中国ドラマ『天龍八部〜レジェンドオブディステニー』(原題・天龙八部)ドラマレビュー其の3:41集〜ラストまで、金庸先生渾身の王道武侠・超英雄爆誕物語ついに完結!!【楊祐寧/杨祐宁トニー・ヤン】【白澍バイ・シュー】【張天陽/张天阳チャン・ティエンヤン】【高泰宇ガオ・タイユー】【朱暁漁/朱晓渔チュウ・シャオユィ】【于栄光ユー・ロングァン】キャスト情報・あらすじ・感想※ネタバレあり

2023年7月17日

ご訪問ありがとう、てこブログへようこそ。
 
今日は、中国ドラマ『天龍八部〜レジェンドオブディステニー』(原題・天龙八部)ドラマレビュー其の3:41集〜ラストまで、金庸先生渾身の王道武侠・超英雄爆誕物語ついに完結!!
を紹介するよ。
 
基本情報と其の1:1〜21集までは↓
其の2:22〜40集までは↓に貼り付けているので読むが良い。
とうとう完結編だ。
残り10集。
今までこつこつと積み重ねて来た”点”がようよう”線”に成りつつあり、
それでもいくつものストーリー展開が可能なほど、その引き出しは多い。
あっち向きこっち向いてたパーツが、帰結に向かって整列し始める。
maxamさん曰く、”原作に忠実に”こだわり”原点回帰”を掲げて作った作品らしいが。
さぁ、結末や如何に!?
 
ってな感じで始めるよ、最後までよろしく!

天龍八部41〜47集:クライマックス前まで

クライマックス前、と書いたが、もうこのタームがクライマックス其の1、と言って差し支えないほどの盛り上がりだ。
 
辟邪こと虚竹が、筋を通さなあかん、っつう事で少林寺へ戻り。
そこではたまたまチベットとかほかの門派のお偉いさんたちが集まってて。
少林寺は不道徳だ、と文句を付けている。
そこへ鳩(@鳩摩智)がやって来て、少林寺のシークレット技を披露する。
鳩さん曰く
 
少林寺は何かと秘密に煩く、門外不出と言うけれど、
おれだって少林寺シークレット技使えるしっ、
しかも72技全部習得できたけど?
そっちに(少林寺長老たち)はそんな英雄(72技All会得者)居らんよな?
こんなク○門派なんてもう看板おろせや、ゴラァ、
 
と、そんな事を言い始め。
 
「ぃや、少林寺技だけどつこてるチャクラが違うから、似て非なる技であり少林寺技では、断じて無いっ」
 
と辟邪は言う。
でもそこに霊鷲宮の部下たちが参戦し、辟邪をお助けしたもんだから。
 
「お、お、おんな(女)だーーーーーー゛」
 
となり〜
混乱の最中、ようよう破門、というその時、続々と少林寺へ集まる主要人物たち。
何ひとつ問題が片付かないままに、更なる問題が降りかかる流れ。
関わった人ほぼ全員いる状況。
いないのはヨウヤンひとりだけ。
来る、きっと来る・・・・
 
キ・キ・キタァーーーーーーーーーー゛(涙
 
「丐幇バカにしてる奴はどいつだぁーーーーーー」
 
もうこの時は、心臓ばっくばくの不整脈、座り直しで、拍手ぱちぱち、ちょっと飛び上がりたいくらい気分が上がる。
 
で、ヨウヤンいきなりの
 
酒、もって来いやーーーーーー
 
不整脈どきっ♡♡♡
なんなの、酒って♡
もぅ・・・・スキッ♡ってなる。
 
これから我らは戦うんだろ?
お前たちはオレの愛おしい仲間たちだった。
それでも戦うんだろう?
我らの人生はこれからも長く続く。
これからの人生では交われないかもしれないから、今、先に乾杯しとこうぜっ。
気持ちよく乾杯して。
思いっきし戦おーぜっ!!!
 
