中国映画『薬の神じゃない!』(原題:我不是薬神/我不是药神)映画レビュー:何が本物で何がニセものなのか【徐崢シュー・ジェン】【王傳君/ 王传君ワン・チュアンジュン】【章宇ジャン・ユー】【周一圍/周一围/周一囲ジョウ・イーウェイ】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年5月1日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国映画『薬の神じゃない!』(原題:我不是薬神/我不是药神)映画レビュー:何が本物で何がニセものなのか
を紹介するよ。
 
2014年に中国で実際に起きたニセ薬事件。
それを元に作った映画である。
この事件をきっかけに中国の医薬業界に改革が起きた。
事件発生から間もない 2018年7月に映画化され、中国公開されると3日間で9億元(約146億円)、 最終的に30億元(約500億円)を超える爆発的なヒットを記録した作品である。
 
第55回金馬獎でも、最佳新導演、最佳原著劇本、最佳男主角の3冠達成の快挙。
 
同年秋に開催された東京・中国映画週間でも審査員特別賞を受賞した。
監督・脚本:文牧野ウェン・ムーイエ
共同製作:寧浩ニン・ハオ
 
てこは記憶があいまいだけど2020あたりに新宿でみた気がする(池袋だったか?)
で、2022にNetflixで配信が始まりもっかい見たのでレビューする。
 
主演は【徐崢シュー・ジェン】でコメディを得意とする俳優だ。
なので主題はシリアスだが彼の醸し出す明るさに終始救われてる、といった印象。
 
脇を固める俳優陣もAll実力派を揃え、これでおもろなかったら詐欺だぜレベルなのだが。
心配ナッシングだ。
 
劇場に漂う空気も、最初は軽い笑いあり。
しかし物語が進むうちに、ため息やらが聞こえてきて。
そして鼻をすする音なども聞こえてきて。
最終的には嗚咽に変わる。
 
ネトフリなら自宅で1人籠って観れるから思う存分泣けるよ!
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

神の薬じゃない!ってどんな映画なん?

背景は2002年上海。
日本で言うところの”医薬品医療機器法”みたいなのが整備されていない時代を背景にしたノンフィクション映画である。
 
主役の@程勇(徐崢シュー・ジェン)はインドの怪しげな男性向けの強壮剤なんかを売ってる店を経営。
でも店の家賃も払えないし、妻には見放されるし、ついでに年老いたぱぱの手術代も捻り出さないと、という四面楚歌な中年男である。
 
この物語は、このぱっとしない、お調子者で、だらしない、どーしよーもない中年男の英雄譚でもある。
ちなみに中の人は禿げた中年だ。
作中はズラ着用だ、念の為。
 
物語は、インディなエキゾチックなBGMから始まり。
四面楚歌な男のところに、マスク3枚重ねのやはりパッとしない男②の@呂受益(王傳君ワン・チュアンジュン)が、
「薬、売らない?
お金になるよ」
と近づいてきた。
@程勇は、にっちもさっちもいかなくて薬の密輸と密売を請け負うことになる。
@呂受益は自身も慢性骨髄性白血病を患っている。
 
わりととんとん拍子に進むし、コメディタッチなのだが。
だんだんとシリアスになっていくからみなさん心配はナッシングだ。
 
密輸したはいいけど売り捌けねーじゃん?
でその界隈でカリスマの紅一点が仲間に入る。
譚卓タン・ジュオである。
彼女は芸術性の高い映画が主なお仕事だった俳優で、
てこが気に入ってる映画「春風沈酔的夜晩(スプリング・フィーバー)」にも出演している。
なぜか于正Pのドラマ(延禧攻略/瓔珞)に出たのは驚いたが。
まぁいい、結果いいもの観さしてもらったから。(昆曲聞けたし、お美しかったし)
 
で、本作は娘さんが白血病患者設定である。
正規販売の薬が高すぎてポールダンスバーで日々、身を粉にして働いてるシングルマザーである。
彼女には独自のネットワーク網があり、それを利用してドンスカ売り捌けるようになる。
 
