中国映画『刺客』(原題・青面修羅 Song of the Assassins/青面修罗)映画レビュー:アサシン(暗殺者)の世界を描くオリエンタル・ニュー・ファンタジー映画!?【馮紹峰/冯绍峰ウィリアム・フォン】【胡軍/胡军フー・ジョン】

2023年10月31日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国映画『刺客』(原題・青面修羅 Song of the Assassins/青面修罗)映画レビュー:アサシン(暗殺者)の世界を描くオリエンタル・ニュー・ファンタジー映画!?
を紹介するよ。
 
【基本情報】
 
監督:李仁港
脚本:李仁港
P:張昭(総) 劉軍、劉策、孫放
原著:圓太極『青面修羅』
主演:馮紹峰、胡軍、金晨、王慶祥
2022年5月13日〜
117分
 
2022のむコレ6上映作品の一つだ。
2022/11/14にシネマート新宿で観てきた。
観客数10人くらいしか居なくてちょっと心配しちゃうレヴェルだ。
まぁ、でも見る分には気兼ねしなくてよくて助かるけど。
「ランユー(藍宇)」初日の時は、ほぼ満席で、さらにはお隣さんがマックポテトを食べてたりして、音と匂いが辛かったのでな。
 
途中わりと大きめの地震発生で、ちょっとビビったりもしたが。
他のシネフィルたちがまったく動揺してないので、てこもそんなフリをして観ていた。
内心どっきどきだったけど。
 
ひさびさにヤバい映画に当たった、って感じだ、正直な話。
途中、思わず大笑いしてしまう(ご迷惑行動申し訳ないっす)シーンもある。
しかしコメディ要素は1ミリもない、念の為。
ある意味忘れられない、余韻を残す映画だった。
 
あと@柴胜役でご出演の曾江長老だが、2022/4に香港のホテルでお隠れになった。
今後は過去作でしか長老を思い出す事はできない。
 
※てこブログは、大いなるネタバレを含みます。
閲覧の際は、十分にお気をつけください。
 
てな感じで始めるよ、最後までよろしく!

刺客ってどんな映画なん?

舞台背景は、架空の時代・国だ。
わりとちっさい国に三つの王朝が存在していて、ようするにオーバーヘッドだ。
そのうちの一つは、弱小なのか存在はスルーされてて、残り二つの王朝が小競り合いを続けてる。
 
そして、”離恨谷”というアサシンエージェントがあり。
谷主である@金鑼太歳が、お仕事を振り分けている。
そこのアサシンメンの一人が、別名@青面修羅と呼ばれるふぉん【馮紹峰/冯绍峰ウィリアム・フォン】だ。
ふぉんは昔、宝地図のせいで一族37人が殺され、さらには右腕を失くす。
どうゆう経緯かは謎だが、離恨谷にやってきてそこで修行し、スペシャルアームを谷主から頂戴する。
そして、いずれ復讐する為に人知れず調査している、っていう初期設定だ。
 
このスペシャルアームがすごい。
監督の李仁港さんは、からくり沼人で有名なからくり狂だ。
だからある程度は想定内だが。
想定を遥かに超えるからくりだった。
十徳ナイフみたいに多くの使い方があるし、形もトランスフォーマーみたいに変幻自在に変化する。
間違いなく、今現在のメカニックスでも実現できそうにないほどのメカだ。
 
メカニカルな作り込みを丹念に完璧にしてしまったが故に、逆に笑っちゃう感じってわかりますかね。
古代のコスチュームドラマなのに、メカだけ近未来。
このギャップは、宇宙サメ(映画「トリプルヘッド・ジョーズ」)と通ずるものがある。
鮫は海の生き物であり宇宙には存在しないんだよ、そんな感じわかりますかね。
 
小競り合いをしてる国、たしか”東桑”とかだったと思う、そこの近衛隊長みたいなのが兄さん【胡軍/胡军フー・ジョン】だ。
序盤で、ふぉんに殺られそうになったり、国王にへいこらしてる風もあるが。
こんなんで終わるはずないんで、最後にはメインスチールにあるような鎧ワンレンになる何かが起きるはずだ。
 
敵対する王朝”南陵”の王さまがろい先輩【呂良偉/吕良伟レイ・ロイ】だ。
ろい先輩は、去年ののむコレ21でも登場している(「真・三國無双」参照のこと)が、
まったく1ミリも見せ場がなく終わっていた。
今回もまったく1ミリの見せ場もない。
離恨谷のアサシンメンだったなら、それなりな見せ場もあったろうに。
王さまな為に、ただただ嫁が好きな王さま、ってだけの描写だった。
悲しみすぎる。
 
