中国ドラマ『少年楊家将』(原題・少年杨家将)ドラマレビュー:武門・楊一族物語〜北方版「楊家将」と比べてみよう【胡歌フー・ゴー】【彭于晏エディ・ポン】【何潤東/何润东ピーター・ホー】【袁弘ユエン・ホン】【陳龍/陈龙チェン・ロン】【李東学/李东学リー・トンシュェ】【宋洋ソン・ヤン】【何建澤/何建泽フゥ・ジェンツゥ】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年5月15日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『少年楊家将』(原題・少年杨家将)ドラマレビュー:武門・楊一族物語〜北方版「楊家将」と比べてみよう、
を紹介するよ。
 
【基本情報】
 
監督:衛翰韬、王少傑、梁勝権
脚本:王莉芝
P:王中軍、王中磊、蔡芸依
主演:胡歌、何潤東、彭于晏、袁弘、陳龍、何建澤
プラットフォーム:東方電影頻道、2006年9月26日
45分✖️43集
 
「三国志演義」「水滸伝」と並ぶ、中国愛され物語の一つである「楊家将」だ。
この三作は明代に小説にまとめられたが、三国志と水滸伝は瞬く間に人気になり、江戸時代には日本上陸したほどだ。
しかし楊家将は小説はあまり普及されていない。
なぜならもっすごく駄作だったからだ。(らしい、てこは残念ながら原典は未読だ、原典の概要だけしか読んどらぬのだ)
楊業とその子孫の物語は、小説ではなく専ら芝居や講談で人々に伝えられ人気になった。
たとえば水戸黄門を小説で読み知る人が少ないとの同じだ。(読んでる方が居たら、それはごめんなさい)
 
なぜ楊家将が愛され物語なのかを少し説明しよう。
 
三国志や水滸伝は、漢民族同志の内戦の物語であるが、楊家将は異民族との熾烈極まる戦いを描いたものだ。
漢民族は過去千年の間、異民族の侵攻に苦しんできた。
宋は、最初は契丹人(遼)次は満州人(金)西夏(チベット系)の侵攻に苦しみ、最後はモンゴル人(元)に滅ぼされた。
明代で漢民族は主権を取り戻したが、とんだプロバガンダで、元朝は滅んでいないし、韃靼はモンゴルだ。
清朝は、みなさんご存知の通り満州人の建てた王朝である。
 
漢民族は、漢や唐の時代は強かったのに、宋の時代からなぜ弱くなってしまったのかーーーー
なぜ異民族に苦しめられる事になったのかーーーーー
という思いをこめて、千年にわたり語り継がれて来たのがこの「楊家将」なのだ。
 
てこは、三国志演義・水滸伝はもちろんの事、楊令伝、楊家将、血涙、と全て読破しているので、楊家愛が凄い。
特に楊家将のGF(ゴッドファーザー)楊業には恋してるレヴェルで♡だ。
ちなみに言うときますが、水滸伝の”青面獣楊志”は楊業の子孫設定なんだぜ。
 
そんな愛すべき楊家一族を中国の男前たちが演ずるのだからそりゃてこの気分も上がる訳だが。
本作は”少年”とな・・・
男前は喜ぶべき事だが、”少年”とはこれはまた何と言うかあれだろう。
おそらくは悩めるヤングたちの話を中心に紡がれていく、まさかのラヴものなのではないだろうか。
楊家将でラヴ。
なんとも・・・耐え難い話だ。
戦をするためだけに生きていたような生粋の軍人である楊業が、ラヴ?
ありえん。
 
実は、このドラマは2006年の物だが、北方センセの「楊家将」を初読したのがたしか2013年ごろか。
なのでおそらくは2015頃に、このドラマの存在を知り、楽しみに見た記憶があり。
なんとその時は数集みてリタイヤしたドラマなのだった。
なぜ今になって再視聴しているのかと問われれば、答えよう。
 
「そう言やぁ、ほー殿出てくるまで見とらんよな」
 
という気付きからだ。
いけいけのぎらぎらのぬらぬらしてたほー殿【何潤東/何润东ピーター・ホー】が登場する前に、リタイアしていたのを思い出したのだ。
そう思い再視聴し出すと、てこもオトナになりラヴ耐性がついたのでそれなりに面白かった。
まぁ、とんでも楊家将ではあるが、本作は”少年”なのだから許したい。
 
楊家には息子が七人もおるのでな。
エピソードには事欠かない事だろう。
とか思って油断してたら、GF楊業のラヴまであってのう・・・
ここは無の境地、すなわち悟りにて乗り越えた(嘘です、スキップしますたよ)
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

少年楊家将ってどんなドラマなん?

