中国映画『迫り来る嵐』原題:暴雪將至「The Looming Storm」映画レビュー:降り続く雨、中国ノワール【段奕宏ドアン・イーホン】キャスト情報・感想※ネタバレあり

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今日は、中国映画『迫り来る嵐』原題:暴雪將至「The Looming Storm」映画レビュー:降り続く雨、中国ノワール
を紹介するよ。
 
第30回東京国際映画祭で話題になった映画である。
新人監督・董越ドン・ユエの長編デビュウ作が最優秀男優賞と最優秀芸術貢献賞の2冠を獲得。
主演:段奕宏ドアン・イーホン。
 
タイトルからして、スーパー台風とかが来るパニック映画か、と思ったあなた。
違います。
ノワール”ですよ”ノワール”。
ぇ?「ノワールってなに?」ですか?
説明しよう。
虚無的・悲観的・退廃的な指向性を持つ犯罪映画 を指した総称である。
狭義には、1940年代前半から1950年代後期にかけて、主にアメリカで製作された犯罪映画を指す。
わかりましたか?
コメダ珈琲店のシロノワール(ノアール?)とはぜんっぜん違うっすよ?
 
しかし、この映画は中国で作られているし、年代も違うので、あえて言うなら
次世代中国ノワールである。
 
ではその”ノワール”とやらを体験してみよう。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

迫り来る嵐ってどんな映画なん?

雨、雨
雨、雨、雨
とにかくずーーーーーーーーっと雨模様。
映画全体を覆うこの灰褐色がこの映画の暗さを物語っているように。
時代は1997年、香港返還に浮き足立つ中国であるが、下々の人間の生活はそうそう変わらない。
そんな日常に突如起きた連続猟奇殺人事件。
その捜査に取り憑かれた中国工場労働者の男の行く末を描いた物語である。

この労働者がサイコパスなん?

部下に慕われる愛想のいい男。
工場で”名探偵”などと煽てられてその気になる男。
模範工員として表彰される男。
一方で女性の惨死体に異常に魅入る男。
恋人に触れようとしない男。
 
とまぁ、いろいろと鬱屈したものをマインドに秘めてるアブナイ男な訳だ。
この映画、極端にセリフが少ないし、画面は暗いし、雨降ってるしで、あんまり表情などが明確に見えない。
この一件凡庸だけど暗いし、写真撮ってるし。
なのでこの男が実はサイコパスなのか?と思わせといて、、、実は、、、でした、というどんでん返し。
 
で、主人公のこの労働者、いろいろなアレがあって思い詰めるまでになる訳だが、その変化が実によく表現されている。
冒頭の軽い感じから、弟分の死で執着に変わり、最終的に極端な狂気の世界に移行する様は鳥肌ものである。

背景にある行間?

文学的な事を書こうと思えばいくらでも書けるけど。
正直な気持ちを書くと、気持ちよくない。
 
97年の激動の中国の社会的な不安とか?
そびえたつ巨大工場が人を飲み込んでは吐き出す生き物?
そこで生きている人間が”誰でもいい””誰でもない”という虚無感?
”雨”から連動する、ぬかるんだ泥道、黒光するレインコートから連想されるもの、不吉さですか?
 
要は、いろいろと伝えたい・表現したいことってあるけど、自分で行間読み取ってね?、って作りな訳で。
冒頭シーンは実は2008年で、実は、、、でした、自分で穴埋め作業してね。
雨の日の祝杯(表彰式)は、実は、、、でした、自分で予想してね。
ラストのバスのエンストは、実は、、、でした、自分で折り合いつけてね。
 
とにかくそんな行間を読むのが割としんどい。

迫り来る嵐:キャスティング

工員@余國偉【段奕宏ドアン・イーホン】

”名探偵”と持ち上げられ、その気になり。
模範工員表彰ではスピーチまでして拍手喝采を浴び。
あわよくば国家公務員などに成れればなお良い、とふつーな夢をみる平凡な工員。
なはずが、一方では女性の惨死体に妙に魅入ってしまう。
そんな自分を隠す、もしくは懺悔の気持ちか、犯人探しに執着し、超えてはいけない一線を超えてしまう。
、、、
そして10年後、塀の外から帰還した男は10年前の真実を知る。
全てを知った彼は呆然でもなく、悟りでもなく、表現し難い空気を纏うのである。
実に素晴らしい表現力、存在感。
彼がこの作品で最優秀主演男優賞を受賞。
はぃ、ですよ、ですよねーーーー。
 
段奕宏1973年5月16日生まれの48歳、177㎝、68kg。
中央戏剧学院卒業。
ドラマ「我的团长我的团」「士兵突击」「鬼谷子」「大秦赋」

恋人@燕子【江一燕ジャン・イージャン】

不幸を集めて人型にしたらこうなります、っていうほどの不幸顔。(すいません・ぺこり)
本来は美しい女優さんなのです、念の為。
主角の工員と勝るとも劣らない”誰でもない””誰でもいい”感である。
この女も極端に喋らない。
コミュニケーション不足による思い込みが両者ともにすごい。
ですよね、行間を読まんといかん映画で、演員がべーらべら喋るわけにはいかないから。
「修羅の剣士」でも繊細な演技をしていた。

弟分@小劉【鄭偉ジェン・ウェイ】

この映画で唯一のおしゃべり・明るい設定のキャストである。
工員を「師匠」と呼ぶ純朴で善良な子。
イケメンじゃないけど、なんだかモヤりながら見ていて、何がモヤるか結局わからずじまい。
だが、ブログ執筆のためにいろいろとサーチして納得。
売れっ子の子役だった。
そんな彼ももう21歳、大人である。
正統派のイケメンではないが、イケメンじゃなくてもイケメンに見えるマジックが存在する。
役柄が魅力的で、それを演じ上げられればその作品において唯一無二のイケメンになり得るのだ。
本来そうあるべき、ただのイケメンなどつまらんしね。
がんばれ鄭偉。

迫り来る嵐 てこが見た感想

最初の印象と終わってみた印象がかなり違う。
物語が進むにつれて、映画全体のイメイジがアップデートされていく感覚。
見ながら因果関係を推測し、穴埋めをしたり、関連付けしたりを考えないといけない。
〜からのラストの流れはがっくりきた。
面白くないと言う意味ではなく、今まで自分が読んできた行間が全否定されたからである。
そう、てこの解釈は1ミリも合っていなかった、ということだ。
追い討ちで、ラストに異常気象の強烈寒波のテロップで完全にノックアウトである。
 
とりあえずノワールって難解。
恐らくこれは、とりあえず流れに身を任せて最後まで見て→結末から今までを振り返える、方式で見るヤツです、たぶん。
そうすると真実っぽいもの(作り手の意図?)がうっすらと見えてくる気がしないでもない。
 
”ノワール”とは「すんげーおもろかった」みたいなものではないのはよくわかった。
”唸り声”とか「なるほどなぁ」とかそゆ感じなんだと思う(語彙力)
 
自分が考えてることや、思いを伝えたくて文字を書いてみるが、思いのほか伝えるのは難しいのと一緒かもしれない。
実際このレビューを見て映画を見たくなるとは思えないし。
反省し精進しなければならない。

華流映画

Posted by teco