中国ドラマ『幸福到万家』ドラマレビュー:しんふー(幸福)嫁入り奮闘記【羅晋/罗晋ルオ・ジン】【唐曾タン・ゼン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年8月2日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『幸福到万家』ドラマレビュー:しんふー(幸福)嫁入り奮闘記、
を紹介するよ。
 
基本情報
脚本:趙冬苓
監督:鄭暁竜、劉雪松、姚遠
原作:秋菊伝奇(陳源斌)
主演:趙麗穎、劉威、唐曾、羅晉
全40集✖️45分
プラットフォーム:優酷2022年6月29日〜
 
唐曾、羅晉の両名を見たいなぁ、という朧げな気持ちで試しに見てみたら。
のっけからわりとカルチャーショックで。
趙麗穎は、今回は年相応の役柄で違和感もない。
さらにはきっちりとした技量が背景にあるので。
さすがだなぁ、と唸らずにはいられない。
加えて、出演者のほとんどが神演技だ。
演技と脚本に引っ張られ、瞬く間の完走だ。
 
おそろしい事実だ。
40✖️45=1800分だ。
夏期講習が始まり、中3に教えるとなるとそれ相応のレジュメを作らなければならないし。
(ぃや、他の学年でもきっちり作りますけどね)
予習も欠かせない。
我の意思の弱さを実感した3日間であった。
 
ちなみにてこはRakutenVikiにて視聴した。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

幸福到万家ってどんなドラマなん?

趙麗穎扮する@彼幸福(Bǐ xìngfúびーしんふー)の嫁入り後の奮闘記である。
 
この物語の主題は”村”と”町”の違いだ。
この違いの大きさは想像を絶するもので、おそらく日本に住む人にとっては到底受け入れることのできない違いだろう。
てこもきりたんぽの国から大学進学時に上京し、以来ずっと東京で生きている。
てこにもきりたんぽの国の閉鎖的で進歩性のない思考に嫌気がさし上京を夢見てきた過去がある。
しかし、きりたんぽの国の比ではない。
しんふーの嫁いだ村に比べりゃ断然都会だ。
驚いた事に、嫁いだ村が特別なわけじゃなく、村は総じてやばいらしい。
 
衝撃的な話をしよう。
第1集はしんふーの結婚式だ。
この結婚式でしんふーの妹@何幸運(ねえちゃんが幸福で妹が幸運、もっすごい名前の姉妹だね)が強姦未遂に会う。
とんでもない犯罪だ。
しかし村の人は
「今日は結婚式だからー
しょうがないね」
 
!!!???ふぉ?
 
驚いた事に、夫の両親も
「お酒も飲んでたし
ほら、今日は結婚式だからーー
やっぱしょうがなくね?」
と言うではないか。
・・・
聞けば、村では結婚式の3日間は無礼講で何をしても許されるらしい。
・・・
恐ろしい。
信じられない事だ。
村人は言う。
「もっと悲惨な目にあってる娘もいるしねぇ
そんな騒ぐ事じゃあるまい」
などとぬかしておる。
ということは無礼講のほとんどが性犯罪と言う事なのだろうか。
なんという事か。
女性というものに対してのおおいなるバイアスを感じる。
 
などという心の内なる声が大きくなった時、もれなく立ち上がるのがヒロインしんふーなのだ。
しんふーは見てる者の
「理不尽だわーーー
なんとかしてあげたいーーーー」
って頃を見計らってしんふー降臨であり、見てる者に変わって正義を貫くヒーローなのだ。
 
しんふー降臨で、訴えるなどの警察沙汰にこそできなかったものの。
未来永劫続くと思っていた結婚式3日間無礼講が廃止される事となる。
しかしその告知は村の掲示板だ。
書面としてオフィシャルに残されてる訳ではなくあくまで掲示板だ。
そう全てが不文律なのだ。
恐ろしい。
実に恐ろしい。
 
その不文律はたった1人の人間が決める事だという更に驚きの実態である。
しんふーが嫁いだ万ビレッジの党書記の万善堂さんだ。
中の人、劉威の演技がもっすごくって。
古参で芸歴40年とかそんな感じだと思う。
このお年で180㎝とか、若い頃はさぞイケメンだったに違いない。
で、その強姦未遂事件を起こしたのは万さんの息子である。
@万伝家(中の人、曹征)
中の人は、「神探狄仁傑前伝」の@狄光遠じゃないかと思う。
 