冒頭は、どこぞの城の前での楊家軍VS契丹軍。
 
「いたずらに兵の命を無駄にしたくない。
ここは、両軍の”雄”一騎打ちで勝敗を決めようぞ。」(by楊業)
 
「乗った」(by契丹人)
 
相手は誰だろう、楊業のライバル”白い狼”こと耶律九哥か。
と思ったが、その設定にしては若い。
誰?と思ってたら耶律斜だって、誰それ?
いきなりオリジナルキャラかよぅ。
でも中の人は、ほん哥哥【袁弘ユエン・ホン】♡だから許したい。
 
楊家軍からは五郎。
ぇ、なんで五郎?ここは延平(大郎)だろうがっ。
まじで意味がわからない。
五郎は中の人【陳龍/陈龙チェン・ロン】
 
この五郎は、「楊家将」ではあまりフォーカスされることがなく、陳家谷での戦いで行方不明となり続編「血涙」の最後らへんで突如復活して来た男子である。
なぜ、楊ブラザーズの中で一番の遣い手設定になっているのか、意味がわからない。
 
まぁ、そこはとりま置いといて。
その戦いは五郎圧勝で、耶律斜惨敗で、
 
「くっそーーーーー楊家めぇーーーーー、いつか必ず・・・・首奪ってやるぅ」
 
と息巻いてるほん哥哥@耶律斜なのだった。
 
で、凱旋してきた楊家を紹介しとこう。
 
まずは大郎・延平。
なんと中の人は【李東学/李东学リー・トンシュェ】画像左。
右が二郎・延定で、中の人が、なんと【宋洋ソン・ヤン】画像右。
”なんと”の2連発。
昔のドラマって、こんな”意外なあの男子”の出演に喜べるのがいいよねぇ。
若いわぁ、おふたりとも。
 
三郎・延安が中の人【王建福ワン・ジエンフウ】
 
この大(一)・二・三郎の出番はもっすごく少なく、セリフもほぼなく、とんでもなく失礼な設定だ。
それぞれ妻帯していて独立しているはずだが(楊家軍在籍)同居しているっぽい。
 
五郎は先に書いた通り兄弟の中では一番腕が立つ設定でまだ独身。
 
そして、お待ちかねの六郎が【胡歌フー・ゴー】
七郎が【彭于晏エディ・ポン】
どうやら少年の主役は六郎のようだ。
まぁ順当と言えば順当だが、てこは今後この兄弟七人の運命知ってるんでね。
今のうちに幸せ姿を積み重ねとこう、って仕様だろうが。
 
そうだとしても。
今後熾烈な運命が待っている楊家の男子たちの生き方が・・・
こうまで軽く、やんちゃで、しかもこんな服着てるのが、どうも我慢ならない。
 
で、GF(ゴッドファーザー)楊業が、中の人【翁家明ウォン・ジャーミン】
射雕英雄伝2008(胡歌版)」でもやはり楊ファミリー@楊鉄心役を演られていた方だ。
画像真ん中がGF楊業だ。
てこ好みのルックではないし、てこの妄想楊業とは全く違うタイプではあるが。
楊家専門俳優という事で納得したい。
 
そして肝っ玉かあちゃんこと楊家の大マダムが@佘賽花(中の人、陳秀雯)
七人兄弟の下に八娘もいる八人兄弟設定だ。
楊業メオト、一・二・三、(嫁付き)五・六・七・八娘、みなひとつ屋根の下で暮らしているらしい、あり得ないが。
ここに居ない四郎が【何潤東/何润东ピーター・ホー】で、幼い頃に戦場で行方不明になっている設定だ。
肝っ玉かあちゃんも、このドラマでは立派な槍使いで。
つまり、戦場にも家族帯同で行っていたようだ、あり得ないが。
 
でねぇ。
楊業ってのは、愛に一途な男子などではないわけよ、本来ならね。
七人ブラザーズだって、一人の女子が産んだわけじゃなく、それぞれままは違うわけよ、ほんとはね。
女子に何かを求めたりはせん男子な訳で、声がよかった、とか、〇〇の相性がどうとか、まぁ、そんな感じで関係を持ち。
関係を持った相手はそれなりに嫁にし、子が出来れば分け隔てなく教育する、そんな男子だった。
当然、その女子たちの出自や立場はそれぞれで、良家の子女もいれば芸妓のような女子もいる訳で。
だからと言って、ステイタスで差別する事もなく平等にしていたのが楊業という男子だが、とうの女子たちが劣等感等で身の狭い思いをしていたりもする。
そのような母親の憂鬱を感じる息子どもは、それなりな憂鬱を背景に生きる訳なので。
要するに、兄弟みんながみんな仲良しで、何でも話せる仲か、と問われればそこは微妙だったのだ。
 
