中国ドラマ『天地に問う~Under the Microscope~』(原題・顕微鏡下的大明之絲絹案/显微镜下的大明之丝绢案)ドラマレビュー:《3530》の謎を解け!?【張若昀/张若昀チャン・ルオユン】【王陽/王阳ワン・ヤン】【費啓鳴/费启鸣フェイ・チーミン】【呉剛/吴刚ウー・ガン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年11月27日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『顕微鏡下的大明之絲絹案』(原題・显微镜下的大明之丝绢案)ドラマレビュー:《3530》の謎を解け!?
を紹介するよ。
 
【基本情報】
 
監督:潘安子
脚本:馬伯庸(総編劇)、周栄揚
P:戴瑩、徐康(総制片人)、徐蜜、周可慧、徐泰
原著:馬伯庸《顕微鏡下的大明》
主演:張若昀、王陽、呉剛、高亜麟、費啓鳴、戚薇
プラットフォーム:愛奇藝、2023年2月9日〜
40分✖️14集
 
中国神作家のぼよんセンセ(馬伯庸マー・ボーヨン)原作のドラマ化、一応シリーズ第一弾だ。
原著は6つのエピソード(ノンフクション)から成る様で、本作”絲絹案”はその一番最初のエピソードだ。
なので、これはおそらくシリーズもの(シーズン6完結)と成るはずだ。
このおいしい、ぼよんセンセのシリーズもの、おそらく高確率で日本上陸するだろう。
その主役がなぜ若昀なんだろうか。
彼は、続編を待ち焦がられてる「慶余年」や「雪中悍刀行」というスーパーハイパー人気のドラマの主役も演っているのだ。
いろいろとお忙しい身の上なのだろうから、だれか他の俳優に譲ってくれればよかったのに・・・
 
キャストを見ると・・・
渋いっすよ、何かと。
明らかヤングは一人だけで、ほとんどが叔世代。
この叔世代の古参の圧がすごいっすね。
 
脚本にもぼよんセンセは関わってる様なので、政治的な話も多いが、おそらくはしっかり検証済みだろう。
だから鵜呑みにしても良いのではないだろうか。
 
注・てこブログは、大いなるネタバレを含みます。
閲覧の際は、十分にお気をつけ下さい。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

顕微鏡下的大明之絲絹案ってどんなドラマなん?

3530の謎を追え、ってお話だ。
 
主人公の若昀は20年前にぱぱままを火事で亡くした孤児。
天才的な算数頭脳を持つが、
 
・人とは関われない
・ついでに火事当時の記憶もない
・ショックによるPTSD
 
という設定で。
亡きぱぱの
 
「ねぇ、3530ってなに?」
「3530という数字を覚えておけ、おれの名誉と不名誉全部がつまってるんだ・・・」
 
という言葉だけを覚えてる若昀。
一緒に育ってきた親友男子とギャンブルしに行った先でトラブル発生。
↑親友男子【費啓鳴/费启鸣フェイ・チーミン】
いろいろあって、賭博場の経理計算してるうちに違和感を感じ、仁華県の機密書類を盗み見た若昀。
 
おれってば発見したった!3530!」by若昀心の声
 
という話から物語はスタートだ。
 
仁華県が毎年納めている人丁絲絹税額3530両。
本来は、金安府8県で分担して納めるはずが、なぜか仁華県だけで負担している、という事実を突き止め、役所に訴え出る。
 
で、このヤングふたり(若昀と親友男子)が、多くのお役人に悩まされながらも道を切り開いていく流れだ。
 
このお役人たちが曲者揃いでいちいち楽しい。
仁華県にしてみれば、自県の税金が安くなるのだから良い話なんだが。
他の7県にしてみれば青天の霹靂、いまもカツカツでこれ以上払う余裕ない、って話。
↑金安府8県のゆるい地図
 
でも仁華県知県は、そんな事したら揉めるからいやだなぁ、今困ってる訳じゃないから、何とかなんも無かった事にできないかなぁ・・・とかそんな感じだ。
↑は拗らしたり、助けてくれたりする古参叔勢だ。
 