ぱぱの万さんは、カリスマで彼のおかげで今の万ビレッジはある様で村人から異様に尊敬されており。
言わば生き神様のように崇め祀られてるような人だ。
しかし息子は、村の為というよりはお金重視、儲けてなんぼの男だ。
しかもやはり彼も生まれも育ちも村だから。
もれなくモラルに欠ける人間だ。
村は全ての価値観が普通ではないのだ。
 
しんふーも村で(別の)育った人間だが、その違う価値観になんとなく違和感を感じており。
やはりどんなことがあろうとも、間違ったことは正すべきだ、という強い信念があるのである。
そんな嫁を貰っちまって大変だ、という声に対し。
義父は
「そうだよ・・・もう少しおとなしくできないもんか」
義母は
「そうだけど・・・間違ってはいない、強いねしんふーは」
夫は
「・・・・」
そうなのだ。
・・・
見てるものは、この夫にまず落胆する事となる。
 
こんな夫なら居なくてもいい、とか思うはずなのだ。
だから、これから出番の羅晉に期待を寄せる事となる。
 
物語は、次の局面へと移行する。
しんふーの機転により、有機野菜をスーパーで売る事になったために、農地を広げる事となったのだが。
その農地が、新しくできる健康食品会社の排水処理場の予定地になってしまう。
十分な立退料と思われたが、新しい農地へ導入した機材の購入額やその後の野菜の収益までは保証されていなかった。
って事で、ここで夫の弟の紹介で弁護士の羅晉が登場だ。
 
しんふーは、思い切って訴訟を起こす事にしたのだ。
村にしてみりゃ天変地異とも言える珍事だ。
生き神と称えられる万さんを訴えるなんて、って事で大騒ぎになる。
まあでも、色々あって勝訴。
万さんとも円満、・・・
だったはずが突如万さん逮捕される、というこれまた天変地異の珍事が起きてしまう。
 
ここでも浮彫りにされる村と町の違い。
そう、世の中には法律という確固たる指標があり、ひとはその指標を守って生きていく義務があるはずだ。
しかし村にはそれがないのだ。
万さんの犯したことは、明らかな傷害事件であるのだから逮捕は当然と言える。
しかし、村人は”法律?はて?なんのことかな?”なので、様々な嫌がらせをしてきて。
流石に身の危険を感じたしんふー夫婦は、生まれたばかりの赤子を残し町へ逃げる事となる。
 
そして、町にきても村人のままの夫。
仕事先は弟が世話してくれるはず。
弟の彼女のぱぱが有力者だから世話してもらえるだろ?
住むとこ?
弟の家でいいじゃん。
・・・
ちなみに弟の家とは小綺麗なマンションで、リノベしたばっかのほやほやのぴかぴかだ。
彼女と結婚後の新居として用意したものなのだ。
もし、自分が彼女だったら死ぬほど嫌だ、誰かが住むなんて。
 
しんふーはすぐに新しい環境に馴染んで、
「町っていいな」
で新しいことを始めようとする。
家は安くとも粗末でも自分らで探す。
仕事は・・・
この仕事ですよ、みなさん。
しんふーは清掃員してる時に偶然、羅晉に再会し彼の法律事務所で便利屋をする事になるのである。
 
待ってたよ、こんな展開。
そこで彼女は大きく羽ばたく事となる。
彼女の天真爛漫さは周りの者も明るい気持ちにさせるし。
彼女のバイタリティは、周りの者を鼓舞させる。
彼女のおかげもあって、彼の法律事務所も大きく羽ばたく事となるのだ。
彼、しんふー、事務所の2人の弁護士の4人は生涯の知己となるのである。
・・・
ぇ?
・・・
そう知己だ。
・・・
この2人の間に色めいた所は1ミリも存在しない。
互いにリスペクトし合い、町・村、雇い主・従業員、男・女、そういう垣根が存在しない認め合った2人だ。
 
時にしんふー夫妻の間で
「離婚だーー」
などというのもあったので、
トライアングル勃発か、とか、これからはシングルマザーとして駆け上がってゆくのか。
などと思ったりした自分を恥じたい。
そんな安い女ではなかったのだ、しんふーは。
 