しかし、そんな背景は現代ではいささか体裁が悪いし、英雄楊家の物語なので曇りがあってはならぬ、ということなのか、は知らんが。
本作は、みな同腹の兄弟という暗黙の了解事項となっている。
 
本当は、六・七と八娘・九妹だけがこの肝っ玉かあちゃんの産んだ子だ。
いちおうGFはこの嫁のところで寝起きしていて、ほかの嫁は息子と一緒に別の家で暮らし。
たまに楊業が訪れる、という生活だった。
 
大郎(延平)の実ままはもうお亡くなりで、嫁と息子(延光)と暮らしていて。
四郎は優秀ではあるが、寡黙であまり兄弟とはコミュニケーションをとらない拗らせ派だ。
しかし、母は違うが延平にだけは心を開きいろいろと相談したりする。
 
そのような事は一切なしにして、兄弟仲良く、家族大好き!という大前提で物語は進むし、
四郎に至っては、行方不明という驚きの設定だ。
 
そして、中国の方々は重々承知しているだろうが、初めて楊家の話を聞く(見る)日本の方々は楊家とはいったい何?と思われるかもしれないので、一応説明しときたい。
 
楊家は武門の一族であった。
楊家の長である楊業は、もともと五代十国時代の北漢に使える武人だった。
一時期は北漢皇帝と親密であったが、いろいろと不都合が重なり、楊家存続のために宋のオファーに応えた。
北漢最強軍であった楊家軍が宋に付いた事で北漢は滅亡、宋が併合する形になる。
楊一族は、宋の二代目皇帝・太宗(趙光義)に仕えた。
彼らはいわば『外様(とざま)』であり、太宗は楊業を信頼していたが、宋の生え抜きの軍人たちは、楊家軍の強さに、嫉妬と警戒心を抱いていた。
楊家が北漢から連れて来た楊家軍は総勢三万だった。
 
ってのが基本背景である。
 
で、本作の時代の皇帝は、ヘッドハンティングした当の太宗なのだが。
どうも様子がおかしい。
本作ではどうやら”暗君”のようだ。
 
明君にしろ暗君にしろ、どちらにせよ楊業とは政治的な事には元より関心がなく、戦え、と言われれば戦に行く、そんな男子だ。
殺戮が好きなのではなく、国が、民が、平和に暮らすための戦ならば楊家がいつだって先鋒を切るぞ、そういう男子なのだ。
北方版楊家将軍における太宗は、暗君ではないが何としてでも”燕雲十六州を奪還したい”という念に囚われており、その執念が楊家をあのような悲劇に追い込んだ原因でもある。
かと言って楊業が太宗を恨むか、と言えば、それは否だ。
恨んでなどいないはずだ。
それが楊業なのだ。
このように、北方版太宗も困った皇帝ではあったのだが。
こちらの少年版太宗は、奸臣@潘仁美のにたにた笑いの愚策や吹き込みにまんまと流される。
 
15集くらいまでは、六郎の恋物語と並行して、なんとかいうお宝探しの話が展開される。
そこでわかった事実は、太宗は太祖を殺し帝位についたらしいと言う事。
お宝の秘密を知ってしまった六郎&恋人を、消すべく助言する潘仁美、それに流される太宗。
六郎の行方がつかめないので、六郎以外の楊家全員を投獄する潘仁美。
もうこの辺のエピは興味ないというか、ここで死ぬ訳はないからな、とてきとーな感じで視聴。
ただ気になるのは、実のにいちゃん殺して帝位は流石にまずいんで、帝位交代なのだろうか、って事。
ぃや、そんな事なくて。
普通に
 
「ごめん。
これからは心入れ替えるから朕。」
 
みたいな、嘘みたいな流れだった。
 
15集くらいまでは、ほん哥哥扮する@耶律斜が開封で工作活動をしてるんだが。
これがわりとしょぼいし、何してるんだかよくわからない。
八娘誘拐したり、鍛冶屋の女子にちょっかい出したり、してたら。
妓楼に地下組織みたいなの作って、そこの女子と七郎が仲良しになったり。
鍛冶屋女子と五郎が仲良くなったり。
一体なんなのだ、楊ブラザーズの脳みそは花畑か、と荒ぶりたい状態だ。
 
北方版では、楊家はいつだって調練ばかりしていて。
どの隊(大郎隊・二郎隊みたくなってる)が強いか、いつだって戦場戦略の創意工夫に余念がないブラザーズだったのに。
さらに気に入らないのは。
楊家と言えば騎馬軍団だ。
これは原典にも書かれている。
この騎馬軍団の調練は開封ではできないので、広い調練場のある代州に居ることが多かったのだ。
開封では、いわゆる女子衆(おなご)たちが、おしゃれしたり美味しい物食べたりしていて、楽しそうではあるが。
男子衆は”落ち着かぬ”などと言って滅多に来る事はなく、宮廷呼び出しがかかる時だけ来ていたのだが。
いつも全員開封の屋敷にいるので、馬の調教シーンなどもなかったし、馬上で戦うシーンも皆無だったのだ。
 
