映画『ブラインド・マッサージ』(原題・推拿)映画レビュー:闇を見る目【秦昊チン・ハオ】【黃軒ホアン・シュエン】【郭曉冬グオ・シャオドン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2022年4月27日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、映画『ブラインド・マッサージ』(原題・推拿)映画レビュー:闇を見る目
を紹介するよ。
 
原題『推拿』(tuīná)はマッサージするという意味。
推拿師(tuīnáshī)がマッサージ師という意味である。
本作は盲人のマッサージ師のお話なので邦題もわりといいと思う。
 
婁燁ロウ・イエ監督作品で、『浮城謎事』(二重生活)の後の作品。(たぶん)
2014だと思う。(公開されたのは5年くらい前2017?だったと思う)
 
畢飛宇ビー・フェイユィによる小説の実写化映画である。
南京にあるとある(沙宗琪)盲人マッサージセンターでの出来事を描いた群像劇。
キャストは実際の盲人とそうでない人と半々である。
 
テロップではなくナレーションで紹介されて字幕は流れない。
映像も視覚に不自由がある人を想像できる仕様になっている。
 
それにしても婁燁作品は日本人に愛されてる。
ほぼ全部日本上陸してるんじゃなかろうか。(いいけど、見れるからうれしいからいいけど、念の為)
王家衛ウォン・カーウァイ作品もほぼ全部上陸してるが、
「もはや何を見せられてるのかわからない」感が満載なのだが、日本では大人気である。
それと比べるわけではないが、比べても無意味なのだが、比べると。
婁燁作品は彼が描きたいものがわりとうっすらとはわかる作品である。
 
なぜ5年前の作品を今頃?と思ったあなた。
説明しよう。(いらない?するけど)
今てこは、秦昊チン・ハオ映画人アピール草の根活動絶賛開催中なのである。
てこがこよなく推しているハオにいさんが
などという”ラヴ史劇”なんぞに出てしまい。
あんな白フクロウみたいな顔でニヤつき、おおくの方に”イケ叔”とか言われるのが耐えられなかった。
なので、2連発で渋めの社会派ドラマをレビューしたのだが。
 
そんなで映画を見直すと。
「やっぱ、にいさんってさいこーっす」ってなり。
なら、このキャラも宣伝しときゃなきゃ、ってすぐ思い浮かんだ作品、それが『ブラインド・マッサージ』なのである。
 
ハオにいさんの実力を思い知ることができる良作である。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

ブラインド・マッサージってどんな映画なん?

「美」という災難に見舞われた
というナレーションから物語は始まる。
”美”とは何なのかという問いに、見えない者はどう考えるのであろうか。
 
などとわりかし小難しいことを考えるのだが。
根源とか、愛とか人生とはとか、社会とか芸術とか・・・
はとりま考えない方がいい。
ふつーの青春映画である事には変わらない。
ただそれが盲人の話って事。
見えるから、見えないから、どっちがどう、ということではなく。
見えない世界ってこんななのか、って素直に感じたい。
 
沙宗琪マッサージ院で働く盲人たちの人間模様なのだが、既婚者はおらず(たぶん)わりと若い世代が働いている。
どんな世界であろうとヤングの関心事はラヴである。
既にバディがいる人は次のステップに進みたいし。
いない人はあれやこれや夢を見る。
 
マッサージ院の面々
↓結婚を夢見てお見合いを繰り返す院長の@沙復明(ハオにいさん)
↓ちーこの時(小学生)に交通事故で視力を失い”いつか回復する”と言われ続けてる若手の@子馬(黃軒ホアン・シュエン)
↓客から”美人すぎる”と評判の@都紅(梅婷メイ・ティン)
↓そこに沙院長の同級生@王大夫(郭曉冬グオ・シャオドン)が恋人@小孔(張磊チャン・レイ)と駆け落ち同然で転がり込んできた事で、和気藹々だったマッサージ院に妙な緊張感が生まれ始める。
子馬は王と一緒にやってきた小孔(↑左)に一目惚れする。
目が不自由なのだから”一目惚れ”ではないのだが、心理的に”一目惚れ”なのである。
 