って言う事なのだ。
なんてヒーロー。
なんて胸熱。
 
そして、とうとう来た、三人の杯だ。
大兄(ヨウヤン)も言っていた。
 
「バカな3弟が・・・、オレも兄にw、
良いぞ、3兄弟だっ」
 
もぅっ、ほっんとうに気持ちの良い漢、それがヨウヤン。
 
あそことあそこが敵関係で、そちらとそちらも敵関係で、・・・ぇっと敵の敵は味方?とかそんな認識で行きますか?とか聞いてるのが燕国の部下たち。
ほんとダサいの、燕国メン。
 
こっからの、義兄弟3人、ヨウヤン・段誉・辟邪VS仮面男子@游担之・幻の皇太子@慕容復・星宿老怪(星宿派掌門@丁春秋)の戦いは、何度繰り返して見たことか。
どのヴァージョンでもここは何度も繰り返し見るところだ。
しかしこの戦いがは決着が付きにくい。
武器を持たないし、この戦いでは扇使いが2人いるが1人(星宿)は毒撒きだし、1人(慕容復)は1度も当たらないから効力も謎だ。
段誉に至っては六脈神剣が当たらねぇ・・・
彼らはクンフーしてこそ効力を発揮できるのだが、達人なのでなかなか接近戦に持ち込めない。
その点ヨウヤンの基本はクンフーなので、仮面男子とは良い戦いぶりだ。
ヨウヤンは少林寺シークレット技72超絶神技のうち2つをマスターしているし、
加えて”太祖長拳”と言われるクンフーの会得者だ。
これは趙匡胤(宋太宗)の編み出した技で、64の型をもつクンフーだが、その組み合わせは多彩であり、センスのある者が遣えばオフェンス・ディフェンス自由自在の最強と言って過言ではないクンフーだ。
 
中盤から気になるのは”効果音”だ。
どっかんどっかん、とか、ぐざっ、とかは良いし、
がぉーーーーという獅子吼も使いすぎだけど許容範囲だが、
”ぴゅーん・ぴゅんぴゅん”みたいなアニメちっくな効果音。
これがチープだ。
盛り上がりに水を差す効果音なのだ、まったく・・・
なんでこんなん入れてるのか、ちょっとなら許すが、わりと盛大に使われてるんだよね。
・・・
 
で、かろうじて辟邪VS星宿老怪、だけは決着がついたが、
他の2組には謎の横槍が入る。
(それにしても愉快な星宿派、フレーフレーマスタっ、いけいけマスタっ)
 
こっからですよ・・・
今まで積み重ねて来た”点”が・・・
”線”になるどころか・・・
見事にあっさりと崩壊するのだ。
 
ぁ、ぇ、ぅ、、、何?誰?
ぇ、、、嘘でしょ?
 
という展開が。
 
わかっててもがっくし来るんだから、初見なら相当のダメイジだろう。
初見の方々のためにあまりひどいネタバレは控えたい。
ヒントは、何度か登場している黒衣謎男子二人だ。
その正体が諸悪の根源だった。
 
辟邪は孤児で、少林寺に捨てられてたのだが。
実のままは〇〇、そしてぱぱは〇〇。
〜からの、30年前の事件の黒幕がとうとう明かされる。
 
という怒涛の展開に理解が追いつかないかもしれない。
てこはもう何度も何作も見てるから追いつくけど。
みんなも何度も見てね。
 
因縁対決に割って入るのは掃地僧大長老さまだ。
長老さまを前にすると@慕容復の小物みがすごくて悲しい。
この流れで、嘘みたいに生まれ変わる黒衣男子のおふたり。
残された者の気持ちなどこれっぽちも考えてない。
こやつらのせいで、多くの人間の運命が変わってしまったのに。
 
あーみぃとぅふぉーĒmítuó fó(阿弥陀仏)・・・
 
金庸センセの作品は、基本は道徳のお話だ。
てこは道徳は苦手だが、金庸センセのものなら頑張って理解したい。
皆もこの機会にじっくりと7つの罪について考えてみるのも良いだろう。
 
