中国ドラマ『コウラン伝〜始皇帝の母』(原題・皓镧传)ドラマレビュー其の1:于正が描く恵文王の曾孫嫁って?【聶遠/聂远ニエ・ユエン】【茅子俊マオ・ズージュン】【王雨ワン・ユー】【佟夢実/佟梦实トン・モンシー】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2022年8月7日

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今日は、中国ドラマ『コウラン伝〜始皇帝の母』(原題・皓镧传)ドラマレビュー其の1:于正が描く恵文王の曾孫嫁って?
を紹介するよ。
 
于正Pのこのドラマ、気にはなりつつも、長いのと、NHKでの放送後の評判がイマイチだったり、宮廷ものの女どもの悪巧みが苦手だったり、で敬遠していたのだが。
ここんとこ立て続けに昼ドラ調の家庭劇を面白く見れたので、今の自分なら見れるのでは?などと思い視聴開始。
 
で、始めてみると
于正のくせに、やっぱりさすが于正なのである。
なんだかんだで于正が好きなのではないだろうか自分、と思う今日この頃。
 
評判が悪いのは、リアルじゃないとか?そんな感じ。
例えばこの時代にガラスはない、とか鏡はピカピカじゃない、とかね。
ふふっ、と鼻で笑いたい。
だってオフィシャルな”呂不韋伝”では、政は異人の実子ではなかったという記述がある。
そこに喰いつくならまだしも、小道具に文句つける?
全てはフィクションであるのに、なぜにそんな些事にこだわって批判するのか意味わからん。
そんなこと言ってたら、化学繊維の衣装もNGであるしな。
↓日本は弥生時代、そんな時代の物語なのだからほぼ虚構である。
シナにおける最古の歴史書は、司馬遷の”史記”であるが、武帝時代(前漢)に書かれたものである。
秦王政の部分は、前漢よりも百年以上も前の歴史であるため、おおまかな事例は事実であったとしても、人の性格などは言い伝えられたものから創造している訳である。
 
”皓镧”という名も、まったくもって于正の創作。
恵文王の曾孫嫁は史記では”趙姫”と記されており、呂不韋の妾だった、とスキャンダルにも言及している。
なので、細かい話は置いといて”ハオラン(皓镧)ってこんな女だったんじゃ?ストーリー”で、
間違っても”史実実写化”などではないということを明記しておこう。
 
ちなみに、春秋時代のシナを書いた小説「重耳(ちょうじ)」は宮城谷昌光センセの傑作小説であるが。
”史記”の内容をふんだんに採用している。
漢文で書かれた”史記”では、人間の気持ちなどわかりようがないのに、宮城谷センセの小説は、登場人物それぞれが個性的な性格を持ち、為人がわかるように描写されている。
加えて、”史記”の記述にのっとって書かれているので歴史のこともよくわかり、非常に素晴らしい。(語彙力)
古いシナのことを知りたいなら読むがいい。
 
ところで、この「コウラン伝」であるが。
NHKで放送されたのが60分✖️34回。
わたしが見た大陸版は45分✖️62集。
ぇえ!?
およそ12時間分のカットである。
中文視聴は苦しいが、カットされたNHK見るよりいいのではないだろうか。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

皓镧传ってどんなドラマなん?

ざっと時代背景を説明しとこうか?

春秋戦国七国時代。
壮大な戦争スペクタクルな時代である。
 
で、七国とは
秦・斉・趙・楚・韓・魏・燕で、”戦国七雄”と呼ばれていた。
七雄の中で強勢を誇るのは、西方の秦、東方の斉、北方の趙、南方の楚で、
その中でも秦が台頭していく歴史が戦国時代である。
秦が強国化した理由は”商鞅(しょうおう)の変法”がきっかけと言われている。
商鞅は元は亡国である衛国の出身で、衛鞅とか公孫鞅などとも呼ばれる。
最初は魏に仕えるも重用されず、秦に赴き信任され改革を行なった。
 