この映画の特徴として。
視覚が不自由な方の感覚は知りようがないが、こうなのではないか、と考えられる試みが見られる。
一部、もしくは全部がピンボケであったり、視界が狭く感じる映像であったり、歪んでいたり。
暗闇になったり、光線が差し込んだりと、考え得る多くの方法を試している。
 
そして、視覚以外の感覚を重んじるいわば必然的なことを日常として描いている。
子馬が一目惚れに至った経緯もまさに視覚以外の感覚で感じ取った故であるのだが。
子馬が”見る事”と同義として考えているのが”触る事”である。
子馬が小孔を見るために触るのである。
そしてそれを補うのが”匂う事”である。
小孔と認識するために、触り匂う。
 
子馬が小孔が好き過ぎて暴走しそう、と心配した同僚が子馬を風俗店へ連れて行く。
そこで子馬は娼婦@小蠻(黃璐ホアン・ルー)と出会い恋に落ちていく。
ある日、風俗店で喧嘩になり(小蠻をめぐって)ひどく殴られたら。
!!!
何も見えなかった暗闇にかすかに光が差し込む。
何かがかすかに見えるようになるのである。
 
子馬が念願の視力を回復した
 
こっからの流れがほんとになんというか・・・
監督が描きたかった事って・・・って勘ぐっちゃう案件なのだが。
 
子馬が視力を回復して一番にした事って、何だと思う?
ここいら辺は、これから見る方にいろいろ感じて欲しいから書かないが。
 
子馬は見えなかったものを順番に見ていく。
そして見えたからこそ選択し、決断する。
 
現実に見えてるものが真実とは限らない。
見えない事でより見えていたことがあるのだと。
小蠻との情事には”ホンモノの愛”があったのだと気づいたのであろうか。
 
子馬あれこれと同時進行で、マッサージ院の面々の事情も進行していく。
美人と名高い@都紅は
「綺麗だっていうのに何の意味があるの」
なんて達観してる彼女だが。
不幸な事故で手に怪我を負ってしまう。
彼女は言う
「他人に借りを作りたくなかった。
誰に対しても。
親切な兄弟姉妹であっても。」
彼女の選択した道は、彼女の生き様であるし、身一つで生きていきたいと言う彼女の意思でもある。
 
そして彼女を支えたかった、愛し愛されたかった@沙院長(ハオにいさん)は大量の吐血をする。
それを見て大騒ぎする従業員を横目に。
マッサージ院の面々はその鮮血を見る事はできない。
感じられるのは、慌てふためく騒がしさと血生臭い匂いだけである。
 
自分の視力が少しでもあるうちに、結婚式をして花嫁姿を見たいと願う同僚もいる。
道楽者の弟が借金をしてヤクザに取り立てられてる@王大夫。
そして自分の将来(彼氏の王大夫)に不安を感じてる恋人の@小孔。
それぞれの生きる道は・・・
ってな流れです。

ブラインド・マッサージてこ監修”イケメン備忘録”

綺麗って?な男子@沙復明【秦昊チン・ハオ】

@沙復明こと【秦昊チン・ハオ】うちのハオにいさんです♡
 
どうです?
すごない?
どうやってるかはなぞだが、完全に成り切ってます。(差別的に捉えないでください・お願い)
薄毛だったりゲイだったりいろいろやるが”なんでも成り切れる”それがにいさん。
勝のとーさん(勝新太郎)と同等とはいかないがかなりイイ線行ってる気がする。
 
今回もいいキャラ作りをしていて、お見合いでこっぴどく振られるのだが
「see you later」
と明るく場違いにポジティブシンキングや
紳士ムーブでダンシングなど。
役作りに余念がない。
 
盲目なために”美”観念が欠落しているわけだが。
客が口々に
「彼女ってめっさ美人やねぇ」
と言ってる@都紅の顔がどんななのかが興味津々。
「ちょっと美人ってどんななのか知りたい
お願い」
って言って、触る、撫で回す、匂いを嗅ぐ、顔に触れた指を舐める、とキモメンムーブ全開である。
「そうか、これが”美人”か」
と秒で恋に落ち、執着してゆく。
 
誰でもいいから自分と恋に落ちて欲しい、〜
から、美人と恋がしたい、に変わったにいさん。
そもそも、視覚が不自由な人にとっては容姿の美麗さは重要ではないのに。
なぜか美に執着してしまったにいさんが悲しい。
おそらく(原作読んでないから違うかもだが)ダンスなんかで、
「男前よ」
とか
「目が見えてたらモテたでしょうに」
みたいな事を言われてて、”美”に対しての”何か”があったのではないかと妄想してる。
 