で、次は西夏公主のお婿さん選びタームに移行する。
ここで、段誉がこよなく愛してるアフロディーテ@王語嫣との話が入る。
・・・
この女子、燕国の幻の皇太子@慕容復が好きで好きでたまらないのだが。
慕容復も女神を好きだが、燕国を復活させる足掛かりに西夏公主のお婿さんに成りたいとほざく。
 
「僕が(段誉)公主と結婚すれば慕容復は女神と一緒に居られるね、
だから僕が公主と結婚するよ」
 
とか、まじで意味わかんない事を言っていて。
これには妹たちもドン引きで。
そりゃそうだろう、同意する。
 
慕容復に見切りをつける女神の気持ちもごもっともだし、それほどにゲスな慕容復だが。
こっちがダメならそっち、と秒で鞍替えする女神がなぁ・・・
なんか計算ズクでいやらしいというか、なんと言うか。
・・・
ってか見切りつけて?
もしや改編前に戻す流れですかね?
ほんとに?
 
ってやってる間に、西夏公主はドリーマー夫人(辟邪の夢の恋人)だったのであっさりゴールイン。
慕容復がっかり・・・
 
そして遼からの急書で帰国するヨウヤン。
そして段ファミリーの悩みの種である、仮面の段さん登場で47集は終了だ。
 
これからは涙涙涙涙のクライマックス其の2が待っている。
もう結末知ってるから見るのを躊躇するレヴェルで、すでに悲しい。
 
皆が想像していクライマックスは
 
・我らがヨウヤンは漢人なのか契丹人なのか、ジレンマに苦しむ
・漢人VS契丹人、の盛大な太刀まわり
 
だと思うだろう?
違うんだな、これが。
違わないけど、やっぱ違うんだな、これが。
 
涙涙涙涙・・・

天龍八部てこ監修”イケメン備忘録”

完璧英雄な男子@喬峰【楊祐寧/杨祐宁トニー・ヤン】

ひゃぁーーー、惚れ惚れするムサ苦しさ♡
@喬峰&蕭峯を演じ切ったYo!ヤン(ヨウヤン)こと【楊祐寧/杨祐宁トニー・ヤン】だ♡
 
ぃや、以前からポテンシャルは感じていた男子だ。
「華灯初上」(記事は気長に・・・)を見て、わりと目をつけてたのだが、
楽しみにしていた『映画 真・三国無双』は、ほぼ見せ場のない劉備元徳だったし、これまた楽しみにしていたコスチュームドラマ「上陽賦」では、ひらひらパステルの恋愛脳の皇子で、美味しいところは全て周一囲に持ってかれて良いとこひとつもナッシングで、それはそれはてこをがっかりさせたものだ。
それが、今回は金庸武侠で、しかもてこが一番好きなヒーローである《喬峰》役だと言うではないか。
蓋を開けてみれば、↑の様なむさ苦しさ1000%の造形で、これぞてこが待ち焦がれていた姿である。
 
もちろん2003年版の胡軍兄さんに比べたら、そりゃ見劣りはするけれど。
そこは比べんで良い。
だって胡軍兄さんは特別で何かと比べられる様な存在ではないからだ。
2013年版のちょん(鐘漢良)なんてスノボ片手の登場だったのを考えると、今回の喬峰はすごくまともだ。
王道の英雄像であり、金庸作品の中で唯一欠点のないヒーローだと思う。
そんなキャラを演じられて良かったね、Yo!ヤン(ヨウヤン)。
 
今回は原音だと思うが、これが思いの外イケボだし。
ゴツゴツした宮本武蔵みを感じさせるルックで、しかも所属団体が《丐幇》なんで衣装もボロ切れ風だ。
隠しきれないイケメンさ、も感じられず、”中身勝負”を地で行く意気込みを感じた。
 
