中国映画『我和我的祖国』(邦題・愛しの母国)映画レビュー其の1:陳凱歌チェン・カイコー総監督・赤い映画〜7話オムニバス1〜4まで:キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2024年10月2日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国映画『我和我的祖国』映画レビュー其の1:陳凱歌チェン・カイコー総監督・赤い映画〜7話オムニバス1〜4まで、
を紹介するよ。
 
陳凱歌チェン・カイコー総監督による赤い映画である。
中華人民共和国成立後の歴史上の大きな出来事を、それぞれの当事者の目から描いていく7話オムニバス仕様の映画である。
2019/9/30に本土で上映され、同年11月には早々に邦題が付き池袋(だったと思う)でプレミア上映された。
 
7話それぞれにストーリーの繋がりはなく、手法も世界観も違う。
監督・脚本・演出等も1話ずつ違うので、およそ2時間半の映画だが腹一杯になれる仕様だ。
加えて、ヤング〜爺まで出演者が大勢で、ビッグスタアがほんの秒の出番しかなかったりもする。
そして古参に引っ張られ、思わぬポテンシャルを引き出されるヤング達に目を細めたりもできる。
 
それぞれの基本情報、キャストピックアップ、大まかなレビューをしていきたいと思う。
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

episode1【前夜】

監督:管虎グェン・フー
出演:黄渤ホァン・ボー、王千源ワン・チェンユエン、梁静リャン・ジン、耿乐ゲン・レ、王天辰ワン・ティエンチェン
 
1949年10月1日中華人民共和国設立式典の前夜の出来事。
ここでフォーカスされているのは、式典で使う電動式旗揚げ機だ。
その制作を担う技師@林治远(黄渤ホァン・ボー)の奮闘を描いている。
 
しょっぱな胡軍兄さん♡【胡軍フー・ジョン】がでて”ぉおーーーー”となったが、その後の出番はなかった・・・
耿乐は上司?的な立ち位置でこれまたチョイ出だが、この頃から(2019)既に古参感出してきてるのな。
 
物語は、実物は天安門広場にあるのだが安全確保のために立ち入り禁止になってて、最終確認できねぇ。
なので、作業場にミニチュア作って実験してみよう、って事になる。
 
主役の@林治远(黄渤ホァン・ボー)は、もちろん実在した人物で、エンジニアの始祖的な人物らしい。
弟子が【欧豪オウ・ハオ】♡だ。
彼を初めて見たのは「天意」だったが、今やこんな売れっ子になってもうて・・・
 
材料が足りないと、屋根に登って拡声器で
「明日は大事な日です。
ニッケルとかが欲しいでーす。
ラジオとかもってる人は寄付してくださーーい。」
するとどんどん人が集まってきて、建国に一役買おうと胸熱な国民性も描かれる仕様だ。
 
ミニチュア実験には、旗を揚げる時と同じシチュエーションが必要、と国家演奏者を探す。
探すのはぱぱだ。(九州海上牧雲記の@ぱぱ)
@杜興漢(王千源ワン・チェンユエン)
そしてぱぱが探し出してきたのが、正演奏者じゃなくリザーブメンバーの【王天辰ワン・ティエンチェン】♡
大学ではフランス語を専攻してて、今は軍のトランペット奏者だって。
 
ミニチュア実験の時に、天辰のトランペットに合わせて挙がってく赤い旗を見てうるうるしてた欧豪がとても佳きであった。
 
当日本番、旗は無事挙がったのか?
当時の映像とのコラボ映像(合成)は微妙だし、その後の出来事を思うとはためく大量の赤い旗が不穏にも感じた。

episode2【相遇】

監督:張一白チャン・イーバイ
出演:張譯ジャン・イー、任素汐レン・スゥシー、張嘉譯チャン・ジャーイー、周冬雨チョウ・ドンユイ、彭昱暢ポン・ユーチャン
 
1964年10月16日に、中国で初めて原子力爆弾の爆発成功した。
この核兵器を開発した一人の科学者にフォーカスされた物語だ。
 
物語冒頭は、開発中アクシデントで放射能漏れが起きそうなところを、一人の科学者(張譯ジャン・イー)が身を挺して扉を閉め、大量に被爆する。
この施設がヤバめで、こんな施設じゃ次々アクシデントが起きそうなボロ施設に見える。
しかも上司どころか同僚でさえ互いの名前を知らない。
聞けば、”両弾一星”プロジェクトなるものがあり、超機密事項なので家族とも連絡を取れない職場環境らしい。
 
相当にブラックの様だし、原爆を落とされた国の人間としては気持ちよく見れる話ではない。
しかし、物語は違う様相を呈している。
 
病院に見舞いに来た上司が
「数日のうちに路上で大きなニュースが聞けるぜ」
なので、科学者は看護婦に
「今日はなにか路上で騒ぎはありましたか?」
と聞くのだ。
「ありません」
これが数日続き、辛抱たまらず科学者は町に出ることにする。
 
