごめなさい。