中国ドラマ『回廊亭』ドラマレビュー:原作《回廊亭殺人事件》徹底比較検証してみよう【張新成/张新成チャン・シンチェン】【邵兵シャオ・ビン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年6月28日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『回廊亭』ドラマレビュー:原作《回廊亭殺人事件》徹底比較検証してみよう、
を紹介するよ。
 
【基本情報】
ジャンル:サスペンス
監督:李雅弢
脚本:張仕棟
P:藍瑞龍
原作:東野圭吾《回廊亭殺人事件》
プラットフォーム:優酷
制作2020、播出2022/6〜
45✖️12集
 
中国で人気の作家東野圭吾は、日本でも人気だ。
でもてこには人気がない作家だ。
 
ここで注意しておきたいのだが。
今回は、原作をおおいに批判する記事となる事をお詫びしたい。
なので、原作ファンダムの方は本レビューを読まない事をお勧めする。
恐らくあまりの暴言に、てこのことも嫌いになってしまうだろうから。
嫌われたくないし・・・
 
彼の本は遠い昔に2冊ほど読んだ記憶がある。
《手紙》と《白夜行》だ。
この2冊に関しては格段悪いところはない。
むしろ、トリックに驚かされ人間の持つ醜さなども感じられる作品だった様に記憶している。
でも、”もう3冊目はいっかなー”、という感想だった。
 
その後、いかにドラマ化されようが映画化されようが、なんとか賞を受賞しようが。
てこは一切興味はなかったので、追加購読は1冊もない。
 
原作は日本で既にドラマ化されていた様だが、その時も完全にスルーだ。
しかし、中華なドラマになると言われれば。
中文ならぬ日本語原作ならば、読まねばなるまい。
と言う事で、(読みたくもないのに)ぽちっとして読んだ。
あっという間だ。
2時間もあれば読めるのでないだろうか。
面白くてあっという間なのではなく。
内容がないのであっという間に読めると言う事だ。(ほんとすみません・ぺこり)
 
さぁ、読み終わったし、主演は【張新成/张新成チャン・シンチェン】だ。
と言うことは、シンちゃんがジローと言うことだ。
これには喰いついたてこだ。
なぜなら原作におけるジローはもっすごく悪いヤツだから。
 
シンちゃんは「以家人之名(家族の名において)」のちぃ兄ちゃんだ。
あの時は寄り目がちの目の”うるうる瞳”で多くの淑女たちを沼に誘ったであろう。
そのちぃ兄ちゃんが本作ではヴィランとな。
もっすごく期待高ぶる。
 
ヒロインの【鄧家佳/邓家佳ダン・ジアジア】は、「無證之罪(バーニング・アイス)」や大明皇妃の@胡善祥だ。
あのお美しい方が、婆さんに化けるのか。
ともっすごく期待高ぶる。
 
※今回のレビューは、原作の批判だけでなく、大いなるネタバレも含みます。
閲覧の際は十分にお気をつけください。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

回廊亭ってどんなドラマなん?

舞台となる《回廊亭》が原作とは随分と違うイメイジなのは目を瞑るとして。
中国だから日本の由緒ある旅館と違うのは当然だ。
ちなみに原作の最初のページに記載してある見取り図は↓だ。
部屋の名前も、原作は”いの壱””ろの弍”だが、ドラマでは”清乃居”とか”竹乃居”だ。
まぁ、そんな違いはどーでもいい。
 
ドラマ冒頭は回廊亭の夜半の火事だ。
そして、唐突に火事の10ヶ月前からの回顧録が始まる。
・・・
そこからヒロインの桐生枝莉子(@姜遠星/鄧家佳)が、一ケ原高顕(@高広義)の非嫡出子の里中二郎(@程成/シンちゃん)を探すミッションが開始される。
 
ヒロインの人物設定や、一ケ原(高)ファミリーの構成などは、原作と多少違っても問題はない。
会長が余命わずかで、後継者に頭を悩まし子を探す事にしたのは原作と同じだ。
しかし、様子がおかしすぎる。
二郎はわりとさっくり見つかり、でも
「今更父親なんていらない」
とか言って拗らせてるのも一緒だけど。
枝莉子と二郎の距離が近づいて、二郎が枝莉子に恋し始めてるあたりから???となる。
 
ぇ、ふつーにラヴものなんだが。
サスペンスみが1ミリも感じられない。
・・・
じゃぁ原作は?
言うてさほどサスペンスでもないんだがな。(すみませんほんと・ぺこり)
 
