中国映画『鵞鳥湖の夜』原題・南方車站的聚會~The Wild Goose Lake〜映画レビュー:ビニール傘がサイコーに輝く瞬間☆そして光るスニーカーとジン・ジン・ジンギスカーン♪【胡歌フー・ゴー】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり
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今日は、中国映画『鵞鳥湖の夜』原題・南方車站的聚會~The Wild Goose Lake〜映画レビュー:ビニール傘がサイコーに輝く瞬間☆そして光るスニーカーとジン・ジン・ジンギスカーン♪
を紹介するよ。
2019にカンヌなんとかに選出、1年後の2020、5月に日本上陸。
と、割と早く来たもんで喜んでたけど、コロナで映画館閉鎖。
今年3月高田馬場の早稲田松竹で見てきましたよ。
で、「見たーー、よかったーー」で放置してたんだが。
最近U-NEXTに入ってきたので追い1巡である。
海外公開版「鵞鳥湖の夜」も悪くはないが、、、
本国公開版↑のポスターのなんとヌーヴォーなことよ。
ちなみに日本版のフライヤーは↓コレよ。
南方車站的聚會〜サウススティションで会いましょう
まぁ、コレよりはいいよね「鵞鳥湖の夜」
で、”鵞鳥湖”なるとこはサーチしても存在しない。
実際に撮影が行われたのは、湖北省の武漢らしい。
そうコビットさんの故郷の武漢である。
湖畔撮影は武漢の洪山区にある野芷湖という湖らしい。
で、冒頭いきなり女が胡歌に”拐子”と声をかけております。
、、、ちょっと驚く。
言葉も聞き取りにくいし、どうやら武漢の言葉のよう。
訛りみたいなもんだろうか。
でも日本語訳を見ると「おにいさん」ってなってるから。
”大哥”の武漢方言ってことでいいのかな。
で、物語はこのサウススティションから始まる。
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!
鵞鳥湖の夜ってどんな映画なん?
主人公の@周澤農(胡歌)はバイク窃盗グループの班長?部長?な感じ。
”バイク窃盗祭り”(一番多く盗んだグループが優勝)で警察に追われ逃走中に誤って警官を殺害。
自分にかけられた報奨金30万元を、ずっとほっぽってる妻に渡そうとサウスステイションへやってくる。
しかしそこに待ち人は来ない。
代わりにやって来た妻の友人@劉愛愛(桂綸鎂グイ・ルンメイ)に助けを求め、逃走するノワール・サスペンスである。
監督は刁亦男ディアオ・イーナン、前作「薄氷の殺人」(2014)はベルリンなんとかでなんとか賞受賞。
(ちなみに高田馬場の早稲田松竹さんでは豪華2本立てだった、ってか新宿もなのかな?)
映像表現とか、芸術性とか?
そういった話は他の方がわんさかされておるし。
物語を語るような作品でもない気がするので。
ノワール・サスペンスの方は他の方々にお任せして。
てこブログでは中華独特のモティーフについて語ろうと思う。
映画のそこかしこに見られるのは、中国独自の風俗や社会的特徴を多用した細部描写である。
この国は政府による特色のある解釈を、エンタメにも適用しなければならないルールがあるのだろう。
エルメスのパチもんのTシャツ(ほんとはヴェルサーチのパチ)を誇らしげに着る警官。
冴えないビキニと熟女に満ちた海水浴場。
@劉愛愛は”水浴嬢”と訳されてたが中文では”陪泳女”となっている。
泳ぎのお供、要するにビーチにおける風俗嬢である。
なんとも変な格好であるが、ポイントは帽子で。
帽子が”水浴嬢”のお印らしい。(本物は三度笠みたいなのらしいけど)
こんな水着見るといつの時代よ、とか思うでしょ。
2012年のお話、今から10年前。
日本じゃありえないビーチ風景と水着である。
↑はハイクラスな都会にいるわけではない。
バックの背景は看板である。
日本の銭湯の壁に描かれてる富士山と同じ意味合いを持つものであろう。
武漢の湖畔なのに都会にいるような気持ちになれると言うことか。
そこかしこがチープなのである。
汚らしい雀荘や汚らしい食堂。
中華圏特有の半ば朽ちた低層マンション群。
ネオンが瞬いているのに、周りは暗く寂れた雰囲気が同時に漂っている。
そして極め付けは、公共の場での謎のダンス“広場舞”である。
マスゲームのようにして踊るのはジン・ジン・ジンギスカーン♪である。
間違いない殿堂入りである。
ぽん菓子(お米のやつ)がばんって爆発したり、
夜店で売られてるおもちゃがウン10年前の日本である。
懐メロ聞かされて、懐かし夜店風景がなんともノスタルジックである。
そして忘れちゃならないノワール
そこにあったビニール傘を、ぐさっと、相当ぐさっとヤって。
根元までさしてからのご開帳。
わかりますか?手元と傘の間に人間が串刺しって事ですよ?
