中国ドラマ『玉楼春〜君に詠むロマンス』(原題・玉楼春)ドラマレビュー:中華な”渡る世間は鬼ばかり”【王一哲ワン・イージョー】【王星越ワン・シンユエ】【颜敬杰ヤン・ジンジェ】【朱致灵チュー・チンリン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年1月8日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『玉楼春』ドラマレビュー:中華な”渡る世間は鬼ばかり”、
を紹介するよ。
 
于正Pによる、明代の家庭劇である。
てこはここんとこ家庭劇を2本見た。
面白かった。
ついでに于正作品も2本見た。
面白かった。
で、今回は”家庭劇&于正”である。
面白いはず。
 
いつも世間をざわつかせる于正だが、今回もやらかしている様子で。
どうやら、作中の衣装が韓国の伝統衣装に似てるとかで、またまたパクリ疑惑で盛り上がったらしい。
それを受けて、本ドラマのヒロイン@白鹿がSNSに
「これは中国のものです」
と反論し、堂々とした態度が割と賞賛されていた。
しかし、一部が
「これって、また于正のヤラセじゃね?」
と、結果何もしてなくても(事実はわからんが)騒がれる于正なのである。
 
で、韓国伝統衣装とは韓服(ハンボク)のことであろうか。
調べてみると、ハンボクも時代によって微妙に異なるようだ。
で、本作は明代であるので画像の左端という事だが。
確かに、似ていなくもない。
上下セパレートではなかったが、全体的なスタイルが割と似ているかもしれない。
 
ここで、明代と朝鮮の関係をさらっと説明しようか。
ぇ?いらない?
、、、
まぁ、そう言わんと。(説明させてください)
 
まず”朝鮮”という国号は、明に選んでもらったものである。
高麗王は、わずかな例外をのぞきままんがモンゴル人なので、基本的に元朝寄りである。
最後の元朝皇帝トゴン・テムル・ハーンは北に逃げた後に病死。
皇太子アーユシュリーダラ(在位1370〜78)が即位するが、その母は奇皇后である。
多くの方が韓流ドラマ「奇皇后」を見たと思うが。
まぁ、嘘だらけのドラマであるが”奇皇后”という人がいたのは事実で、朝鮮人である。
 
元朝は紅巾の乱がきっかけで北へ逃げ帰る形になり、1368年に朱元璋(太祖洪武帝)が明を建国する。
しかし明のプロパガンダに騙されちゃいけないのは、元朝は滅びていないし、韃靼はモンゴルのことである。
 
何が言いたいかというと、明代ではあるが元は滅んではおらず、元の皇帝の母親は朝鮮人だったという事実。
さらに元朝時代、朝鮮からは美しい女性が朝貢の貢物としてシナ皇帝に献上されていた歴史がある。
そして、その朝鮮人女性たちが、モードな流行りを作ったという流れは多少あったかもしれない。
なので、巡り巡ってハンボクに似たような服が明代で着られるようになったのは理にかなってるかな、という事である。
 
ちなみに、高麗はどうなったかというと。
奇氏が元朝の皇后になったんで、ぶいぶい言わしてたら、”ちょーし乗るなー”って恭愍王に一族を誅殺される。
おかげで元朝と高麗王の仲が険悪になる。
親元派の宦官に恭愍王は殺され、息子の王禑(おうぐ)が高麗王となり親元政策をとる。
大都を追われて北に逃げた北元を助けるために送った将軍の一人が、後に李氏朝鮮を建国する李成桂である。
李成桂は、実は全羅道の全州出身の女直人(女真人)である。
 
シナも、満人・漢人、入り乱れた歴史ではあるが。
朝鮮も例外ではなく、やはり大陸続きなのだなぁ、と感じる。
その点、日本は島国だからな。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

玉楼春ってどんなドラマなん?