原作の枝莉子は”本間菊代”という婆さんに変身している。
一ケ原高顕の膨大な遺産を巡り、一族が回廊亭に集まる。
半年前に心中事件がおきた曰く付きの旅館だ。
老婆の目的は事件の真相を明らかにすること。
そして真犯人を探すことだったーーーー。
って言うのが冒頭なのだが。
 
原作の説明を続けると。
一堂に解したその回廊亭で、新たに殺人事件が起きたりはしている。
しかし、事件に隠された衝撃の事実も何も、消去法でこいつしかおらん、とてこには容易に想像できる犯人だったし。
サスペンスっぽく”ダイイングメッセージ”などもあるが、枝莉子の推理の仕方が幼稚だ。
念入りに準備してきた割には全てにおいて薄っぺらい。
・・・
とまぁ、こんな感じでサスペンスみは(内容はどうであれ)一応あるのだ。
 
しかしドラマは2人の気持ちが盛り上がってる事にフォーカスされている。
これはこれで(原作を忘れれば)切ないラヴで佳きかな、という気持ちも湧いてくる。
それにしても長い、このラヴの尺が。
全12集なのに、回廊亭に一堂に解するのは11集だ。
 
原作は、わずか2日間の話であり、回顧録もあるにあるがほんのさらっとだ。
枝莉子が二郎を愛してた、って話ぐらいなのだ。
わりと可哀想な女である枝莉子が、初めて愛する人に愛される喜びを見つけ。
それなのに二郎は殺されてしまった。
だからこその復讐劇だったのに。
 
ドラマは、思った方向とは別の着点へ向かっている様だ。
実は二郎は偽物だ。
ジローなのだ。
ドラマでは原作とは違い、その大いなるネタバレが途中でされているのだ。
二郎がジローである、という事をバラしてしまったら原作の面白みはほぼなくなる、というほどのネタバレだ。
と言うことは、もう”別物”として認識し直した方がいいのだ、と言う事に途中気付いたてこである。
 
問題はだ。
これまでは一貫していい人だったジローだが。
ジローが二郎ではない、という事をジローはどう使うかと言うところだ。
なりすましてヴィランズと共に悪い事を画策するのか。
それとも、ヴィランズをギャフンと言わせて正義を貫くのか。
 
そして、面白い事に本物の二郎も登場してきたのである。
 
本物の二郎はジローと親友で、どうやら善人の様だ。
原作で二郎はジローに無惨に殺されてるが、ドラマでは共謀して上手いことやるのだろうか。
などと、てこがこのドラマで一番興奮したポインツだ。
 
しかし、それは枝莉子がジローが二郎じゃない、という事実を知らないことが前提である。
それなのに、さっくりと枝莉子にバレてるんだ。
ぃや、ほんともう着地点に想像がつかなくて。
そのうち”もしや・・・もしやハピエンなのか・・・”という疑念も湧いてくる。
 
残り2集で、枝莉子もようやく老婆に変身して戻ってきた。
原作では心中した事になってるジローも、ここでは死んでないからご対面だ。
 
ここで死んでないジローにいろんな容疑が出てきて、唐突に出てきたのが、
デカ(刑事)の【邵兵シャオ・ビン】だ。
ついこないだもレビューした「烈火軍校(烈火士官学校)」にも出演しているイケ叔だ。
もうこのデカが優秀で、ほぼ完璧な推理で全解決してくれる。
 
頼みの綱だった本物の二郎は、既に死体で上がっている。
考えられる結末は○○しかないんだけど・・・
 
クライマックスの肝は
・枝莉子を殺そうとし火をつけた犯人は誰
だ。

回廊亭てこ監修”イケメン備忘録”

よかったねジローな男子@程成【張新成/张新成チャン・シンチェン】

【張新成/张新成チャン・シンチェン】シンちゃんだ。
 
てこは、本ドラマでぎらぎらの悪いヤツを演じるシンちゃんを楽しみにしてたのだが。
どうやら違った。
そのかわり、事実に苦しみそれでも愛したい、という切ない男を熱演するシンちゃんを見ることができた。
これはこれでいいもんみさしてもろた、という感じだ。
 
加えて、わりと激しめのラヴシーンもあり
さらには十八番である大粒の涙も見さしていただき、結果非常に満足である。
 
親に捨てられたと言う強烈なトラウマを持ちながらも、友情を大切にし。
さらには後輩の面倒見もよく、お世話になった人への送金もして、養父からのたかりにも耐え。
なんという不幸自慢なキャラクターだろうか。
彼にとって初めて見えた希望が”二郎”だったのだ。
 
次こそヴィランなシンちゃんが見れます様に・・・
1995年8月24日生まれの26歳、180㎝。
中央戯劇学院卒業。
 
「相愛穿梭千年2:月光下的交換」(実はこれ@張暁晨が出てるんですよね、記事は気長に・・・)
「大宋少年志・第2季」「冰糖炖雪梨」「以家人之名(家族の名において)」「蝸牛与黄鹂鳥」
「天才基本法」(これは待播だがジャック@雷佳音と共演)
「県委大院」も待播だが、これはなんと@胡歌主演だ。
もっすごく活躍中のシンちゃんをこれからもご贔屓のほどお願いしまっす。

回廊亭、原作ってどんなんなん?