そうなんだよ、ヨウヤンはデビュウ早々に金馬奨で新人賞みたいなの獲ったりしてる実力と運を兼ね備えた男子であり。
その後も映画にドラマに活躍している男子なのだ。
たまたまてこがみたのがラヴ史劇だっただけで、社会派ドラマ・映画などにも出演している実力派なのだった。
 
ただ、”武侠”というジャンルはおそらく初めてで、武侠太刀まわりに関してはいまひとつかもしれない。
今後の伸び代として期待したいところだ。
 
私生活は最近2022/7に結婚式を挙げていて、名だたるスタアたちがお祝いに駆けつけていた。
てこがこよなく推している張震さまのお姿も見られた。(短パンでした♡)
しかし、ヨウヤンは2020/9にすでにメリンダと結婚しており、同年12月には第一子が誕生している。
アンナちゃんだ。
なので去年のは結婚お披露目パーリーだ。
ついでにメリンダは第二子懐妊を2023/1に発表している。
 
1982年8月30日生まれの40歳、180㎝、69kg。
亜太創意技術学院卒業。
 
代表作:「都挺好」「初恋風暴」「十七歳的天空」「一頁台北」「千金女賊」
 
今後レビューしたい作品:「華灯初上」「罰罪」あたり

少林寺な男子@虚竹【張天陽/张天阳チャン・ティエンヤン】

辟邪こと【張天陽/张天阳チャン・ティエンヤン】だ♡
 
てこブログでは古参の愛すべき俳優である。
てこが天陽のことを”辟邪”と呼ぶ様になったのは「司馬懿軍師連盟」からだが。
なのでほんのここ数年の話であり、彼の芸歴は長く役幅も広い。
なので中華な俳優に詳しい古参先輩からしたら???かもしれない、という事を明記しておこう。
 
本作では少林寺の虚竹役に抜擢だ。
3兄弟(義兄弟)の中では2兄者にあたる24歳設定で、劇中でも若々しい弾けるマッスルを惜しげもなく晒して我らに幸せを運んできてくれているが。
実年齢は10歳ほど年寄りの1987年生まれの35歳だ。
 
少林寺役なので、自前で剃髪しての役作り。
しかしながら、正統派イケメンに髪の毛など不要だ、という事を実証する美しさ。
辮髪キャラも当然演った事があるのでわかってはいたが、僧侶でもここまで美しいのは稀だ。
頭の形、大きさ、ヴァランス、満点ではないか。
まぁ、皆も見てくれ。
 
加えて、武侠アクションのうまさ。
足の運びが軽い、型がキマってる、インナーマッスルが支える腰の低さ。
さらに”顔芸”がすごい。
目ん玉の動きはチャップリン並みだし、ドリーマー夫人(西夏公主)に再会し惚けてうっかり涙まで流してる表情は殿堂入りしても良いほどだ。
ぃやぁ、ほんとに底のしれない俳優だ。
 
見てこれ↓おそらく天八の虚竹のために坊主にして少し伸びた姿を発掘した。
画像:捜狐
 
微博:张天阳
はあまり更新してくれないが、たまーに直播情報などが上がってる事がある。
 
1987年11月2日生まれの35歳、184㎝、72kg。
中央戯劇学院表演系卒業。
 
代表作:「虎嘯竜吟(三国志 司馬懿 軍師連盟)」「那年花開月正円」「鹿鼎記」「美人無涙」「笑傲江湖」「聴雪楼」
 

プライドを忘れた男子@段誉【白澍バイ・シュー】

主役のひとり大理国鎮南王世子@段誉を演じた【白澍バイ・シュー】だ。
 
最後まで見たら”ようやったな”と褒めたい。
最初は、なんか違う感、が否めなかったが、だんだんと慣れて来た不思議。
 
書画を嗜む風流人で粋を好み、武道も身につけたくなくて呑気に暮らしたい、と思ってる坊。
しかし彼の星の巡りはそれ(呑気に過ごす)を許さず、いく先々で少しずつアクシデントで武芸を身につけて行く。
さらには、行く先々で愛に出会い、それが次々と妹とわかったり。
手の届かない愛に目覚めて苦悩したり。
義兄弟、特に偉大なヒーロー大兄者(ヨウヤン)から啓発される。
大兄者ヨウヤンは、道徳の心を体現していない場所は0ZEROゼロで、つまりAll道徳なのだ。
彼から学ぶべきことは多いのだ。
 