六郎も七郎もそれなりなポテンシャルがあり、しかし大郎などには到底追いつかない、だけどいつか・・・そんな切磋琢磨の日々が、この少年楊家将には一切ない。
その寂しさを男前たちのルックでカヴァーしてね、っていう事なのだろうが。
たしかに↓こんなのは
ぅふふ♡だし↓こんなのも
たしかに目の保養にはなるが・・・
それでもいまひとつ魅力に欠ける。
 
しかし、そんな時ようやくほー殿扮する四郎が登場するのと。
六郎に恋する横恋慕係が登場する。
それがヴィラン勢力@潘仁美の娘だ。
わかりますか?
中の人、童瑶さんですね。
この方↑ですが、本作では若々しく、まだ未開発の自然なお姿を見ることができる。
てこはこの頃の方が、個性的で魅力的だと思うがね、どうですか皆さんは。
 
彼女は、魔人ブゥみたいに人が変わっちゃう危険人物なので、幼い頃に尼寺に預けられてたのだが。
尼寺の師を殺し、街へ降りて来て六郎の周りをうろつき、悪辣な事をし始める。
 
でも20集くらいまでの本筋は四郎ムーブなので、この女子についての深追いはこの時点ではない。
四郎は戻って来たけど、正体は内緒にしてるとか、けっこうめんどくさいタイプの男子で。
つまりはグレてる、というかだだコネ男子だ。
面倒見てくれる女医さんと仲良しになる。(ここでもまたラヴ・・・もうぃや)
お相手はしー姐さん(劉詩詩)なんだが。
しー姐さんを好きな男子が他におって。
それが、ヴィラン勢力@潘仁美の、今度は息子だ。
左・息子@潘豹【何建澤/何建泽フゥ・ジェンツゥ】
右・@潘仁美【鄧立民/邓立民ダン・リーミン】
 
北方版でも、このヴィラン@潘仁美と息子@潘豹は悪さをしまくるが、娘は出てこない。
娘は少年版のオリジナルキャラクターだ。
 
この息子が、ヤク中になってたところを助けたのがしー姐さんで、それで惚れちまったのだが。
しー姐さんは四郎好きなんで。
そうでなくとも藩家にとって楊家は目の上のたんこぶで、排除したくてしょうがないのに。
よりによって楊家の四郎を好きとかありえん、って激おこで。
むりやりしー姐さんを拉致し犯そうとしたり、しー姐さんの両親を殺すぞ、と脅したりしてたが。
結局、死んじゃうんだよね、この息子。
 
五郎の方の恋の行方も、なかなかモヤる展開でして。
鍛冶屋の女子といい仲なのだが、その女子にほん哥哥@耶律斜も目を付けていて。
この女子が、言うて二股なんよね。
本命は五郎だけど、耶律斜がぐいぐい来るもんでちょっと流れそうになってる感じ。
耶律斜を断る理由って、契丹人だから、だし。
五郎が本命の理由はよくわからない。
 
そんなそれぞれのラヴなんてどーでもいいし、いい加減おまいら真面目に調練しろよ、と嫌気がさしてくる頃、
ようやく25集くらいで楊家軍は前線の百水城に出征する事になる。
久々の鎧姿だ。
しかし、これはヴィラン@潘仁美と遼サイドとの悪巧みであり、罠だ。
@潘仁美は、最初は楊家を排除したい、くらいしか考えてなかったが、そのうちに自らが皇帝になるつもりでいるのだ。
皇族でもないのに、意味がわからない。
ここで遼サイドに動きがある。
またもやオリジナルキャラ投入で、天霊と言うおじいさんだが。
星や風を読むシャーマンみたいな人で、なにかと人間離れした妖怪みたいな設定で、急にB級みが増してくる。
もとは漢人のようだが、宋を滅ぼしたいと強く願ってる壊れた老人だ。
このおじいさんが、宋サイドの邪悪組をたぶらかし悪辣極まりない悪さを次々と企み実行してくる。
さらには、その邪悪組の口車に乗せられそうなのが、一度改心したはずの皇帝・太宗だ。
雲行きがもっすごく怪しい。
 
百水城の毒騒ぎも、女子軍(肝っ玉かあちゃん&しー姐さん他嫁ども)と、肝っ玉かあちゃんのお師匠さんらのおかげで楊家軍は救われ凱旋。
そっから、またひとしきり男女のもつれ(ラヴ)の話があり、なんと四・五・七が結婚する。
 
!!!ぇえええ???
四郎結婚していいの?
 