そして、7県の知県よりも、”れ困るぅ!”と激おこな叔がおって。
それが↓【呉剛/吴刚ウー・ガン】さんだ。
「慶余年」の時は若昀助けてたのに、今回はヴィランのようだ。
 
そして、この激おこ叔にへいこらしてヤング二人を追い詰めるのが、ロバート秋山だ。
ロバート秋山こと【王陽/王阳ワン・ヤン】だ。
それこそ「慶余年」では幸運にもおいしい役をやり、最近では謎に活躍中のロバートだが。
なんだか、イケメンみも振りまいてるのだがね。
てこの中での王陽はやはり「金玉(金蘭良縁)」におけるロバート秋山に他ならない。
長いてこブログの歴史の中で、てこ監修”イケメン備忘録”が該当者なしだった伝説のドラマだ。
その中でのロバート秋山を紹介しておこう。
これだ。
これが横恋慕できりきり言いながら闇堕ちしたのだ。
てこはこの頃の王陽に戻ってきて欲しいのだ。
なんかかっこつけてない、自然回帰な王陽の方が今よりも魅力的なのだ。
 
でもまぁ、そんな事言っててもしょうがないし、今のイケてるロバートが最初はやな奴役だ。
ロバートの言い分は
 
・若昀のぱぱは3530両横領の罪で自殺
・犯罪者の息子なので信頼性に欠ける
・世間を騒がした罪で有罪
 
と言う事で牢屋行き。
物事が好転して、無罪→お役人悪さを企む→有罪→物事が好転して無罪→続く、
といささか同じ様な展開が続く。
しかも主役である若昀は、
 
・計算してるか
・倒れてるか
・牢屋入れられてるか
 
なので、動いているのは親友だったり、良いお役人だったりと、当の若昀の出番は少ない。
しかし同じ様な展開で飽きが来るかと問われれば、それは”否”だ。
飽きる事なく見せてくれる。
 
・お役人だ、といばってても所詮は田舎もん、もっと偉い人はたくさん居るというピラミッド考証がわりと楽しい
・そしてそのお役人の心が変わっていく様子が興味深い
・ヴィラン勢がしょぼいこと、荒くれ者たちの詰めがあまい
・時代考証がリアル、陳述書の値段とか交渉とか
 
さらには、可哀想な農民のエピで、農民の生活の苦しさとほのかな恋♡もぶっ込み、親友男子の精神的成長まで同時進行する高等技術。
驚くのはまだ早い。
ロバート秋山の過去ばなで、ロバートの憎っき仇が登場したりして、なんと”ロバートあげムーブ”がぶっ込まれた。
これはあれですか?
もしかして、もしかするけど。
ロバート、脱ヴィラン良い人転向ですか?
もしかして、もしかするけど。
肉屋の姐さんとも♡になる流れですかね?
・・・
で、3530両だが。
絲絹税も3530両。
若昀ぱぱの横領額も3530両。
でもこれは=(イコール)ではないのだ。
つまり、税金問題の影に大きな問題が隠れていると言う事であり、それが何かというと、それは”土地見積もりの嘘”、である。
小さな土地で農作物を作りながら税金を四苦八苦して払う農民。
しかもその土地は、国から言われてる面積よりほんの少し小さいと言う事実を農民は知らない。
その影で、大きな土地を持つ富豪が、面積を改竄し小さい土地として申告し、少ない税金を支払い懐は暖かい。
若昀ぱぱが横領したとされる3530両は、農民が払う税金(広い敷地にかかる税金−本当の税金、つまり搾取された分)という事だろうか。(実はよく分かってないてこだ)
 
若昀ぱぱの冤罪は、ラストには綺麗に片付くはずだが。
しかし、ここで3530に拘ってる若昀は、税金がどうとか、農民の暮らしがどうとか、役人たちの思惑がどうとか、ぱぱの冤罪をはらすとか、全く意に介していないのだ。
 