秦はその後も、恵文王に仕えたのは張儀、昭襄王には魏冉と范雎、秦王政すなわち始皇帝を支えたのは呂不韋と李斯、と他国出身者を重用し続け強国化していく。
ちなみに呂不韋は韓出身の成り上がりの商人である。
 
中華ドラマでは、多くの方が見てる「芈月(ミーユエ 王朝を照らす月)」の芈月の曾孫にあたるのが、ハオランの夫の嬴异人/嬴異人である。
漫画「キングダム」だと太后(美姫)である。
 
豆知識を語ると。
ぇ?いらない?
、、、
まぁ、そう言わんと、聞いてください(懇願)
 
嬴异人/嬴異人は秦国王孫(芈月の息子の昭襄王の子である孝文王の子)いわゆる庶子である。
安国君(考文王)には20人以上の子があった上にままんである夏姫が安国君から気にいられなくなり、異人はの人質として捨て駒のごとく出され、以来苦汁を嘗める生活を送る。
 
その後に呂不韋の導きの元、無事秦国へ帰ることが出来、安国君に気にいられていた華陽夫人と呂不韋が接触する。
で、呂不韋は言う。
「あんたは子供いないだろ?
このままだと長子の子傒が帝位に付くけど?
居心地悪いよ?
だから異人を味方につけとくと老後が安心じゃね?」
ってことで、異人を養子にすることにする。
その際、華陽夫人が公女であったことにちなみ、子楚と改名した。
ここいら辺は、ほぼ史実通りにドラマも編成してあった。
 
異人のままん(夏姫)は史実では出生地は不明だが、ドラマでは韓出身(たぶん)、華陽夫人は楚出身、ハオランは趙出身、
他も、嫁入りしてくる者は皆他国の人間で、婚姻が重要な和平アイテムであった時代である。
ちなみに、言語が統一されたのは始皇帝の時代であるため、他国から嫁入りしたものは、意思の疎通は出来ても読み書きはできなかったはず。
ハオランはドラマでいきなり秦国の愛憎もつれ事件の裁判事例の竹簡を読んでたが、不可能であるということを明記しておこう。
 
文字統一の裏にはなかなか胸熱なエピソードがたくさんある訳だが。
ぇ?知らなくていい?
、、、。
もう、みなさんうんざりしてる頃だと思うので、ここでは泣く泣く割愛しようと思う。

で、どんなドラマなん?

第1部は、趙国時代
イー:ハオランが呂不韋の世話になるきっかけ→呂不韋と恋仲になり→巡り巡って異人に嫁ぐまで。
アル:趙国ロイヤルファミリー、皇子(趙蛟)による謀反失敗まで。
サン:@異人さん人質生活から、秦国帰還まで。
 
まずメイン演員のラヴラインであるが
呂不韋⇆ハオラン←異人、というよくある構図ではある。
ではあるが、ここはさすがの于正。
ハオラン←皇子(趙蛟)←岫玉(瓔珞の@舒貴人)であったり、
ハオラン←異人←趙雅(辰汐縁の@元瞳)であったり、
と、一つの三角関係にとどまらず、無限の広がりを見せる仕様である。
 
@趙蛟と@異人のそれぞれの女への塩対応に皆がスッキリし、皆が”ハオランage図式の罠”に陥る事となる。
圧倒的な質量で、これでもかとかぶせてくる于正の技法に、さすがの百戦錬磨のてこもgive upとなる仕様。
まんまとてこもハオランageしちまったクッソ(失礼・ぺこり)
 
趙国ロイヤルファミリーが実に多種多様で面白い。
皇帝は占い好きで、遊び好きで、猜疑心が強くて世間知らず。
嫁の太后はヤバめのサイコパス。
側室たちも、もれなく人間性が歪んでるし、その庶子たちも言わずもがな、と話題に事欠かない。
 