しかし、先にも書いたように雲行きが怪しい。
着実にクライマックスに向けての舞台が揃いつつあるのだ。
これからの悲劇に向けて、楊業に死亡フラグが立つ。
それが嫁@佘賽花との馴れ初めから始まり、最後は絆の深さを再確認、という楊業ラヴバナを持ってくる流れ。
これは、今後待ち受けている”楊業死す”に向けてのフラグだろう。
 
ちょっと待って。
七?
七郎も結婚・・・
ぇ、何、何、どゆこと・・・
 
と、わりと動揺していたてこなのだ。
もうね、このクライマックスは正直見る勇気がないのだ。
結末は知っているし、あの辛さに耐えきれないのだ。
北方版楊家将は、もう何度読んだかわからんが、読むたびに号泣し、電車の中で不振がられたり、翌朝ファービーの目になるほど、毎回毎回泣いているのだから。
動いてる映像を見せられたら、簡単に北方ワールドを重ねることができるだろう、妄想体質のてこならば。
だからスキップするつもりだったのだが。
これは見ないとわからん展開になって来た。
 
ノーマークの七郎の結婚は、もしや死亡フラグなのではないか、という不安は次第に大きくなり見ない訳には行かなくなったのである。
 
クライマックスの設定は、北方版と詳細は違うが概ね一緒だ。
北方版は、太宗が燕雲十六州を奪還するために親征し蔚州を取り、そこから燕京を攻め落とす計画だった。
楊家軍は城を守り、国境に配置していた軍を動かすのだが・・・
しかしそれは内部に潜んでいた遼の間諜の工作であり、罠だったのだ。
 
一方本作少年版では、和議協定を結ぶという蕭大后の申し出で、金沙灘に太宗も行くことになるが、これは罠だ。
危険を感じながらも太宗の仰せのままに出征したが、先鋒である楊家軍は万全の体制で待ち構える遼軍に囲まれてしまう。
四面楚歌だ。
 
こっからこの金沙灘の戦いは3〜4集も続く。
長い。
まじ長い。
 
しかし、ただの戦いではなかった。
多くの要素の含まれる戦いだったのだ。
 
・楊家軍の気概
・味方(@潘仁美)の裏切り
 
は想定内だった。
大・二・三の殉死で泣き。
というのは北方版において大郎はてこの萌えポジキャラだったのだ。
本当に頼りになる懐の深い男子だったのだよ。
その男子が本作では、なんのフォーカスもなく、なんの見せ場もなく、ただただ悲惨に滅びゆく叫びを聞かされるとは・・・
 
残された武器、それを悲しむ楊家軍を見てまた泣き。
援軍がようやく来たーーーーーと思ったら遼軍で、援軍を頼みに向かった七郎が・・・・
七郎が・・・・七郎がーーーーーーーーーー涙。
 
酷い・酷い・・・
こんな時に五郎は?五郎はどこ?
 
その五郎は、嫁(鍛冶屋の女子)のせいで、あ゛ーーーーーー
という胸が張り裂けそうな状況に陥ってしまっているではないか。
 
これでわかった。
おそらくは五郎の帰結は北方版と同じに違いない。
五郎が結婚したのはこのエピソードのためだったのだ・・・
北方版では、陳家谷の戦いのあと五郎は戦死したと思われていたが亡骸は見つからなかった、とされていてそのまま物語は終わっているのだが。
続編の「血涙」で五郎は不死鳥のように復活してくるのだ。
〇〇となって。
もしかしたら、てこブログを読んでくれて万に一つ、北方版を手にとって読んでくださる方が居て。
そしたらおそらくは高確率で「血涙」も読むだろうから、ここではネタバレは我慢しなきゃ。
 
少年版の楊業の最後は、悲しいものだった。
 
北方版でももちろん楊業は殉死しているが、太宗・八王・七王は楊業と七郎が守り切り。
そして迎える耶律休哥との対峙。
・・・
@潘仁美の裏切りで、楊業は散ったが決して悲惨な最期ではなかったし、決して無駄死にではなかった。
 
しかし、少年版は違う。
無駄死にだし、悔しさが残る。
それでもだ。
こんなにもディティールが違い、同じ原典を基にしていても全くの別物になっている二つの楊家将なのに、”英雄の気概”は同じように感じてくるのがマジで不思議だ。
つまり楊業という漢は、どんな背景だろうが誰が描こうがいつだってどこだって英雄なのだ、という事なのだ。
 
生き残った五郎と六郎は、楊家軍が壊滅した戦場で再会し空を見上げて慟哭する。
・・・
ここで終わらない、少年版は。
北方版には悪者ヴィランは居ないのだが、こちらはドラマなので、悪者退治が残ってるという訳だ。
・・・