あとはインドからの密輸だから、英語喋れる人おらん?
って事で、やはり白血病患者のキリスト教牧師さんもお仲間に。
 
そして黄毛。
彼も白血病患者で、口減らしで村から追い出されたハタチの青年。
薬代で金もかかるし親に面倒はかけられないと、里帰りもしてない心優しき男子である。
ちなみに中の人は【章宇ジャン・ユー】で、アラサーだ。
「大象席地而坐(象は静かに座っている)」の主要キャストだ。
中の人を感じさせない、ハタチになりきれる演技力に脱帽だ。
 
この登場人物たちの背景を考えてみてほしい。
 
・年老いた父親の介護に苦悩する主人公
・娘の薬代のために、過激なダンスを夜な夜な踊らなければならない@劉思慧
・お金がなく薬を買えず、神に助けを求めてやってくる教会の牧師
・口減らしで農村を追い出された青年
 
彼らを通し、医療体制云々と同時に社会が抱えている多様な問題も浮き彫りにされている。
 
そして神薬には本物のニセ薬も登場する。
チーム@程勇らが販売しているニセ薬は偽ではない。
歴としたジェネリック(後発医薬品)である。
国内で認可されている薬が高すぎて、多くの慢性骨髄性白血病患者には手が届かないために密かに輸入していたのはインド製のジェネリック医薬品だ。
 
前半は闇薬の販売もうまくいき、仲間の病気も薬で体調いいし。
なんの映画?って思うほど明るく楽しく進んでいくのだが。
この、本物のニセ薬登場から様子が変わってくる。
 
@程勇が、捕まったら・・・ってことで唐突にこの商売から足を洗う宣言をするのだ。
みなに(視聴者からも)軽蔑され、それでも1年後、彼は縫製工場の社長となっていた。
 
このたった1年の間に、かつての仲間は変わり果てた姿・生活をしていることに愕然とする@程勇。
自分にとってはたった1年でも彼らの1年はどれほどの地獄だったのだろうか。
保身のためにとった行動が、どれほどの人間を苦しめる結果になってしまったのか。
 
インドの製造工場の社長に
「英雄になりたいのか?」
「いや、金でしょ」
といっていた男が、仲間の葬式を経て、漢に変わる時が来たのだ。
マジモード降臨である。
 
ここいら辺から一気にシリアス街道へまっしぐらである。
ティッシュとタオルを用意した方がいい。
鼻水と涙が溢れて止まらなくなるから。
 
一方では”真物(ほんもの)”とされる国内認可済みの販売元が、国家権力を利用し”ニセ薬”を撲滅させようと躍起になっている背景で。
チーム@程勇らはどこまで頑張ることができるのか、って感じでクライマックスへ。

神の薬じゃない!キャストpickup

昔は胡歌に似ているなどと言われて喜んでた男子@呂受益【王傳君/王传君ワン・チュアンジュン】

皆さんは彼のこと知ってますか?
てこは知ってます。
だって暁晨【張暁晨/张晓晨チャン・シャオチェン】の親友ですから。(暁晨の最新記事はこちら風起隴西/风起陇西
暁晨は『好男儿』という伝説のオーディション番組で傳君と出会いそれ以来の仲良しだ。
ちなみにこのオーディションのことを知りたい方は張暁晨全球後援会日本支部会長(非公式)のブログをご覧ください。
 
傳君は当時、上海戯劇学院の実力派ホープと言われ前途洋々だったがこのオーディションで10強には残れなかった。
まぁ、しかし名門だし。
187㎝の長身に、当時は胡歌に似てるなどと言われたいちおーはイケメンの括りである。
なのできらきら路線でしばらくは頑張った。
しかし、これからの俳優としての方向性に大いに悩んだ彼は思い切った方向転換をすることにしたのだ。
↓は「テニスの王子様」とかに出てたころのきらきら時代
それが今やこれだ↓
そこには以前のような小鮮肉なイメイジは存在しない。
”個性・実力派”な看板がよく似合う俳優に成長した。
そして彼は運も持っているようだ。
何はともあれ、きっと神薬では多くの方に”キモっ”って思われたかもだが、彼はいい役者だ。
見てくれ↑この恨みがましい目を。
裏切られた悲しみ。
自分が生き残れないかもしれない不安。
それでもすがりつきたい諦めきれない希望。
そんなものがごちゃごちゃになってる瞳だ。
1985年10月18日生まれの36歳、187㎝。
上海戯劇学院卒業。
 