あなたは私の夫だ。
死ぬまで私の夫だ。
私はあなたの妻だ。
死ぬまであなたの妻だ。
 
と、せっかくここまでのしあがったのに、あっさりと村へ帰る事にするのだ。
好きだだの惚れただの愛してるだの、そんなのは一切ないドラマだったのだ。
硬派ドラマだったのだ。
自分の脳みそがわりと腐りかけてたのだと、ようやく悟った瞬間である。
そうと決まれば腹も括れる。
ラヴを入れたがために、それまでが台無しになってしまった作品もある。
見せてもらおうじゃないか。
しんふーの奮闘記を。
 
村に戻ったしんふーは旅館業を始める。
初めはうまくいかないのだが、常連客がSNSに投稿してくれてから好転し始める。
そうなんだよね。
驚くのは、この時代錯誤な村は昔の話じゃなくて限りなく”今”に近い時代という事だ。
物語の冒頭はガラケーであり、アッパーな人はロイド君だったので、おそらくは20年くらい前の話なんだと思う。
旅館を始める頃には、しんふーもスマホに変わっている。
今もなお村のあり方は変わってないのだろうか?
 
で、旅館では夫の作った無農薬野菜料理を出すことになり夫にも生きがいを与え。
観光協同組合も立ち上げ。
もう無双だ。
夫も自信をもったのか農協を作ろうか、などと野心も見えてくる様になった。
そこへ、ある日相談を持ちかけてきた人が出現した。
 
「2〜3年前から子供たちが原因不明の病気に悩まされている。
水のせいじゃないかと思う」
 
どうやら万ファミリーの健康食品会社工場の排水処理に問題がある様だ。
そして具合の悪くなった子の血液検査をしてみたら鉛中毒であることが判明した。
 
この問題と同時に、夫の妹の問題も持ち上がってきた。
これがまた非常に信じ難い話なのである。
ことの発端は、妹が会計士の資格をとるために試験を受け登録しようとしたが受け付けられない、という謎現象が起きた事だ。
例によって義父たちは
「そんなこともあるさ、やめれやめれ、試験なんて」
とか言ってるし。
そんなことはないからね。
弟が調べたら、もうすでに会計士のライセンスは発行済みだから受け付けられなかった、との返答だった。
その添付されたIDカードには妹の名前で顔は万さんの娘の顔であったのだ。
 
なりすましだ。
夫の妹は勤勉で優秀で大学合格は間違いないと言われたのになぜか不合格だと通知が来た。
自己採点でも余裕のはずだったのに・・・
と泣きじゃくっていた妹を思い出す兄。
いったいどんな手を使ったのかは知らんが、不合格の万ファミリー娘が夫の妹の合格通知で大学に通ったという話だ。
これも万ファミリー息子@万伝家の仕業だ。
信じられない。
 
彼女が夢見てた青春、そして輝ける未来。
そんなものが砂の様に指からこぼれ落ちる虚しさよ。
我慢しろ、とまわりの大人は言う。
補償金もらって我慢しよう。
時間は戻らないんだから。
唯一信じてた下の兄ちゃんでさえそう言った。
しんふーなら・・・
そう思ったのは彼女だけではない。
義父たちは(夫も含め)このことをしんふーには秘密にしたのだ。
しんふーが黙って引き下がるわけがない。
騒がれる。
黙っとこうぜ。
ぅんぅん、それがいい。
ガッテム。
 
どうしたい?と家人に聞かれ、彼女は
「大学に行きたい」
と答える。
 
だよね。
いいよいいよ、いけるはず、行け、と思うてこも。
 
しかし家人は
「今更大学行って何になる?
年も10歳も年上だ」
ナンセンスだ。
苦労はあるにせよ、しない後悔よりはした後悔の方がなんぼかましだ。
何より、彼女は大学に合格していたのだから学ぶ権利はあるはずだ。
もう義父の
「女が勉強してなんになる」
はスルーするとしても、その後の婚期がどうとかは余計なお世話だ。
”無駄な10年”にしないための一歩が何よりも重要だというに・・・
人は皆それぞれの価値観で生きているはずなのに、村にいたら価値観の統一を強いてくる。
みんながそうなんだからおまえもやろ、と。
まさに井の中の蛙大海を知らずだ。
 
・この妹なりすまし問題
・水汚染問題
・黒化現在進行形のしんふー妹の行方
 
がクライマックスとなる。

幸福到万家てこ監修”イケメン備忘録”