少年楊家将軍てこ監修”イケメン備忘録”

君の肩に楊家の未来を託すよ、な男子@六郎・楊延昭【胡歌フー・ゴー】

六郎演じる【胡歌フー・ゴー】だ♡
 
武道もそれなりだし、頭脳も明晰で、さまざまなポテンシャルがあるのにもかかわらずGF楊業は、六郎を楊家軍に入れる事は反対していた、という初期設定だった。
つまり、六郎は日がな1日のん気に過ごしてる坊だ。
暇なんで碌な事をせんわけで、好奇心から太宗の秘密に触れてしまったり、女子に出会ってしまったりする。
見てください↓この無邪気極まりない、反則級のかわゆ10000%の笑顔を。
前半は大体がこんな感じで、しかも↓こんなちょこんと帽子をかぶってる確率が高くてさらに萌えが満載ではある。
好き勝手して問題起こしては
 
「ぱぱ・・・どぅぶちぃ・・・」
 
を繰り返す日々だったが、中盤に楊家軍に入隊してからは少しずつ印象が変わってくる。
アクシデントにも冷静に対応し、的確な解決策を献上したり。
脳筋な五兄を諌めたり、やんちゃ七弟を諭したりしてだんだんと頼りになる男子に変わっては来る。
 
しかし、魅力的なキャラか、と問われれば、それは微妙だ。
本来六郎とは、楊ブラザーズのなかで抜きん出た何かを持っており、底知れぬポテンシャルを秘めた存在であるはずだ。
ちーこの時の狼エピソードなどで、それらしい話は出てくるがインパクトに欠けるし、それを裏付けたり後押しするようなエピソードがない。
だから妄想も不可能だ。
ラヴで人間性を語るのは所詮無理があるのだ。
 
残念なのは見せ場がなかった事だ。
戦場でも、要所要所で何かしらはしているが、これと言った、六郎だからできる事、六郎ならでは、のような見せ場は0ゼロZEROだった。
 
ただ、やはり絵になる男子だ。
つまり、このドラマの六郎にはなんの魅力もないが、胡歌の六郎だからこそ見る気にもなった。
要するに、胡歌は佳き、という事だ。
微博:胡歌
 
1982年9月20日生まれの40歳、185㎝、70kg。
上海戯劇学院卒業。
 
仙剣奇侠伝」「射雕英雄伝」「琅琊榜」「旋風十一人」「那年夏天妳去了哪里」「外科風云」「猟場」「妳好,之華」「南方車站的聚會(鵞鳥湖の夜)」「完美伴侣」「県委大院」
 
待播「繁花」

いつでもどこでもcuteな男子@七郎・延嗣【彭于晏エディ・ポン】

Eddieエディこと【彭于晏エディ・ポン】だ♡
 
この頃(2006)のエディはドラマにもよく出てくれていたのだ。
今は映画がお仕事の主流となり、大きく大きく羽ばたいた俳優だ。
この頃のエディは可愛らしさの中にも凛とした美しさも見え隠れし、
 
↓「オレだって、ホンキ出せば強いんだぞっ!」
 
 
みたいな、背伸びしたかわゆさがダダ漏れであったのだが。
今現在のエディは、いまだにこの初々しさが感じられる奇跡の俳優だ。
 
今現在のエディを知りつつこの頃のエディを見る喜びは、ちょっと想像を絶する楽しさがあった。
今現在のエディは、もう背伸びせずとも強さや艶気を目線一つで体現できる俳優に成長しているが、ふと見せる無邪気さが内面とリンクしているように思え、見る者の♡をぎゅっと掴むのだ。
 
一方こちら作中のエディは。
やんちゃ・かわいい・じっとしてられない子犬み、もう何をしても何を言ってもにやにやしちまうかわゆさだ。
かわいいだけでなく、勘も良いし、機転も効くし、行動力もある。
北方版の七郎は、もっと念入りなキャラ設定がなされているが(ってか全てのキャラが念入り)、少年版の中では七郎が比較的まともにキャラ設定されていると思う。
 
しかし、七郎が殉死とは・・・
原典もだが北方版でも生き残りは六・七、行方不明が四、生死不明が五であり。
楊業の死から二年後、六と七は楊家軍再興に立ち上がるのだ。
ここで死んでどうする。
まじ意味わからんの。
微博:彭于晏
 
1982年3月24日生まれの41歳、182㎝。
不列顛哥倫比亜大学卒業。
 
過去レビューは「仙剣奇侠伝」のみ。(いずれ他も書きたい)
 