桐生枝莉子が主役だ、原作は。
 
この枝莉子は、一ケ原高顕の秘書であり、美しくはない設定である。
今まで男性と付き合ったことはなく、好きになった人にも告白をしたことはない。
ただ一度だけ告白しようと思ったことはある。
会社の先輩だ。
しかし、その先輩たちが社内の女性をランキング形式で査定していて、自分の”容姿”は最低の”1”査定であった。
それを見て告白を止めた、という過去を持つ女だ。
以来、見た目など気にせずに仕事に没頭してきた。
しかし彼女の真の願いとは”愛されたい”という事だった。
 
という背景の女が出会ったのが二郎だ。
ただ1人だけ、自分を愛してくれた二郎。
二郎は自分の生活を変えてくれた。
”幸せ”を初めて感じた。
 
そんな二郎が死んだ。
何者かに罪を着せられ死んだ。
しかも二郎こそが一ケ原高顕の血を分けたたった1人の息子である。
誰かがこの事実を知っていたはずだ。
遺産を当てにしている誰かが、二郎を殺し、自分をも亡きものにしようとしたのだ。
”絶対に捕まえてやる
復讐してやる”
という確固たる目標の元に彼女は老婆に変身し、真相を暴こうとしているのだ。
 
しかし、結末は悲しいものだ。
二郎はジローだったのだ。
自分を騙し、遺産を騙し取ろうと思っていたのだった。
なぜもっと確実な方法で私を殺さなかったのか、と言う問いに
「あんたを、いつも首をしめたい、って思ってたからさ。
あんたを抱く時だよ。
野望のために我慢してたんだ。」
 
なんというひどい話だろう。
枝莉子に同情を禁じ得ない。
犯人は想定内だとしてもこれは流石に酷すぎだ。
 
「ぁあ、二郎は死んでしまった。
ジローに殺されてしまった」
 
という枝莉子の心はとうに壊れているのだ。
彼女はこの事実をうっすらと感じつつ、真犯人を待っていたのだ。
”どうか違ってくれ”という願いを込めて。
しかし、現実は自分の予想通りだったのだ。
 
その時彼女の最後の選択とは・・・
 
という実に可哀想な女の話である。

回廊亭てこが見た感想

このドラマが本土でどの様な評価なのかは想像が容易いが。
ジローを演じたシンちゃんと、ヒロインの鄧家佳の演技力は本物であったし、切ないラヴストーリーであった。
 
原作は桐生枝莉子という女が主役であり、しかし本ドラマの真の主役はジローであろう。
主役が変わったならば目線が変わるのも当然の成り行きだ。
 
”東野圭吾の原作”という冠さえなければ、わりと上質なラヴロマンスにもなり得たであろう。
言い換えれば、原作よりは面白いとも言える。(ほんとにほんとにすみません・ぺこり)
あのつまらない原作をここまで肉付けする技量があるのならば、
もっと違う展開があったろうに、と残念でもある。
 
もう1人の非嫡出子の存在を、もっと現実味のある背景を持たせたりしたら、こんなにとってつけた様な印象にはならないはずだ。
回廊亭の女主さんの、言い表せないほどの悔しさなども布石としてもっと早くに打っていたら。
勿体無いのは本物の二郎の存在だ。
てこを一瞬ワクワクさせてくれたが、ほぼ何もしないで退場だ。
 
さらに納得し難いのは、あの謎のナレーションだ。
細やかに登場人物の心情などを解説してくれるのだが。
してくれんでもおおよその予想はつく。
さほど難しい話でもないんでな。
 
物語は、実は”ジローは〇〇だった”というサプライズまでついていい感じになる。
しかし、最後の歩道橋シーンが謎だ。
お二人の溢れ出る感情は手にとる様に伝わってくるのだが。(演技が上等なので)
枝莉子の顔には火傷の後がないし、ジローも長髪のままで、過去の2人の姿だ。
これは一体どう解釈すればいいのだろう?
 
でも最後は「愛してる、いつまでも一緒」だった。
死んだの?
なわけないよな。
・・・
意味わからんの。
 
見解がある方は是非教えてください。