秦国ロイヤルファミリーも負けず劣らずの歪みようなのだが。
壮大な戦争スペクタクル時代なのに、王様がこぞってこんな出来損ないでいいのだろうか、などと要らぬ心配をしてしまう。
こんな”できない男”感丸出しな王様だからなのか、女どもの逞しさったらパねぇ訳である。
てこブログでは女の事は語らないルールなので割愛するが。
このドラマは、それぞれの女の濃厚な執念ドラマと言って過言ではない。
 
そして、忘れてならぬのは、2人の男のそれぞれのかっこよさである。(語彙力)
于正がセンスあるな、と思うとこは、どちらの男も
帯に短し襷に長し、であるというところである。
どちらの男にも魅力があり、そしてどちらにも残念な部分もあるという事だ。
この絶妙な匙加減がいい塩梅で、てこを徒然悩ませるのである。
(アンドレ派かフェルゼン派か、と悩む感じ)
 
第2部は、荘襄王(異人)即位・ハオラン秦生活
イー:秦国ロイヤルファミリーのお家騒動。
アル:趙国ロイヤルファミリー太后の叛逆。
サン:メオト愛の様子。
 
于正のドラマの特徴は、登場人物が多いのと、どんすか死亡退場する事であるが、本作も例外ではない。
いつも安定のヴィランズの数名は死亡退場であるが@元瞳はしぶとく生き残っており、今回も最後までいい仕事ぶりであった。
 
昭襄王が死去し安国君(考文王)が新王となったが、在位わずか1年である。
しかも喪が明けて正式に即位したが、3日後に53歳で亡くなっている。
 
ドラマでは、ここいら辺は忠実だが死亡エピは一味加えてある。
華陽后のただの浮気というか、男遊びかと思いきや実は考文王はDV夫だったとか。
「まじかっ、さいてー」
という淑女たちの罵りが聞こえてきそうである。
 
毎日が苦難の連続であるのに関わらず、物語はいきなり”7年後”とか”3年後”とかになる。
ぇ?何も起こらなかったの?
とか、モヤるのだが、ここが于正の手腕の見せどころであるわけで。
モヤを吹き飛ばすスピード感と、新キャラ投入で煙に巻く。
結果「ま、いっか」となる図式である。
 
皆が名前だけで!!となる
@趙高や@嫪毐という、みなが毒男だと思っているキャラをぶっ込んでくる。
てこが食いついたのは@白仲である。
顔とかのビジュアルではなく、あの秦国レジェンド将軍・白起の息子だというではないか。
さぞかし破格な設定かと期待した自分を叱りたい。
 
趙国の太后の叛逆も「こんな王様なら仕方ない」とてこは思ってたので、密かに太后を応援してたのだが。
実は王様を愛してた、だと?
ねじれた愛の濃厚な執念だったとは。
王様を黄泉に連れて行った行為は評価したい。
 
残念な次男もいたし、残念な将軍もいたし、秦国にも残念な男子がわんさかと大挙である。
これは後でまとめててこ監修”イケメン備忘録”で紹介したい。
 
ハオランについて廻る噂、それは「政は呂不韋との子」である。
相変わらず異人はハオランを一途に愛しまくっているために、まわりの女どもがうるさい図式。
 
異人側室サイド
異人実母サイド
華陽后サイド
@元瞳サイド
 
と、権力闘争と愛憎を絡めた実に多彩な角度からの攻撃を迎え撃つチームハオランという構造である。
ちなみに、@チームハオランのメンバーは
ハオラン&呂不韋&異人、の3人組➕お付きの従者たち。
 
揺るぎない繋がりとはいえ、こんだけ横槍が入ると。
呂不韋も相変わらずハウランのことが好きなようだし。
ハオランは過去は吹っ切ってるようだが、異人は誤解したりして拗れていくのだろうか。
そして、そんな噂を聴きながら育つ政がどんな子に育つのか。
などと心配はつきない仕様となっている。
 