2014以降は映画出演のみ。
出血大サーヴィスで全てお教えしよう。
 
「黄飛鴻之英雄有夢」「匆匆那年」「十二金鴨」「聴説」「破風」「剰者為王」「奔愛」「我的特工爺爺」「近在咫尺的愛恋」「寒戦2」「危城」「湄公河行働」「長城」「乗風破浪」「明月幾時有」「悟空伝」「不圧正」「深夜食堂」「緊急救援」「熱帯往事」「第一炉香」
 
待播映画は「潜行」らう先輩(劉徳華)プロデュースだ。

忘れちゃだめなのに・・・な男子@四郎・延輝【何潤東/何润东ピーター・ホー】

四郎扮するほー殿こと【何潤東/何润东ピーター・ホー】だ♡
 
楊家将における四郎とは、影の主役であり、
楊家将その後第二章の、主旋律を奏でるキャラクターである。
 
行方不明となった四郎は遼で生き延びていた。
原典版では、遼軍の捕虜となった四郎は自分の正体を隠して、遼の公主(蕭大后の娘)の婿となる。
京劇には、四郎が自分の正体を公主に打ち明け、ままのところに一時帰国する人気演目《四郎探母》がある。
 
本作では、公主に助けられ、四郎は記憶もしっかりしているが、
蕭大后の入れ知恵で、記憶を無くす針灸を公主に施されすっかり物忘れしちゃった四郎が誕生してしまっていた。
中国ドラマは、このように、とても都合の良い医術(施術)や薬があるのでな・・・
せっかく史実に基づいた英雄楊家の話なのに、シャーマンみたいなおじいさんや、こんなご都合主義な展開を見せられると、B級みが増すし萎える。
 
まぁ、そこは置いといてほー殿の話をしようか。
とにかくいろいろと言いたい事はあれど、キーマン四郎を演じられて素直に良かった、と喜びたい。
演技力や存在感、スタア性、カリスマ性、こんなのは言わずもかなな俳優であるからして。
てこは結果的に非常に満足だ。
ほー殿の若かりし日の魅力が満載で、ほんとうに多くの人に見てもらいたい。
 
てこブログは、いつも画像は百度百科さんから拝借しているが(注:全て了承を得て使用しています)、百度さんとこにあるほー殿(四郎)の画像の多さに驚く。
もしや公式の推しはほー殿(四郎)だったのではないだろうか。
 
ほー殿初登場は13集だ。
大体の流れはてこブログで学習すれば、なんならそっから(13集)視聴でも構わないと思う。
最初は浪人風だが、中盤からの楊家軍の赤い鎧がよくお似合いだし。
アクションもこの時代の作品を見ると、わりとギリまで中の人本人が実際演じてる事に気がつくはずだ。
ガチ部分は専門アクター担当ではあるが、ほー殿の槍捌きはなかなか見応えがあると思う。
ぜひ見てくれ。
 
キャラ設定は、こんなキーマンなのにゆるゆるで。
あっさり毒に触れちゃうし、後先考えずに蕭大后殺りに行ったり、と聡明には程遠い。
が、まぁいいだろう。
わりと最近ブロードキャストされた二作品でほー殿を認識されるのは我慢ならないので、
とにかくこの頃のほー殿を見てほしいのだ。
いずれ呂布と項羽もレビューするぞ。(宣誓)
微博:何润东
 
↑は3月微博に上げた画像。
鍛えてるっす♡
 
1975年9月13日生まれの47歳、186㎝。
安大略省美術学院卒業。
 
「風雲」「一米陽光」「玉観音」「三国」「楚漢伝奇」「臥虎蔵竜」「泡沫之夏」「那年花開月正円」「三少爺的剣」「我記得我愛過」「没有我妳怎麽辦」「好想対妳説」「梁山伯与祝英台」「花謝花飛花満天」「馬上天下」「美麗的秘密」「黒色翅膀」「真心請按両次鈴」「蘭陵王妃」「剣王朝」「飛狐外伝」「浮図縁

いいとこひとつもナッシングな男子@耶律斜【袁弘ユエン・ホン】

耶律斜を演じた、ほん哥哥こと【袁弘ユエン・ホン】だ♡
 
ほんとにね、今回もまたゲス役だった。
ってか誰?耶律斜ってさ。
 
北方版では楊業の好敵手として耶律休哥がもっすごく魅力的に描かれていた。
なので一瞬、休哥かっ、と喜んだ自分を叱りたい。
よくよく考えれば年代がほん哥哥では若すぎるしなぁ・・・
 
本作は五郎の好敵手が必要だったようで、そこで契丹サイドにいい塩梅の好敵手を作ったのだろう。
それは許すが、好敵手なら好敵手らしい、敵ながらあっぱれキャラ建てをして欲しかった。
 