ズバリ中華な”渡る世間は鬼ばかり”である。
 
于正Pは中華版橋田壽賀子と言って過言ではないだろう。
でもうすうす気付いてはいたが、本作で確信となる。
 
タイトルは、男主の名前@孫玉楼と、女主の名前@林少春、からとっているようだ。
このメオトを中心にして、関係する人々のあれこれを描いた物語である。
 
渡鬼は岡倉家5人姉妹とそれぞれの家族の悲喜こもごものお話だが。
本作は孫家7人兄弟の悲喜交々であるから、話題には事欠かない。
 
第1部は少春が無事に孫家に嫁入りできるか、が肝となる。
実は林家は、汚職の濡れ衣で一族皆殺しという、もはや古装デフォルト設定。
出自を偽り生き抜き、いつの日か父の汚名をはらさんと孤軍奮闘中。
 
ふつーなら、男になりすまして科挙受けるとか。
我ぱぱんを陥れたのが、好きな男のぱぱんだった、とかでこじれるのだが。
本作はそんなダサい事はしない。
科挙受ける前に
「健康診断あるってよ?」
で、あっさり
「あきらめよう」
「今までの苦労は、、、」
「違う方法考えよう」
になるのが嬉しい。
 
セオリーの、男主に横恋慕要員も湧いてくるが。
「ほんとに愛してるのか試してみよう」
とかで、結果
「すごい、この人。
死ねるほど玉楼を愛してるんだわ。
合格ーーー」
ってなるのが笑えて、嬉しい。
 
で、そこいら辺を頑張ってる間に、孫家の兄弟のメオト関係などを説明。
男兄弟は4人いて玉ちゃんは4番目の末っ子である。
それぞれに嫁がいる、いわゆる小姑が3人。
それに義理母と、義理父の側室が1人。
合計5人の女が孫家には居るという初期設定である。
 
で、割とメインCPの二人が聡明で、きちんとコミュニケーションを取ってるおかげで、あまりこじれる事なくなんなく父の汚名は晴らされる。
汚名は晴らされたものの、両家の格が違うとかなんとかで結婚は許されないというデフォ発動。
ふつーなら
「認めて貰えないなら家を出ます」
とか”出来婚”とかなのだが。
本作は一味違い、兄弟子のアドバイス
「高貴な家は金がない」
を聞き事業を始める事となる。
洪水の避難民を受け入れるなど、名声もゲットできる一石二鳥アイディアなのである。
 
で、于正の感心ポイントはいたずらに拗らせずに、およそ3分の1ほどで文句ない嫁入りを完了させるところである。
更なる感心ポイントは、メインCPの愛は不変で心配要素がないという点である。
橋田壽賀子センセもそうだが、ドラマティックなことがあるわけでもないのに、面白く見れる。
ヤキモキしたり、ハラハラしたり、もらい泣きしたりとかないの、渡鬼は。
「あーぁ」とか
「やっぱりそうなるよな」とか
「なにそれ?ムカつくんだが」とか
「はぃはぃ、ですよねー」とかなのである。
そう、リアルとはそんなおもろいもんでもないし、ドラマティックじゃないからね。
だからこそ面白い、それが渡鬼なのである。
 
で、無事嫁入り孫家に入ったら。
まずは大奥を束ねる会計役はだれになるか問題〜からの会計を困らせる使用人。
おもろいったらありゃしない。
 
〜からの、ファーストブラザーからサードブラザーまでそれぞれのメオト事情が割と込み入ってて面白いのなんのって。

で、少春がそれぞれのメオトが正しいメオトの形になるまで面倒見る流れ。
まじでできる女、それが少春。
だから、眉間の皺がなんか不自然で怪しいのも目をつぶれる流れ。
終いにゃ、ほぼ全員少春頼みになる流れ。
 
いろんな男・女が出てくるのだが。
まぁ、セオリーは男ひとりの寵愛を争う、なのだが。
そう、女が側室じゃないってのが于正の感心ポイントその3である。
これが夫の側室とかだったら、いつもの女どもの悪辣さになるのだが。
本作は、あくまで小姑であるからニュアンスがいくらか違うのも好ましい。
 