苦労して開いたマッサージ院も閉鎖だし、病気も治さないとだし、彼女もいないし。
ラストの寂しそうな笑顔がことの他悲しいにいさんをみなさんも見てやってください。
↑最新作@大博弈より
 
1978年5月19日生まれの43歳、181㎝、65kg。
中央戯劇学院卒業。
 
「猎狼者」「沙海」
「浮城谜事」「234说爱你」「妖猫传」「上海王」「革命者」

見事に返り咲きな男子@子馬【黃軒ホアン・シュエン】

@子馬こと【黃軒ホアン・シュエン】である♡
 
何が返り咲きかと言うと、彼は実は『スプリング・フィーバー』にもキャスティングされていた。
クレジットにもしっかり名前はあるが、実際の出番はない。
悲しい事に編集でカットされてしまったようだ。
5年後”5年前はごめんねキャスティング”で見事に返り咲きである。
 
子馬は見える世界から突如として母と視力を失った。
いつか視力は戻ると言われ続けてたのにいつまで絶っても戻らない。
〜からの自殺未遂。
生還した後は、半ば達観し盲学校へ通いマッサージを覚え就職。
 
そこへ突如としてやってきた淡い初恋、である。
「ついに現れた、憧れの人」
触りたい、嗅ぎたい、聞きたい
そんなパッションがほとばしる子馬。
こんなにエロス満載の黃軒を見るのはみなさん初めてではないだろうか。
 
彼のイメイジは、朝の連続テレビ小説の昭和なメガネな真面目学生男子♡ではなかろうか。
ぃや、違うんですヨ。
脳裏にばっちりと焼き付けとくがいい。
 
色々と思うところはあるものの。
ラストシーンで、子馬と小蠻が見つめ合い。
子馬がはにかんだ笑顔を見せるのだが。
そんな笑顔見せられたら・・・ってなるんですヨ。
1985年3月3日生まれの37歳、177㎝、60kg。
北京舞踏学院ミュージカル学科卒業。
 
映画「グレートウォール」「芳華」「空海KUKAI」
ドラマ「羋月傳」(ミーユエ其の1其の2)「親愛的翻譯官」(わたしの嫌いな翻訳官)「女醫·明妃傳」(女医明妃伝)「九州·海上牧雲記」
「风起洛阳」「山海情」「瞄准」ほか多数。
今や超売れっ子の注目度の高いイケメンである。

ブラインド・マッサージてこが見た感想

見える人と見えない人の違いが良くも悪くも感じられる。
 
例えば、彼らが暮らす寮での生活は”見た目”にプライベートがだだ漏れである。
本来なら隠すべきことが、視覚が不自由なために隠す必要がないのである。
その代わり、認識するために”触る””聞く””嗅ぐ”必要があるので距離が近い。
この距離感は目が見えるものからすれば”エロい”などという不謹慎な感想を持ってしまうのであるが。
視覚の代わりに他の感覚でそれを補っているだけで、彼らにとっては自然な行動なのである。
 
「電気なんてつけなくていいのよ、見えないんだから」
と言ったり、なぞなぞで盲目自虐あるあるネタを話したり。
そんなのとは裏腹に、本心では日々コンプレックスと格闘している。
見る事は叶わないのに、写真を撮るときには笑顔にしたり、写真を飾ったり。
「健常者は1級上の存在」という彼らの葛藤の深さを想像せずにはいられない。
 
都紅が言う
「目には種類があるの。光が見える目と、闇が見える目が――」
 
これは単に、目が見える人が光を見て、そうでない人は闇を見る、という事ではなく。
見える見えない関係ない話なのだと思う。
見える人も見えない人も、どちらも心の目で見ようね、って話なんじゃないかな。
 
この映画は実際に視覚が不自由な方もキャスティングされているのだが、彼らは完成した作品を”観る”ことはできない。
しかし、視覚を補ってあまりある感受があるのだと、そう理解する事はできた。
てこは目は見えるが、それほどの感受があるとは思えない。
そんな事を感じた作品だった。

華流映画

Posted by teco