お久しぶりな男子@関濤【羅晉/罗晋ルオ・ジン】

てこブログでは久々の登場【羅晋/罗晋ルオ・ジン】だ。
錦繍未央(王女未央)」以来の登場である。
見てないわけではない。
「封神演義」「鶴唳華亭」「別雲間」
さらには新作の「庭外」(7/14〜)も絶賛視聴中である。
 
レビューは書きやすいのとそうじゃないのがあるわけで。
じん兄さんの作品はそうじゃない部類のが多いのと、イマイチだったりするからかなぁ。
 
@未央の時よりはしゅっとして、格段に大人になられた様子で。
若手イケメンではなく兄さん世代へと移行かなと思う。
この男もイケメンからはちょっぴりズレているが、総じてイケメン臭の漂う男のひとりだ。
 
シリアスな演技ももちろんだが、やはり彼の魅力は”悪ガキの笑顔”だろう。
本作でもにっこり悪戯あとの笑顔でずきゅーんとさせてくれた。
加えて、しんふーが事務所をやめると言った時の放心の仕方が痛々しく。
彼にとってのしんふーの存在とはいかに大きいものであったかを、想像させる唸らせる演技だ。
それでも、しんふーの選択をいつでもどこでも1000%支持するしサポートするというイケメンムーブだ。
ほんとにしんふーは嫁ぐ男を間違えたと思う。
しかし、彼は町の男だから。
そもそもうまくいかないのかもしれない。
 
しかも、いつもめそめそ泣いていて、人のせいにばっかにしてるしんふー妹。
黒化したが最終的に自分の心に正直に、とかいってじん兄さんの事務所を頼りにやって来る。
言っとくけど、お金が欲しかったから悪いことに手を染めたし、そもそもが自分の心(欲望)に忠実に行動した結果だから。
正当化も甚だしい。
それなのにじん兄さんたら
 
「おめでとうというべきかな?
それとも慰めるべきかな?」
 
なんというイケメンムーブか。
いつか騙されるよな、兄さん、と心配せざるを得ない。
↑は右は本作で、左が新作の「庭外」だ。
1981年11月30日生まれの40歳、181㎝、68kg。
北京電影学院卒業。
 
新作の「庭外」もいいが待っているのが「天下長河」だ。
出演陣ももっすごく豪華な上にわんしゃんの様だし。
もう1年も前から待播だ。
そろそろ来て欲しい。

びみょーな男子@王慶来【唐曾タン・ゼン】

てこブログではわりと古参の【唐曾タン・ゼン】だ。
今までは脇ながらもそれなりの存在感を放ち、どちらかといえばゲスな男を熱演し、それなりのファンダムを勝ち取ってきた俳優だ。
しかし、本作の役で、新たに彼のファンになる人はおそらく居ないだろう。
それほどに情けない男の役なのだ。
 
彼は村の男であり町で生きることはできなかった。
土が無いと生きれない男であったのだ。
それに気付いた妻しんふーは迷うことなく村へ帰ることを決心する。
適材適所だ。
人には適している場所があり、それは時に町だったり、中には海という人もいるだろう。
夫は土の人だったのだ。
 
彼が娶った女が普通の女だったならば、間違いなく彼のぱぱの様な男になったに違いない。
ものの基準はお金であり、個人の尊厳などに目を向けれる人間では無い。
へたすりゃDV夫になるポテンシャルさえ感じる。
 
しかし、幸運な事に彼が娶ったのはしんふーだ。
彼は言う。
「お前はすごいよ。
どこでもやっていける強さと聡明さがある。
俺は土しかいじれないから。
いいよ、離婚しに来たんだろ?
サインするよ」
 
”そんなことないよ”待ちだ。
 
姑息だ。
 
んなこといってたら世の中離婚だらけになっちまうだろう。
価値観が違っても一緒に居れる道はあるはずだし、そこに必要なのは歩み寄りだ。
互いが少しづつ歩み寄り忖度して、それでダメならまた違う道を考える。
そうやって世の夫婦は努力を重ねているのだ。
ほんとにダメな男なのである。
 