「数字が間違っているなら正したい」
 
ただそれだけ、なのだ。
この突き抜け方が異常だ。
孤高の天才は、凡人の考える事など気にしないのだ。
中途半端に、人の気持ちなどもわかる時もある天才、よりかはずっと魅力的かも知れない、などと思ったり。
なので、今まさに斬首その時、って時ものんびり空を眺めたりして、彼の心が何を考えてるのかなど知る由もないのだ。
親友がぎゃーすか騒いでるのが対照的で印象的だ。
 
「おまい、なんで来たの?
死ぬよ?」
 
「だって、ほっとけねぇだろ・・・
助けに来たんだって。
ダメなら一緒に死ぬよ」
 
「・・・(にやり)」
 
と一事が万事こんな感じで、普通の人間が考えてる様な事、例えば”友情”とか”義理”とか、感じてるのかなぁ、などと思うのである。
 
牢屋→無罪→牢屋→無罪→牢屋→斬首
と変わり映えしない流れなのに、全くダレる事なくクライマックス突入だ。
 
クライマックスの肝は
 
・若昀助かる?
・3530問題
・ヴィラン退治
 
この3つだ。

顕微鏡下的大明之絲絹案てこ監修”イケメン備忘録”

孤高の天才な男子@帥家黙【張若昀/张若昀チャン・ルオユン】

もはやてこブログ古参の若昀こと【張若昀/张若昀チャン・ルオユン】だ。
 
慶余年」もたしか其の3くらいまで書いたし(レビュー)「雪中悍刀行」に至っては其の5まで書くと言う、わりとあほな事をしているてこである。
その都度ランクインしてるのだから、下手したら若昀のファンダムだと思われかねない状況だ。
確かに@ふぁんしー範閑の時はちょっと心が浮き立ったが、@徐鳳年の時にはわりとすんっ、と醒め気味だったものだ。
今回は・・・
 
まじで、セリフとか少ないし、
動きもほぼないし、
・・・
ジャッジしようにも、コレっ、といった特筆すべきものがない状況だ。
無理矢理書こうと思えば、例えば悲惨な思い出がフラッシュバックする様は迫真の演技で〜〜ほにゃらら、とか書けそうではあるが。
立て板に水で、ぺーらぺらと演説するロバートの方が迫真さでは勝ち。
神がかり的な計算力よりも、いじらしく若昀のために奔走する親友の方が好印象。
 
主人公は唯一無二の能力を持つが、持っているからと言って為人まで深掘りはされていない。(猫ちゃんには好かれていたが)
そのために、魅力的ではあるがもっすごく魅力的なキャラではない、今のところ。
でもしかし、若昀が演るような役ならば、例えば、シーズン2〜3とシーズンを重ねるうちに、主人公そのものが人間的に成長する、とか深読みをしたくなる視聴者なのだった。
微博:张若昀
 
1988年8月24日生まれの34歳、181㎝、70kg。
北京电影学院卒業。
 
「慶余年・第2季」も制作発表された。
 
慶余年」「雪中悍刀行」「法医秦明」「警察栄誉」「九州·天空城」「諜戦深海之驚蛰」「十五年等待候鳥」

Newカマーな男子@豊宝玉【費啓鳴/费启鸣フェイ・チーミン】

㊗️てこブログお初【費啓鳴/费启鸣フェイ・チーミン】だ♡
 
なかなかcuteな男子だった。
啓鳴って名前も良いですね、ちーみん君と呼ぼうと思う。
皆も呼んでいいですよ、ちーみん君。
 
ギャンブル好きで、色遊びも好きで、おべんきょは不真面目で、肉屋を営む裕福層の坊設定。
おねいさんに可愛がられて育った様で、能天気だが善良で素直な男子だ。
彼の好ましいところは、若昀が算数バカで世間に疎くとも、面倒見てあげてる的な上から目線ではなく、
常に対等の友人として認識しているところだ。
親友のために、親友がしたい様にサポートする姿は尊いっすね。
 