物語はとても単純で、冒頭の宝地図に関する謎解き要素もほぼなく、いたずらに登場人物が次々と現れてくる、といった印象だ。
プロットも登場人物も背景が空虚で薄い。
さらには、物事を明確にしないで次のトピックに移行する為に理解不能シーンも出現する。
 
でもまぁ、いい。
古参勢がいちいち決めポーズで次々と出てくるので。
しかも名前がことごとく厨二みがあり面白すぎる。
途中からこの映画の”観方”が理解できたてこだ。
なのでちょいとpickup紹介しておこう。
 
まずは、白無常&黒無常。
中の人は(白)修慶ぱいせん。(「民初奇人伝」)
(黒)徐少強ぱいせん。
黒無常さんの武器は傘だ。
十徳傘仕様のなんでも傘で、この世で存在する傘の中で一番強い傘だ。
 
次は、鬼愁判官でふぉんの師傅ポジの人だ。
中の人は、王慶祥ぱいせんだ。
「嵌められた・・・」と呟くぱいせん。
めちゃ強設定のはずが、あっけなくお隠れになる。
この辻褄の合わなささも、本作の特徴の一つだ。
ね?↑いちいち、こんな風にキメムーブがあるのだ。
 
序盤で殺られちまうが@怪夔山鬼。
中の人、杜玉明ぱいせん(「雪中悍刀行」「長安十二時辰」参照のこと)
ぱいせんは、リアルでもこのヘアースタイルなので、ノーズラ参加だと思われる。
いつでも胸熱なぱいせんは、今回もルックだけは相変わらずの胸熱さだった。
 
この離恨谷のアサシンメンたちは、もれなく皆仮面をつけている。
この↑ように皆仮面を装着しているので、真ん中の谷主の顔がわからない。
コレが、この映画の唯一の肝だ。
 
アサシンメンの動きが世の中を動かしてる風であり、
この谷主が影でなんらか不穏なことを考えていそうだ。
平和な世に〜、とは建前で、本当は覇権をにぎりたい欲求がだだ漏れの谷主なのだ。
しかしアサシンメンたちは、わりと脳筋集団で谷主の真意にまったく気付いてなさげだ。
 
谷主の発言は絶対であり、谷の掟を破るものには容赦ないペナルティが課せられるような事らしいが。
しかし、その組織の構造システムの説明シーンなどもなく。
さらには簡単に騙され、扇動される愚か者集団のように見えるのは、てこの気のせいだろうか。
 
この仮面の谷主は、過去に
 
「私は武器を使わない。
使うのは”策”だ」
 
としたり顔(仮面だけど)で言っていたのに。
 
「ふふふ・・・自分が”策”に嵌る気持ちはどんなですか?」
 
という、ふぉんの勝ち確ムーブにもひいたが。
驚くのはその後だ。
実は〇〇が谷主だった・・・みたいなのには驚かないが。
何ということか。
谷主の背中から翼が生えよった。
それも黄金色。
超ハイテク黄金翼だ。
もっすごく武器つこうとるやんなぁ。。。
 
しかし、さすがは谷主、と言わしめるほどの黄金翼であり、青面修羅のスペシャルアームなんかよりずっと優秀だ。
この時は、本当に心の底から笑ってしまったてこだ。
宇宙サメだ。
強いのなんのって。
ってか強い、とかより、変形パターンの多さに笑う驚く。
監督さんは、寝ても覚めてもこうゆうからくりを考え続けるほどの、からくりフリークなんだろう。
好きじゃなきゃ、こんなにも真面目にからくりを考えつかないだろう。
映画を観ながら、↑こんな事を、一歩下がって考えてしまう映画だ。
 
東桑VS南陵の争いだったのが、あっさりと両王さまは殺られ。
いつの間にか、〇〇VS離恨谷アサシンメン、という図式に変わってる微妙さだ。
 
宝地図の秘密は、途中であっさり解明されるし。
クライマックスの肝は、ラスボスとの戦いだけである。
 
最初から存在してる、女子が一人居るが。
この必要性もまったく感じない。
初登場シーンはそこそこ魅力的だが、時間が進むにつれ無能さばかりが目立つ女子だ。
きっと〇〇なのだろうが、たとえそうであっても関係ないし、結局回収もなしの放置だ。
 
むさ叔ばかりだと華やかさが足りないので、お綺麗な女子をひとりだけ入れた、とかそんな感じだと思う。

刺客てこ監修”イケメン備忘録”

修羅ハンドな男子@斉君元【馮紹峰/冯绍峰ウィリアム・フォン】

青面修羅こと【馮紹峰/冯绍峰ウィリアム・フォン】だ。
相変わらずのルックだ。
 
さまざまな物理的限界を突破し、独自のナビゲーションシステムを持っているかのように攻撃できる修羅ハンドを自在に操る男子だ。
相変わらずの世界遺産級のルックに加え。
今回は仮面なので、アクションも決めポーズさえしっかりキメればいいだけだ。
引きで撮ったり、顔の向きを気にしなくていいので、中の人(スタント)も思う存分動けたに違いない。
 