傘串刺しで開いてるんですよ?
ビニール傘ごしに広がる血の海。
間違いなく、この世で一番ビニール傘が輝いた瞬間である。
ノスタルジー✖️ノワール=もはや何を見せられているのかわからない、なのである。
終盤には、なぜだか(政治的な特殊な解釈のせいか)「潜入・警察24時」みたいな政府の官製ドキュメンタリーと化してしまう。
そしてトランスフォーマーのお面。
最後まで、こんな風に訳わからんわけです。
鵞鳥湖の夜てこ監修”イケメン備忘録”
容姿端麗な半グレ男子@周澤農【胡歌フー・ゴー】
↑見てください、コレ。
もぅ、っとにかっこ良すぎなんだが。
わかりますかね、右手に持ってるのがサラシなのだが。
サラシの端をテーブルに固定して、自らが体にサラシをきっしりと巻きつけるんですわ。
で、出来上がりの図↓
でねぇ、銃を組み立てていくんですわ。
かちゃ、かちゃ、とね。
〜からの、空虚を見つめて撃つ。
どのカットをとっても全てがお美しいのである。
こんな容姿端麗な男子が、半グレのバイク窃盗犯で警官殺人犯とか。
社会的低層圏の人間には到底見えないでしょ。
それなりのアウトロー感は出ているものの、やはり老練の俳優にはまだまだ遠いか、と思う。
実は胡歌は本作が初主演映画である。
今まで主にドラマで活躍して来たが、今回初めての主演抜擢である。
ちなみに、同時上映の監督の前作の「薄氷の殺人」の主演は廖凡なのだが。
こちらは持って生まれた悪人顔(失礼・ぺこり)に加えて、キャリアによる演技力で圧巻の役作り。
正直、こちらの方がやはり役者としての魅力は大きい気がする。
しかしながら、まだまだこれから、1982年9月20日生まれの39歳である。
これからも様々なキャリアを積み、美麗でありながら汚れ役もできるような俳優に育つことを切に願う。
鵞鳥湖の夜てこが見た感想
この映画を見たかった理由は”ミーハーココロ”である。
胡歌の初主演映画だから見たかった。
監督がー、とか
好きな作品のタイプがー、とかではない。
だから、見終わって間違いなく胡歌はかっこよかったし見れてよかった、とも思う。
胡歌ももうすぐ40、恋愛映画など見たくもないしやはり出るなら社会派作品であろうし。
新しい一歩としての作品でこんな映画に出会えたことは素晴らしいことではないだろうか。
全編にわたって粘着に描いて来たのは、社会的低層圏に生きる者の苦しさだったと思う。
その中で生きる泥臭い男たち、そしてその泥臭い男たちに蹂躙される女たちを描いた物語なのにも関わらず、結末は実に明るいものであった。
劇中は薄汚い街並み、ドアのない家、暗い雨、、、、
だったのがラストは明るい昼の空の下である。
そして報奨金を手にした女2人。
未開発の無法地帯で荒れ放題の景色から一転の青空の下。
それが貧困層からの脱出を暗示するラストなのではだろうか。
一方、お国柄を考えると
凶暴、虚無、頽廃、悲観的….
製作倫理コードの限界を超えかねないコンテンツだと検閲突破できない。
ので、ほんのわずかなハッピーで破滅性を和げたのかもしれない、などとも思う。
鵞鳥湖の夜おまけ
忘れるとこだったが、エンディングは胡歌が歌ってる。
♪美麗的梭羅河
途中マスゲームのダンスも披露しているので、見るがいい