いったい耶律斜とは開封で何をしていたのか。
工作活動もしょぼいし、ほぼ計画は頓挫または失敗している。
しかもあの妖怪みたいなシャーマンおじいさんをマスターと呼んでるところからして、胡散臭い。
鍛冶屋女子を落とすために、ホタルを集めたり・・・
もうやめてよっ、そんな事っ、と荒ぶる気持ちがわかるだろうか。
 
最後の決闘なんて。
かっこ悪すぎて可哀想で見てられなかったよ、てこは。
見せ場もいいとこもひとっつもナッシングな、悲しい役だったぜ、哥哥よ。
 
ほん哥哥を宣伝するには何のレビューをすべきだろう。
妻を娶らば〜の「秀麗江山之長歌行」?長くて嫌だなぁ。
No.13の弁髪ビューティー「歩歩驚心」?またしー姐さんだしなぁ。
すぱぱぱの「玲瓏」か、嫁との馴れ初めドラマ「解憂公主」あたりだろうか。
意見のある人はご教示ください。
微博:袁弘
 
1982年8月23日生まれの40歳、181㎝、65kg。
上海戯劇学院卒業。
 
「咱們相愛吧」「秀麗江山之長歌行」「上書房」「射雕英雄伝」「歩歩驚心」「平凡的世界」「解憂公主」「巾帼大将軍(MULAN)」「上陽賦」「玲瓏」「天盛長歌」「揺滾狂花」

少年楊家将てこが見た感想

北方版楊家将は、四郎が行方不明になり、楊業が戦死するところで、ひとまず筆が置かれている。
 
いっぽうこちらの少年楊家将は・・・
悪者退治が待ってるんで、それなりなエピソードが必要な訳で。
ヴィラン潘仁美や遼のシャーマン妖怪おじいさん、らをやっつけないといけないのだ。
そのエピソードがお粗末すぎて、もう・・・
 
潘仁美の悪行の証拠がないもんで、じゃぁ力技で
帝危篤説を流し、潘仁美がどう出るか見てみよう
・・・
遼が宋を攻撃しようと手ぐすね引いて待ってるのに、そんな時に帝死亡説を流すとか。
楊家軍は楊業も延平も居らんで弱体化してるのに?
もう城門まで来とるけど?
 
そこに女子軍が立ち上がった。
もういろいろと言いたいことが山ほどあるよ。
そして城壁での耶律斜と五郎との一騎打ち。
・・・
ほんとこれ要る?
全てが終わり、結果的に宋の危機を楊家が救った形となり。
五郎は〇〇になり。
四郎は遼ですっかり記憶を無くし、公主を娶り。
六郎は楊家当主となり恋人と結婚。
(ってか死んでなかった恋人!あんなぐさっとやってたのに?死んでなかった!)
そして帝から「楊門忠烈」という額縁もろて〜楊家再興がんばるぞー、で終了だ。
 
戦場での六郎と五郎の慟哭で終了してくれたらよかったのに、と残念に思う。
 
先に説明したように、楊家は外様であり北漢から連れて来た楊家軍は三万だ。
楊業の最終軍歴は、宋の一方面軍の副司令官でいわば少将クラスだ。
この三万を養い軍を維持するのに、外様に支払われる公金で足りるわけがない。
楊業は、塩の道を確保しておりうまく商売もこなしつつ軍を維持していたのだ。
そして騎馬軍団を支える良質な馬の確保も大事な仕事であった。
 
ついでに言えば、宋という国は徹底した文治主義を国是としていた訳だから、楊業は帝に信頼されてはいたが、所詮は燕雲十六州奪還のための駒にすぎなかったのだ。
そのような背景をガン無視して、なんの憂いもなく過ごしていそうな楊家に違和感しか感じない。
 
それともうひとつ。
遼サイドを悪者にしすぎだ。
原典もこのような風潮があるし、漢民族がんばれ物語なのでしょうがないのだが。
それにしても遼サイドをゲスにしすぎだ。
 
北方版は遼に《耶律休哥》というもっすごいキャラを用意しており、読んだら十中八九魅せられるだろう。
そんな相手だったからこそ楊業・楊家も戦い甲斐があったと言うもの。
宋に潜伏していた間諜でさえ細やかなキャラ設定が施されていたのだ。
 
楊家将とは魅力的な将軍の宝庫なのだから、敵味方関係なく多くの英雄を描いて欲しかった。
 
ぁ、でも本作は何度も言うが”少年”楊家将だった。
全くの別物として見る他あるまいて。
なんだかんだと文句ばかり書いて荒ぶってる風ではあるが、これも楊家愛が成せることであるしまぁ多めに見てほしい。
 
北方センセの楊家将・第二章である『血涙』は。
水滸伝や楊令伝に登場する宝刀「吹毛剣」の前史も語られている。
そして四郎だ。
四郎が・・・
いろいろと胸熱な読み物であるので、ぜひ読んでみてほしい。