今回はこのルックを活かした設定で、序盤である女子と知り合う。
離恨谷といういかにも掟が厳しそうであり、職人堅気な非情なアサシン、と思わせといて。
〜からの、実は情にも厚い、みたいなうまみ十分な設定だ。
このルックで、つかつかと歩み寄り→無言キッス、は十分な破壊力を持っていた。
さすがだ。
 
「おにぎりが残ってるうちは、私の事は忘れないで・・・」
 
これにはちょっと吹いたてこだ。
おにぎりならすぐ食べちゃうし、よしんば残ってたとしても2〜3日だろうて。
なんか違う・・・感。
 
まぁ頑張ってはいて、主役でヒーローだが。
名だたる古参勢の前に敢えなく撃沈気味といったところだ。
ルックだけで、ここまで太刀打ちできるのも相当なもんだが。
ふぉんもこれから修行を重ねて、味を出せるようになるだろうから、気長に見守ろうではないか。
1978年10月7日生まれの44歳、178㎝、65kg。
上海戯劇学院卒業。
 
過去作レビューは「蘭陵王」「知否知否応是緑肥紅瘦(明蘭)
「山河月明」は2023/1〜わうさんでOAらしいので、それまでにはレビューしたいと思ってはいる。

一人勝ちな男子@趙闖【胡軍/胡军フー・ジョン】

胡軍兄さん【胡軍/胡军フー・ジョン】だ。
 
この映画の3日前には「ランユー(藍宇)」の当時33歳の若々しい兄さんを愛で。
3日後に49歳(現在54歳であられるが、本作撮影は実は5年前だ)の熟れた兄さんを愛でる。
この幸せよ♡
のむコレ万歳万歳万々歳♡だ。
 
作品はどうであれ、兄さんが演ればなんだって格好がつくという力技がコレだ。
監督さんたちは、自分とこの作品を格上げしたかったり、カッコつけたかったりしたらどんどん兄さんを起用したら良い。
兄さんはどんな期待にも応えれる人材だ。
 
今回も期待に違わず偉大なヴィランであったのだが。
その最期たるや、ルシファー降臨かと思うほどの神々しさであった。
その姿は、世界遺産級ルックのふぉんでさえ太刀打ちできないのだ。
全体像はあまりにもネタバレなので載せられないが、皆も是非とも観てほしい。
ひゃっ♡不整脈どきっ♡
 
現代のハイテクよりもさらに高度な、さまざまな武器を自由に変更できるトランスフォーマーに変身する悪役。
兄さんだからこそ使いこなせる感。
この圧倒的な存在感を前にしたら、ふぉんの正義感など霞んでしまう。
そんな兄さんだ。
↑は藍宇との再会だ♡胸激熱♡
↑は胡軍工作室から最新の画像で「都市犯罪懸疑劇七」から。
 
1968年3月18日生まれの54歳、185㎝。
中央演劇学院卒業。
 

刺客てこが見た感想

↑のように監督の映画に対する独自の美学は感じたし、さらには個人的な趣味である機械的要素を使用することで、ハイテクタッチな新しいジャンルの映画のようにも一見感じる。
 
上述のように、日々からくりを思案する毎日なのだろう。
”好き”というのはどんな事だろうが尊い。
それは認める。
しかし、脚本まで自身で手掛けたのがわりと失敗だったのではないだろうか。
戦闘シーンも、単独であろうと、集団戦であろうと一定のレヴェルは維持しているし、アイディアも良いと思う。
しかし、しっかりとしたストーリーがあってこそ、それらの事は生きてくるはずだ。
 
まずは、徐清の変身も意味がわからないし、親娘の再会もスルーされている。
いろんなところに布石を置いたのに、まったく回収できていない。
一枚岩だったはずの離恨谷の組織とは一体どんな内情だったのだろうか。
いろいろと諜報機関を作りまでした東桑の王さまもあっけない最期で芸がない。
↑の四人組ももっすごく強かったが、いったいどこの組織なのか最後まで分からなかった。
と言い出すとキリがないほどだ。
 
とはいうものの。
劇場でガンガン流れる中国語は楽しいし、中国映画を劇場で見れる嬉しさはある。
この映画は、実は4〜5年前に制作され、諸処の理由で公開されていなかった。
しかし2021に劇場と同時にオンラインでも配信され多くの人が見ることができるようになった。
なので、劇場でなくとも実は優酷、騰訊、愛奇藝でも視聴可能だ。
(迫力は劣るが)気軽に一度観てほしい。

華流映画

Posted by teco