ちなみにこの看護婦は@周冬雨チョウ・ドンユイだ。
少年的你(少年の君)」でてこを大泣きさせてくれたあの娘だ。
 
科学者はバスでかつての恋人に出会う(相遇)。
ガチの開発物語を見せられると覚悟してたのに、女はおもひで話を始めるのだ。
 
@科学者、【張譯ジャン・イー】
張譯はアラフォーのムサ叔だが、直近の「重生之門」はもっすごくかっこぇえ。
 
本作は、セリフがない。
科学者は一言も喋らない。
看護婦に質問した時だけだ、セリフは。
お出かけ中はマスクをしてるので、目だけの演技でやるせなさや嬉しさを表現してくるのだ。
 
元カノの話は続く。
「なにか秘密があるんでしょ」
男は答えない。
行間に隠された、言葉にならない複雑な二人の感情がそこはかとなく感じられてくるから不思議だ。
女の喋ってる話と、全然違う心の会話が聞こえてくるのだ。
てこが妄想体質だからだろうか(ぇ、そうなん?)
 
そこに数多くの赤い旗が振られていることに彼らは気付く。
バスの乗客が叫ぶ。
「何があったの?」
「中国の原爆が成功したんだ!」
ともっすごく興奮して喜んで満面の笑みで答える群衆の中の一人。
それが【彭昱暢ポン・ユーチャン】だ。
てこがこよなく愛する「刺客列伝」の愛しき@孟章だ。
出番はこの1シーンのみ、セリフもこれだけ。
でもいい、見れただけでいい・・・
 
元恋人たちは、たちまち群衆にのまれ離れ離れになってしまう。
女は男の名を呼ぶ。
「あなたなの?
あなたがやり遂げたのね?」
言葉にはならないし、聞こえないが聞こえる、君の声が。
 
男は天を仰ぎうっすらと微笑むのだ。
愛する者を捨て、自分の全てを注いだ物がとうとう成功したのだ。
・・・
それが多くの命を一瞬で灰にし、地球までも壊してしまうものであろうと。
彼らは、名のない英雄なのだ、とそう言う話なのか?
 
核兵器による犠牲などとは裏腹に、国中が慶に湧いている様があまりにもシュールだ。
もしや、これはそう言った演出なのかもしれない。
もしそうならば、この作品はもっすごく深い演出かもしれない。
 
当時の映像、北西部のゴビ川に大きな音が鳴り響き、高さ10,000mのきのこ雲が空中に立ち上る映像が流れる。
それ以来、中国は核保有国の仲間入りをした訳だ。

episode3【奪冠】

監督:徐崢シュー・ジェン
出演:呉京ウー・ジン、馬伊琍マー・イーリー、劉涛リウ・タオ、韓昊霖ハン・ハオリン、樊雨潔ファン・ユジエ
 
1984年8月8日、中国女子バレーボールチームがオリンピックで優勝し、ワールドシリーズで初の3連覇を達成した。
 
オリンピック決勝の日、初恋の女子(樊雨潔ファン・ユジエ)が海外に引っ越すことを知る@冬冬(韓昊霖ハン・ハオリン)。
ラヴレター付きのカセットテープを引越し前にどうしても渡したい。
でも今日は女子バレーオリンピック決勝だ。
電気工の息子の俺は、長屋の人たちのために家のTVを持ち出し、さらにはアンテナを調整しなきゃならん。
 
だいじょうぶ、まだ時間はある
ざざざっーーー(砂嵐)
冬冬ー映らんぞーーーー
これでどーだ
映ったどー、さんきゅー冬冬
よし、これであのコに会いにいけるぞ・・・
ざざざっーーー(砂嵐)
冬冬ー映らんぞーーーー
ぇえ!早くしなきゃ、あのコが行っちまう(汗
・・・
みたいな感じのテンポのいいコメディ風味。
↓冬冬と、あのコとあのコのまま。
冬冬こと韓昊霖ハン・ハオリンは売れっ子の子役なので、皆も少なからず見たことあるはず。
コミカルな動きから〜の大粒の涙、とか、小賢しいほどの演技力だ。
 
あのコが気になりつつも、一丸となって応援してる皆んなもほって置けないし・・・
葛藤の末に、冬冬は己を犠牲にアンテナを固定するヒーローとなる。
 
女子バレーチームは見事に金メダルをとるが、彼の甘酸っぱい初恋は終わってしまった。
これで終わりかと思いきや。
別れにもらったラケット(卓球)で冬冬は代表選手になってて。
大人になったあのコと再会する。
そのコメンテーターが徐崢シュー・ジェンだ。
我不是薬神(神の薬じゃない)」主演の彼が、監督もしていて自身も出演している。
 