しかし、根を詰めて修練した時もないし、ここぞと言うときの根性もいまひとつだった段誉だが。
最後のクライマックス其の1を経ての〜大理国皇帝就任や、クライマックス其の2〜を経てのこれからの成長は容易に想像できる成長ぶりだ。
 
つまり、その成長の過程がうまく演じられていたと、そう言う事だ。
段誉というキャラは、やはりどのヴァージョンでもてこはあまり好まないが。
善良で一途で、ちょっと残念な感じの設定はちょうど良い塩梅でよかったのではないだろうか。
 
中の人にはあまり興味はないが、「聴雪楼」では先輩女子剣士に一途だけどむすっとしてあまり強くない剣侠だった男子だった。
我叫劉金鳳」では男②だったので一応ランクインだが、それほど心に残っている訳でもない。
「琉璃」は見てないし今後も見る予定がないからわからんが、おそらくは吐血しまくる神様だろう。
それらと比べたら、今回の天八@段誉役は神からのギフトではないだろうか。
これから先、代表作として”天八”と大声でアナウンス出来るのだ。
良かったね白澍!
微博:白澍白澍
 
1993年12月28日生まれの29歳、179㎝。
上海戯劇学院卒業。
 
代表作:「我女朋友的男朋友」「聴雪楼」「琉璃」

天龍八部、クライマックス其の2〜てこの見た感想

48〜ラストまで、クライマックス其の2

残された布石は、・・・結構まだある。
細かいとこは置いといて、とりま段ファミリーのこじらせ男子である仮面段さん。
彼は皇太子であり、本来なら今の大理国の玉座につくべき男子だった。
中の人は【孫瑋/孙玮スン・ウェイ】で、↑の仮面姿だとわからんがわかる人にはわかる。
おそらく↑@萧远山役の1人2役だったと思われる。
よくもまぁ、ヨウヤンに似てるって事に気付いたよねぇ。
褒めたい。
 
ここでは、段誉のぱぱ@段正淳がこれまで愛して来た女子たち4人と一緒に縛られていて。
4人でも凄いと思ってたら5人目の女子も出て来て。
それがなんとアフロディーテ@王語嫣の実のままなんだよね。
そう、女神アフロディーテ@王語嫣さえも、段誉のぱぱの娘、つまり妹だと判明する。
〜からの、驚きの更なる事実の発覚。
〜からの、あの残念な男子@慕容復の渾身のゲスムーブが入り。
〜からの、段誉の初めての本気モードで撃沈し、その後正気を失ってしまう、
までの怒涛の展開だ。
 
で、段誉は大理国皇帝の座に着き。
辟邪は、少林寺を破門され逍遙派掌門となり、霊鷺宮宮主として娶った西夏公主と共に暮らしている。
 
そしてヨウヤン@蕭峰は。
いよいよ宋に攻め入るという耶律洪基に対し、それは出来ない、と言い、囚われてしまう。
契丹に囚われたヨウヤンを助けようと、段誉、辟邪一団、そして丐幇までも駆けつけた。
 
こっからがほんとうにまじで激涙してしまうムーブの始まりだ。
このタームに激しい戦闘シーンなどひとつもない。
あるのは漢たちの熱い心だ。
 
・攻め行ってくる契丹人を迎え撃つと意気揚々の弟&仲間達。
・今こそ宿願の中原をこの手で取るぞ、とノリノリの耶律陣営。
 
その間で悩むヨウヤン?
そこにいるのは、種族の問題など超越した「世界を自分の責任と見なす」英雄なのだった。
ぁあ、なんてヒーローなのだろうか。
 
おまいら。
言いたい事や、想いがそりゃぁたっくさんあるだろうよ。
Hey!ブラザーたち。
オレがさ、ぜーーーーんぶ持ってくから。
おまいらの気持ち全部持ってくから。
オレに免じてなんとか心の折り合いつけてくれや。
全てを赦して生きてくれや。
たのんだぜっ!(注・こんな事は一切言ってない、念のため。全てはてこによる意訳だ、念のため)
 