そして、このドラマの本質に気づくのであるが、それは。
愚かで不貞な男どもをディスるドラマであるという事だ。
いろんなタイプの朕(如懿伝の朕)が出てくるわけだが、実に頭にくる男どもが大挙である。
セオリーだと、必要悪の女が悪さして→暴かれて→ザマァなのだが。
本作はあくまで男の馬鹿さ加減を共感する仕様となっているのが、実に面白い。
もし、BSあたりでOAなどしたらTLはほぼ男どもの悪口でいっぱいになるであろうて。
 
その筆頭がファーストブラザーである。
2番手が皇帝。(皇帝は最後まで名前が出てこないから特定できなかった)
3番手は・・・迷うけど@白衣ぱいせん(山河令)かなぁ。
 
愚かじゃない男はだれ一人として出てこない。
セオリーなら、不貞な男がいて、対極に誠実で満点男がいるのだが(如懿伝の@雲徹)
本作は男主とて例外なく愚かなのである。
最後でやらかすのが男主。
手のかかる男や、まったく。
 
全体的に、于正の割に死亡退場もなく、淡々としかし面白く進むのだが。
この淡々さのクライマックスに何を持ってくるか、が非常い興味深いわけで。
この、絆300%のメインCPを引き裂く事件とはいったいなんなのか。
 
というのは、物語の初っ端冒頭は、妻が夫をようやく探し当てて涙ぐむシーンから始まるのである。
という事は、なんらかの事情でこのCPは別れる事となる、という大前提があるのである。
じゃぁ、なんなのそれ?
ってずーーーーーっと思いながら43集を見させる于正ってイケズだよねぇ。
 
なので、ライフワークであるてこ監修”イケメン備忘録”は役柄かんけーなく、純粋なてこ好みのイケメンだけとすることをお断りしとく。

玉楼春てこ監修”イケメン備忘録”

Newカマー①な男子@阿九【王星越ワン・シンユエ】

すでに「周生如故〜One and Only」でランクイン済みの彼である。
あの于正が、こいつや、って目をつけて速攻契約したNewカマー明星である。
本作は、メインでも良さそうなものだがそゆ訳にもいかなかったのか、完全なるモブである。
セカンドブラザーの部下という・・・
セカンドブラザーは、最初は出番もなくモブかと思わせる扱いだったのに。
中盤からまさかのフォーカスで出番が激増。
それというのも、男主に横恋慕だった女子が新しく好きになるのがこのセカンドブラザーだった訳だ。
遠く離れた地での、どーでも良いまさにサブCPならではエピである。
 
これが、于正の感心ポイントその4なのである。
実はこのサブのラブラインは本筋とは何らカンケーなく、正直あってもなくてもいい感じなのである。
いつものてこなら、このラインがきた時点でスキップなのであるが。
「もしかしたら星クン出るかも」
と思うとスキップできない、のである。
結果、ぜーーーーっんぶ見ました。
で、おかげで新たなNewカマーに出会えた、という棚ぼたまでついてきた(後で登場)
 
彼は、これまたてこが推している張暁晨に激似なイケメンである。
今回は、まじモブなので技量とかまったく問われることもない。
しかし、出るだけで画面が110%に明るくなるあたりにポテンシャルを感じる明星である。
2002年3月5日生まれの19歳、なんとガラスの十代。
184㎝、65㎏。
中央戯劇学院在学中。
 
「小风暴之时间的玫瑰」
直近は「公子倾城」(未視聴、見ねば・・・)

Newカマー②な男子@野狼【颜敬杰ヤン・ジンジェ】

さっき言ってたセカンドブラザー愛物語を盛り上げてくれる要員。
本来スキップ案件だったのが、星クンみたさにスキップせず見てたらNewカマーと出会えた喜び。
 
出会いはいつも突然に・・・
 
こんなサブCPのかませ役なのに、于正の感心ポイントその5なのだが。
こんなモブ臭ダダ漏れ男子で、なんとかギャング団のスパイかと思わせといて。
〜からの実はギャング団のキャプテンだった、とか。
〜からの実は@白衣ぱいせんの実の弟だった、とか。
なんとも驚きの背景をぶっ込んできよる。
もうなんでもありで、好きなように作ってる感満載である。
 