母校には講演などもしに行ってるようだが、神薬の後は在学生の憧れの的になってるようだ。
ほとんどの生徒が彼の微博をフォローしている。
 
ほとんどドラマには出ない今や大物になってしまった傳君だが「三体」に出るとの情報を掴んでいる。
たぶんドラマは5年ぶりとかそんな感じだと思う。
もっすごく楽しみにしているドラマなのだ。
 
映画
「不老奇事」「馬賽克少女」「蘭心大劇院」「奇跡·笨小孩」「無名」「挙報人」「三个字」(待播含む)

ジレンマに悩むデカ(刑事)な男子@曹斌【周一圍/周一围/周一囲ジョウ・イーウェイ】

うちのじょー兄さんです。
主人公の元義理の弟役で、ニセ薬摘発の捜査官だ。
じょー兄さんは、悪徳な製薬会社の社長とか、闇薬製造者、とかのがお似合いだが。
今回はまっとうな人間の役がらだ。
しかも2002年設定だから、ふつーに髪の毛もある(当たり前だが)
辮髪ビューティー(「蒼穹の昴/蒼穹之昴」)でもなく、
坊主(「少林問道/少林问道」)でもなく、
小汚く(「九州・海上牧雲記/九州·海上牧云记」)もなく、
スパダリのロング(「上陽賦/上阳赋」)などでもない。
至ってふつーの現代の髪型だが、もちろんじょー兄さんならどんな姿でもステキだ♡
 
正規販売元の会社がお大儲けして国家権力との忖度も理解している。
なので人間の道理と、自分に課せられた仕事との板挟み。
「俺は・・・
俺はいったい何をやっているんだ?
犯罪を・・・
悪い奴を捕まえるのが俺の仕事だったはずなのに」
「悪いのはニセ薬なのか?
助けてるんだろ?患者を
じゃぁ、なぜ俺は奴らを捕まえないといけないんだ」
という自問自答で疲れ果てている兄さんなのだ。
どっちにしろ苦悩する兄さんは(苦悩しなくても)ステキです♡
 
高額な薬代を支払い続けるために家を売り、家族を巻き添えにして破産してしまった老婆が登場する。
 
老婆は言う。
「あの薬は偽物なのか、本物なのか私たちは一番知っている」と。
老婆の手を優しく包む兄さんは何を思う・・・
1982年8月24日生まれの39歳、186㎝、65kg。
北京電影学院卒業。
 
ドラマ
「在一起」「煥臉」「風声」「大唐狄公案」「球状閃電」(待播含む)
映画
「解放·終局営救」「勇敢的妳」「掃黒行働」「痞子愛人」(待播含む)

神の薬じゃない!てこが見た感想

法律とはなんなのか。
医療や保険、貧困問題、と主題としているものは非常に重い社会派映画なのだが。
この映画の元となっているノンフィクションの結果が明るいものであるために、感動的に終わることができるし。
主役の中の人の醸し出す暖かさのおかげで明るささえ感じる作品だった。
ユーモアとドラマティックを併用し非常に見やすい映画だと思う。
 
ちなみに、ノンフィクションを説明すると。
5年の実刑判決であったが、その後大騒ぎになり多くの署名が集まり。
事態を重く見た裁判所は「やっぱ無罪ね」って変更。
正規の薬は保険適用になったし、輸入薬関税がなしになったり、ほかも色々と革新があった。
よかった。
 
この正規薬を販売してる会社と権力が手を結び巨悪となっていて。
それをちっぽけな存在たちが立ち向かう、っていうよくある設定じゃないのは。
ノンフィクションが元になっているからだ。
”真実は小説より奇なり”とはまさにこの事ではないだろうか。

華流映画

Posted by teco