大人になってからの再会は無くてもいいし、タイミングも作り物の様で嘘くさい。
しかし、当時の様子は賑やかで見ていて楽しいし、長屋の住人皆が家族の様であり。
良き古き時代を懐かしめる仕様なのではないだろうか。
とりま、ほっこりできるエピソードであった。

episode4【回帰】

監督:薛暁路シュエ・シャオルー
出演:杜江ドゥー・ジアン、朱一龍チュー・イーロン、王洛勇ワン・ルオヨン、惠英紅カラ・ ワイ、任達華サイモン・ヤム、王道鉄ワン・ダオチエ
 
1997年7月1日香港が中国に返還される。
式典が執り行われる現場での奮闘を描くのだが、特に”時間”にフォーカスした展開となっている。
 
屈辱の歴史に終止符を打ち、新しい時代への幕開けは1997/7/1、AM0:00ピッタじゃないといけない、
という強い信念の中国側。
中国側は荒い鼻息でぐいぐい来るので、英国側は
 
「ぁ、はい、仰せの通りに」
「ちょっと?君の時計はだいじょぶかな?
僕の時計はスペシャルでグリニッチ天文台〜なんだが?」
「ぁ、だいじょぶです。(とりま急いで修理出さなきゃ・汗)」
 
みたいなやりとりをしてるのが【王洛勇ワン・ルオヨン】だ。
↑ほら時計気にしてるっしょ?
 
洛勇パイセンは何と言っても@諸葛亮(「大軍師司馬懿之軍師聯盟/虎嘯竜吟」参照のこと)だ。
パイセンにイケ叔とか萌え叔などと軽々しく言ってはいけない。
それほどにステキなお方である。
 
パイセンに煽られて慌てて英国側が時計の修理を依頼したのが任達華サイモン・ヤム、香港俳優だ。
香港の町で時計屋を営む役を香港俳優が演じる。
実際に香港の市囲に住む人間の目線も同時に描ける一石二鳥だ。
 
サイモンさんは、1955生まれの超古参なのだが、いつまでもお若い。
直近では@陳偉霆主演の「風暴舞」(記事は気長に・・・)に出演され存分に存在感を発揮してらっしゃる。
年齢的には”美爺”世代なのだが、ぜんぜんイケ叔世代で行ける。
 
サイモンさんは、式典に出てくる3つの時計のうち2つを、その手で修理した事になる。
もちろん、できる男ですから、サイモンさんは。
時間はばっちりぴったりである。
 
@諸葛亮(洛勇パイセン)の拘りは、時間と同時に旗を掲げること、である。
時間にもコンマ1秒の誤差も許されないが、国歌演奏と国旗掲揚もコンマ1秒の誤差も許さない。
その旗担当men達を紹介しよう。
 
まずは、目隠しで来る日も来る日も旗を上げる練習を繰り返し、プレッシャーで夜も眠れなかった男子【杜江ドゥー・ジアン】だ。
彼は近頃はわりと映画のお仕事のが多く「中国機長」は@欧豪と共演していたなぁ。
「烈火英雄」では黄アニキ(黄暁明)と共演だった。
 
で、他二人の男子は正直何を担当してたのかよくわからんかった。
とりま行進の時の足の角度とか揃う様に繰り返し練習はしてた。
でも、【朱一龍チュー・イーロン】なので紹介させてください。(懇願)
てこブログでは、もう何度もランクインの古参株だ。
今回も何係なのかいまいちよく分からんが、顔面が相変わらず強い。
完璧ルックだ。
 
ろん君は1988年4月16日生まれ、2009デビュウの明星だ。
映画・ドラマ共に夥しいほどの数の出演作がある。
しかし、ブレイクには今ひとつインパクトに欠ける感じが否めなかった彼なのだが。
とうとう転機が訪れる。
それが「鎮魂」だ。
この作品によりぐぅーーんと知名度が上がり、以来は主角で次々に出演中だ。
 
何故か3人トリオ仕様なので、もう一人も紹介しておこう。
【王道鉄ワン・ダオチエ】
彼は、中国本土で映画やテレビの俳優、プロデューサーとして活躍し、中央戯劇学院を卒業している。
「決殺危城」という古装ファンタジーではプロデュース&主演だった様だ。
 
ストーリーとしては、時間や仕様に拘るのもいいが、その情熱はもっと他に向けたらいいのになぁ、とか素直に思った。
当時の映像とのコラボはこのエピでもある。
当時返還に関しててこが持っていた印象は、期待と不安、であったのだが。
このエピソードでは期待とか希望とかそっちのイメイジの方が強い仕様であり。
当たり前と言えば当たり前だが(愛国映画なので)、それでも戸惑いや不安などもきっちりと描く方がフェアだよなぁ、などと思った。
 
次回、其の2ではエピソード5〜7を紹介する。
episode6ではお待ちかねの「白昼流星」であり、
【劉昊然/刘昊然リウ・ハオラン】✖️【陳飛宇/陈飞宇チェン・フェイユー】の登場だ♡
楽しみに待つがいい。

華流映画

Posted by teco