童顔な彼ではあるが、実は立派な大人な男子である驚きよ。
なにかとこんなギャップに弱いてこなのである。
1991年8月15日生まれの30歳、182㎝、75kg。
 
英語と韓国語が得意なトリリンガルらしい。
しかも肌肉自慢のようで、全体のバランスがイマイチのように見えたのはマッスルがモリモリだからかもしれない。
「烈火如歌」に出てたらしいが、まったく覚えがない。
直近は「一剪芳华」(たぶん)

Newカマー③な男子@柳无双【朱致灵チュー・チンリン】

これまたモブ。
@少春の兄弟子で盲目(のふりをした)の語り部である。
イケメン基準で言えば、このドラマはイケメン(てこ好み)がごく僅かしかいない。
男主の玉ちゃんも、微妙にてこ好みからはズレている。
そのような場合、多くは途中放置となるのだが。
やはりドラマは脚本や演出ありきなのである。
渡鬼もイケメン出てこなくとも見るからねぇ、そんなもん。
 
だから、たとえモブであろうとてこ好みのイケメンは萌えポジとして地味に貢献する訳である。
まぁ、正直な話、孫家長女との恋物語は余計だけど、余計な割にまるっと1集分尺使ったけど許します。
出番が多い愚かな男どもは、こぞっててこ好みではないという悲しみは置いておくとしようか。
1995年9月24日生まれの26歳、185㎝。
 
ぇ?「离人心上(太陽と月の秘密)」に出てるって?
全然気づかなかった、ってかスルー。(反省)
2018年デビューのマジモンのNewカマーの模様。

玉楼春てこが見た感想

やはり触れずにいられない女ども。
本作は実はイケメンよりはこの女優陣で成り立ってるドラマである。
 
↑の二人は兄嫁であるが、彼女たちだけでなく姑も、皇帝の側室も(数珠った)、師匠も、ヴィランの姉弟子も。
育ててくれた乳母も、女中でさえも、である。
みーんな一癖も二癖もあって魅力的に描かれていた。
同じ女性としてとても楽しく興味深く見ることができた。
 
特にてこの心に楔を打った印象的なセリフがあった。
少春の師匠は、信じ愛し合ってた男がいたのだが。
師匠のぱぱんの金銭援助のおかげで科挙に受かったその男は、しかし良家の子女と結婚することに。
その時の男は言う。
「ふたりと結婚できないかな?」
なんというう○こ発言であろうか。
で、師匠は秒でその男と別れる決心をし今に至るのだが。
その男と20年ぶりに再開したら
「これから、また会えないか?」
とまたもやう○こ発言。
・・・
「高みに登るほど降りるのは難しい。
先に進む前に常に慎重に考える。
平和な時こそ戦争を考える。
権力の立場で撤退の準備をする。
疲れたら変更を検討する。
常に引き際を考えよ。」(超意訳)
 
何とも奥の深い言葉ではなかろうか。
彼は、この後この言葉を痛感する出来事に見舞われる。
 
ところで、ふくよかな女優さんを紹介したい。
ふくよかだが、本作ではキレッキレの武術も拝見できた。
どちらも、このビジュアルを活かした役柄となっているが非常に好感が持てる女優であった。
今後も期待していいと思う女優の一人である。
 
明代はおよそ3世紀続いたが、本作がどの時代なのか最後まで特定に至らなかった。
皇帝の名前が出てこないのでじゃあ妃で、とも思ったが。
后殿嬪妃という名は見つけられなかったし、子も産んでいないようなので尚のことわからない。
宦官が大人しいようなので、後期でもなさそう、そんくらいしか想定できない。
まぁ、いいか、いいね。
 
”喜劇”という前評判であったが、てことしては喜劇だとは到底思えなかった。
”中華版渡鬼”で間違いない作品であるので、暇つぶしにはうってつけの作品である。
きらきらうふふに飽きたり、飛んだりビーム出したりに飽きたり、後宮の陰謀に疲れた時に見るがいい。