でもそんな男に言葉で言ったって通じるわけないから、しんふーは行動で示すのだ。
すごい技だ。
夫婦円満のバイブルとしても役立つドラマかもしれない。
 
【唐曾タン・ゼン】と言う俳優もまた羅晉と同じだ。
いわゆるイケメンからはズレているが、総じた印象がイケメンなのだ。
コスチュームドラマでは皇子役で、ゲスではあるが身なりは綺麗。
民国ドラマでは、ゲスではあるが軍服姿がイケメンだ。
しかし本作は村の農民だ。
まじで居そう、な男なのだ。
 
色黒だし、ガサツだし、気の利いた事も言えない。
反面、夜になると足湯を持ってきてくれたり、喧嘩した翌朝に芋を蒸しておいたりもしてくれる。
素朴な男でもある。
 
法律事務所で便利屋してた時の太々しさやキモさなどは特筆したいものがある。
彼だって、ぴしっとスーツ来たりしたらそれなりにかっこいいはずだ。
だけど1ミリもかっこよさを感じないムーブは、彼の演技力の賜物だと思うのだ。
バックヤードからこっそり中を伺う様子がまじでキモい。
 
例えば羅晉と唐曾の役が逆だったらなぁ、とか徒然思うわけ。
夫が羅晉で、村人で土の人だったらどんなに可愛かったろうか?などとな。
 
でも唐曾が正義感あふれる弁護士、ってのは違和感があるかもしれない。
どちらかと言うとしんふー妹のとこの悪徳弁護士寄りかもしれない。
しかし、てこはこの唐曾という男の”喰えない”部分が非常に好ましいと感じるのだ。
どの役を見ても唐曾意外が演じたら容易に想像がつくが、当の唐曾が演ったら、というのは今ひとつピンとこない。
懐が深く、引き出しも多様にあって実に喰えない男よのう・・・ふぉっふぉ、と笑いたくなる俳優なのである。
1985年10月13日生まれの36歳、180㎝、75kg。
上海戯劇学院卒業。
 

幸福到万家てこが見た感想

彼女が掴み取る幸福とは彼女自身のものではなく、周りのものにも幸福をもたらすものである。
それ故に崇高だ。
決して私利私欲のためではないし、反面功績が上がればそれ相応の対価を迷いなく請求する爛漫さ。
その身に一点の汚れも霞もないのだと、そんな自信があるからこその要求だ。
周りの人間が、しんふーのパッションに同調し始め奇跡が起こる。
閉鎖的思考の村人の心をも変えてしまうのだ。
もしリアルにしんふーの様な人間がいたら。
・・・
おそらくとても疲れるだろうなぁ。
 
脚本としては、為人(ひととなり)の描写は丹念すぎるほどで、非常にそれぞれの気持ちを理解することができた。
「自分は村のためを思って・・・」
云々は、正直何度も聞かされたので最後の方はまた不幸自慢か、などと思ってしまったが。
こーゆードラマなのだからしょうがないのだろうか。
しかし、訴訟に関して言えば端り過ぎだし、希望的観測過ぎ感は否めない。
都合よく、排水処理の日時の裏帳面が出たとしても。
それと井戸水とを関連付けるには相当な時間が必要だし、こんな簡単に判決は出ないだろう。
 
ついでに言うと、悪者が全て制裁を食らったわけじゃない。
悪徳弁護士などは制裁なく今まで通りだ。
まぁ、彼のカルマには、何らかの事件に関与していて、その片棒を担いでたと言う背景が必要で。
彼を制裁するには尺もアイディアも不足していたと言うことだろう。
 
それでも、ドラマは綺麗に終わっている。
万ビレッジの新しい党員としてしんふーが着任して、新しい世代へとバトンタッチ。
新しい風は、村そのものを変えるものになるかもしれない、
という希望あふれるラストだ。
 
さらに特色として。
こんなにも人間ドラマなのにも関わらず、泣けるところが皆無だ。
子役で泣かせたり、気の毒さに泣いたりすることもない。
いたずらに視聴者の涙腺を刺激しない仕様が非常に好ましい。
 
ラストでは、彼女もさらに女児をもうけ1男1女のままだ。
万さんとこは、村の繁栄にかかりきりで子供2人がクズになってしまったが、同じ道を歩まないことを願って。
 
それにしても、面白かったが本作は字幕に苦労した。
コスチュームドラマの言い回しに慣れすぎてるのもあるが。
法律用語などは初めて聞く用語も多く。
電子辞書が大活躍したのである。
でも、もう最後の方の法廷関係はもう調べもせずなんとなく聞き流してたのはヒミツだ。