最後にロバートに託された弁護。
はじめこそちいかわみたいだったが、その後の成長を感じさせる思いの丈をぶつけた陳述は、洗練はされていないがなんと言っても”伝えよう”という情熱に溢れていた。
とても良い役をもらえて良かったね、ちーみん君。
 
ちーみん君は、2018のバラエティ番組「快楽大本営」に出場し、エンタメ界へ入った様だ。
デビュウは2019、ほんの最近の事だ。
そんなNewカマーが、こんな話題作に出れるとは、なんとも幸運な男子ではないか。
今後を楽しみに待っていようではないか。
微博:费启鸣
 
1996年9月16日生まれの26歳。
済寧学院卒業。
 
「我在未来等妳」「別怕,恋愛吧!」「二十不惑2」
 
待播も2〜3作ある様だ。

顕微鏡下的大明之絲絹案てこが見た感想

クライマックスに救世主として登場したのは【尹鋳勝/尹铸胜イン・ズーシャン】だ。
↑の画像のてっぺんポジの設定。
当たり前だけど、偉い人たちにも上下関係があり、さっきまでえっらそーにしてても、更にお偉い方が来ると急にヘイコラする。
地方公務員と国家公務員の違いみたいな感じで、明代にも複雑な階級があった。
ぼよんセンセのことだから、実在かどうかは別としてそこいら辺の検証に間違いはないだろう。
 
偉い人のお陰もあって、ヴィラン①・②成敗はうまいこと行くけど。
最後までコレじゃ若昀の見せ場ないよね。
だってまた倒れてるもん。
見せ場というほどのものではなかったが、まぁ一応は活躍して。
とりまシーズン1はきれいに?終わってる。
 
で、若昀、猫とともに旅立つ風だったので。
これから先も若昀行くとこ嵐が起きる、みたいな感じで進んでいくのだろうか。
若昀お忙しいから、スケジュール合うかしら?
まぁ、誰が演っても見ますがね。
 
タイトルは、顕微鏡で見る明代、と言う事だが。
なにが顕微鏡なのか、と深く考えてみると。
詰まるところは”ちりつも”(塵も積もれば山となる)の事かな、と。
全ては細かいことの積み重ねで、大きな搾取には気付くけど小さな搾取には気付かない訳で、
それに気づいたのが主人公のぱぱだったんだね、という事だろうか、まぁ取ってつけた感が否めないが。
 
ちいさなことに目を向けよう、感覚じゃないよ、数字は嘘をつかないからね、っていうお話だ。
 
庶民の目から見た明代、と言うよりは、公務員の辛さを描いてる印象になってるのがてこが好んだ理由だろうか。
ぃやね、つまんねぇ、などという声も聞こえたり聞こえなかったりな本作だが。
てこは総じて楽しんで見れた。
 
叔たちの
 
「ですよねぇ。
わかりますよ。
ぃやでも、あれでしょ?
ほら。
〇〇つつかれたら・・・ごにょごにょ・・・」
 
「ですよねぇ。
わかりますよ。
ぃやでも、あれでしょ?
〇〇もその度に死刑にしたら・・・ごにょごにょ・・・」
 
とかのやりとりが楽しいし。
中には、正義に目覚めちゃう叔もいたりして。
【侯岩松ホウ・ヤンソン】
↑彼は、てこが更新を楽しみにしてる「漫長的季節」にも出ていて、それはそれはキモいおじさんを演じている。
その先入観で見たし、最初が糞尿中というキモムーブだったせいでとんだ色眼鏡で見てしまったが。
正義の味方の気分の良さを知ってしまい、正義の人になっていく様がとても佳きだった。
 
一方、激おこ叔の【呉剛/吴刚ウー・ガン】さんは。
思ったほどの存在感がなく、セリフもめちゃ少ない。
不完全燃焼気味だが、彼のカルマははっきりと提示されていない。
なのでワンチャンシーズン2、という可能性もなくもない。
 
同陽知県と算数対決した時に、ちょこっと図を見たけど。
四角だったような・・・
ここは三角だろうよ、とひとりつっこんだのはヒミツだ。
これが劉センセ(三体原著者)ならぜったい三角だったはず・・・