本物の英雄を前にした者は、目先の事がどれほどちっさい事か、と気付くのだ。
居合わせた者全てが、畏敬の念を込めて見上げる漢、それがヨウヤン。
皆の心を全て包み込み持ってった。
 
巨星堕ちる・・・
 
雁門関、慟哭する段誉、虚竹。
乾いた大地に一献捧げる耶律洪基。
 
痛恨の極みだ。

エピローグ〜そして、てこの見た感想

驚きだ。
この雁門関のヨウヤン死後の後日譚がエピローグとして描かれているのだが。
これがなんと改編だ。
まったくもって斬新なエピローグだった。
 
【慕容復その後】
 
心が壊れてしまった悲しき男子。
親・・・
ほんと罪深い親たちよ。
ぱぱも言わずもなが、ままもひどかった。
こうなるべくしてこうなった、というのがよく伝わる今回の脚本だった。
本来の慕容復は、もっとこう、普段も狂気が見え隠れする危うさがあるのだが、今回の慕容復はそんな描かれ方ではなく、徐々に蝕まれていった感が強かった。
しかし、これはこれで良いかもしれない、と今は思える。
 
【虚竹(辟邪)】
 
彼も最後まで芯はブレない、そんなエピローグで満足だった。
彼の出自はどうであれ、彼のコアは少林寺なのだ。
仏教にその身を捧げる、捧げたい、という強い意思の先の選択だったろう。
”責任”などと言うものに捉われず結局は己の意思を貫いたわけだが。
まぁ、世俗のてことしては残された逍遙派や、霊鷺宮の嫁のことは気の毒だなぁ、とは感じる。
 
【段誉】
 
・・・
金庸センセが草葉の陰からお怒りじゃないかと思うのだが。
金庸センセ自らが改変したのにも関わらず・・・
 
ってか、とっとと尼になれば良かったのに。
救いを待ってだらくらしてるからっ、とイラつくのはてこだけじゃあるまい。(ぇ、てこだけ?)
エピローグがどうであろうが、なんであろうが。
効果音がどうであろうが、なんであろうが。
いろいろと不満もあるだろうが、つまるところは天龍八部はおもしろい、これに尽きる。
 
なにが良いか。
やはりそれは稀代の英雄である喬峰というキャラクターである。
金庸センセが描くヒーローの中で、唯一死角のない完璧ヒーローだ。
才能、寛容さ、英雄性、どれをとっても完璧だ。
 
この英雄がいる限り、誰が作っても必ずそれなりに面白い作品となる。
しかし、今回は全体の流れの組み立てがスムーズで、順序をちょっといじったり、エピソードをちょっと削ったりしてるおかげで、これまでの物よりもわかりやすい仕様になっていることに感心した。
とんでもエピローグがどう評価されるかはわからないが、同じように作ってても記憶に残らないのであえてのチャレンジだったのかもしれない。
だってやはり2003胡軍兄さん版は優秀すぎるから。
 
それと阿紫だよな。
最後までモヤる女子なのだが。
天八には数多くの女子(親世代姐さんらとヤング女子ら)が出てくるのだが。
親世代姐さんらは、みな一癖あって諄くてそれなりだったが。
ヤング世代の女子らは皆一様でこれといった魅力が見出せなかったのが残念と言えば残念だ。
阿紫がヤングの中では抜きん出てたので、モヤるが相殺ってことで納得したい。
 
先に書いたように、非常にわかりやすい構成なので初天八として本作2021版レジェンド〜なんとか、はおすすめできる作品だ。
ぜひ皆も金曜武侠の扉を開けてみて欲しい。
まぁ、見てくれ。