第3部は、荘襄王(異人)崩御、始皇帝時代の幕開け
イー:異人が死ぬ、残されたハオランは。
アル:始皇帝あれこれと、始皇帝今後の展望
サン:ハオランと呂不韋
 
異人の最後にはてこ脱帽。
後で備忘録にて詳しく解説したい。
立つ鳥跡を濁さず、で全てを政のために段取りをして逝く男。
「これは異人の勝ちか」とこの時点では思ったが。
後の呂不韋の退場劇(死んではない、念の為)を見ると、こちらもこちらで奥が深かった。
幸せには程遠い人生であったハオランではあるが。
2人の男の深い愛を受けるとはいったいどんな心地であろうか、などと想像したくなる。
そんな胸熱な2人の男であった。
 
お待ちかねの始皇帝ターム。
嬴政がどんな風に描かれるのか、興味深く視聴した。
史実通りに、今や始皇帝デフォルトとなっている”粘着サイコな始皇帝”ではあるが。
史実ではなく、功績から推測される彼の聡明さも描いていることに注目したい。
粘着・サイコ・猜疑心だけではなく、
事を計画する緻密さと、実行する行動力、決断する意思の強さ、そこいら辺を匂わせる脚色に割と満足している。
 
ハオランと呂不韋であるが。
彼らは最後までプラトニックな関係であったし、男女の愛など超越した崇高ささえ感じ、ラストも綺麗に回収されている。
 
では”史記”ではどう書かれているか。
史記の”呂不韋列伝”によると。
ハオランは元は呂不韋の妾で、異人に輿入れ時に既に身籠っていた。
輿入れ後も政の生母である太后(趙姫)と密通していた。
これは元々好色で、荘襄王の死後に男なしでは居られなくなった太后からの誘いであった。
呂不韋としても、元愛人であった太后への未練を断ち切れず、関係を戻したのである。
しかし、政が成長するにつれて、今や国母となった太后との不義密通を続けるのはいくらなんでも危ないと感じた呂不韋は、嫪毐を太后に紹介しただけでなく、男性の入れぬ後宮へ、宦官に偽装して送り込んだ。
太后は嫪毐に夢中になり、息子を2人生んだ。
とある。
しかしながら、実子問題については史記秦始皇本紀では触れていないので、それを否定する歴史家もおり、始皇帝を中傷するために作られた話とする見方もある。
真実を知っていたのは呂不韋と太后のみである。
 
こういった事は全て棚に上げ、本作ではハオランは庶子ではあるものの良家の子女設定であるし。
呂不韋に拾われるそれなりのエピを用意し、自然な形で囲われるように物語を構築している。
その後、呂不韋と恋仲になるも、やむない事情で異人と結婚に至るエピも無理なく自然。
そして、呂不韋を愛してはいるが、誠実な異人の愛に応える選択も、無理なく共感できる。
呂不韋列伝で語られるハオランとは真逆な、むしろ高潔ささえ感じる人物設定である。
 
呂不韋も、成り上がりの権力欲に塗れた男、というのが一般的な解釈だがそれも一掃されるキャラ設定。
荘襄王(異人)に至っては、これと言ったイメイジもなく”始皇帝のぱぱ”くらいしか認知されていないところを、払拭されるほどの賢(かしこ)クラスで魅力溢れる男に描かれていいる。
なので、非常に斬新なキャラ設定のチームハオランなのである。

皓镧传てこ監修”イケメン備忘録”は次回に繰越ごめんね?

てこ監修”イケメン備忘録”を楽しみにしてた方、ごめんなさい。
ここまでも十分に長くなってしまったのに、言いたいことのほとんど(イケメン語り)を出来ていない状況。
しかも、2〜3人に絞ることなど不可能。
なぜなら于正は、ちょっとの端役もいい俳優使うから。
 
って事で、次回は”イケメン備忘録”特集。
で、イケメンを紹介しながらドラマを語りたい。